苔むす程に長い年月を経て愛される 自然溢れる京都大原の寺社5選
京都には清水寺、金閣寺など・・・歴史的な観光地が沢山あり、大人気な観光スポットであふれる京都。みなさんは京都の「大原」をご存知ですか?「地名は聞いたことがあるけど、どんな場所かは知らない」という方が多いのではないでしょうか。
歴史を感じ、食を楽しみ、自然に癒される事のできる京都・大原の魅力を徹底解説します!
この記事の目次
まずは大原の定番をチェック!四季折々で景色を楽しめる 三千院
バス停(大原)から徒歩約10分、大原女の小路と呼ばれる坂道を抜けると到着します。三千院(さんぜんいん)は、日本の天台宗の開祖である最澄が開いた約1200年もの歴史ある寺院。歴史の流れによって寺地や寺名を変え、大原に今の姿で落ち着きました。
平安後期を代表する阿弥陀三尊坐像(あみださんぞんざぞう)や金色不動明王立像(こんじきふどうみょうおうりつぞう)などの彫刻など、様々な文化財に出会うことができます。
三千院の四季それぞれの風景は要チェックです。三千院をはじめ、大原の優れた景観は遥か昔から有名です。
平安貴族も大原に身を寄せて晩年を大原の大自然に身を任せ、穏やかに過ごしていたそうです。
春は見事な桜、夏はみずみずしく青々とした深緑、秋は鮮やかな紅葉に染められ、冬は幻想的な雪化粧というように、四季によって異なる風景を楽しむことができます。
写経体験や法話を聞くこともできるので、ぜひ体験してみてはいかかですか?
三千院 所在地:京都府京都市左京区大原来迎院町540
巨大な大仏さんにびっくり!勝林院にて国の重要文化財を味わおう
三千院のすぐ近くにある勝林院。勝林院は835年に円仁によって声明の根本道場として創建された、天台宗の寺院。
平安時代末期、浄土宗の開祖である法然上人と天台宗の僧侶達が問答を行ったことから、問答寺という別名でも知られています。後ほど紹介する来迎院とともに、天台声明の道場として人々の憧れの地として栄えました。
本堂は京都市の有形文化財、梵鐘(ぼんしょう)と境内左側の石造宝篋印塔(ほうきょういんとう)は国の重要文化財にも指定されているのでぜひ注目してみてくださいね。
伽藍(がらん)の中にある大仏は、見上げるほどの大きさでびっくりすること間違いなし!
勝林院 所在地:京都府京都市左京区大原勝林院町187
ここでゆっくり休憩!宝泉院の立派な松の木の下でお茶と庭園を楽しむ
宝泉院(ほうせんいん)は、勝林院の左手にある細い道を進むと見えてきます。勝林院の中の僧坊として、800年前に創られたお寺で、樹齢700年の五葉の松を中心とした庭園が有名です。立派な松の木を見ると、お隣の勝林院と共に積み上げてきた歴史を感じることができます。
拝観料で茶菓をいただくことができるので、歴史のある建築物と大きな松の下で、厳かなひとときを過ごすことができますよ。宝泉院で散策の足を休めて、他の寺院とは違った楽しみ方をしてみては?
宝泉院 所在地:京都府京都市 左京区大原勝林院町187番地
民謡や演歌の起源ともいわれる 「耳」にご利益とうわさの来迎院
三千院の奥、急な坂道を約5分ほど来迎院(らいこういん)が見えてきます。先ほど紹介した勝林院と並んで、声明道場として栄えた来迎院。
中に入ると非日常を感じさせる雰囲気です。
平安時代末期(12世紀)に良忍上人が建立した来迎院は、沢山の僧侶や貴族が声明を学ぶため集まったと言われています。
平安時代初期、日本天台宗を開示した円仁が道場として開きました。
お堂の前にある鐘。この鐘は、耳病平穏にご利益があるようで、お堂には耳の病の回復を願う絵馬が数々かけられていました。
心の安らぎを求めて写経道場にやってくる若者も多いようです。
声明の集大成と言われるこの寺院は、耳の病気にご利益があるそうです。ちなみに、声明とは経文を音に合わせて歌詠することです。
浄瑠璃や民謡、さらには演歌といった現代の邦楽の起源とされています。平安時代の僧侶や貴族がここでどのような修行を行っていたのか、気になりますね。
来迎院 所在地:京都府京都市左京区大原来迎院町537
その名の通り!山奥にひっそりと流れる音無しの滝で穏やかなひと時を
来迎院を過ぎ、さらに険しい坂道を約15分ほど上った場所にある音無しの滝。山奥の緑にあふれた道をひたすら歩いていくと静かに水がしたたる滝があります。
ここは、来迎院を建立した良忍上人が滝に向かって声明を唱えた場所です。ところで「音無しの滝」という名前、どんな意味なのか気になりませんか?
ある日、良忍上人が滝に向かって声明を唱えていると、ふと滝の水音と声明の声が和して、ついには水音が止み、声明のみが聞こえるようになったという故事に由来しています。
また、声明の天才的演奏家であった聖応大師(しょうおうだいし)がこの滝で修行をしました。滝の音と大師の声が一体になったことから音無の滝と名付けられたとも言われています。
緑あふれる山中にあるこの滝は、静かで心地よい場所。ただし音無しの滝までの道は歩きづらい砂利道が続くので、歩きやすいスニーカーをおすすめします。坂道を登り切った先には、心安らぐきれいな景色が待っていますよ!
音無しの滝 所在地:京都府京都市 左京区大原来迎院町
「平家物語」ゆかりの庭園を持つ、聖徳太子によって創建された寂光院
バス停(大原)から徒歩約15分。寂光院(じゃっこういん)までの道のりは、のどかな里山の景色や数多く並ぶお土産ショップを楽しみながら歩くとあっという間。
参道付近から約1キロ歩いて行くと天台宗のお寺で594年に聖徳太子が父、用明天皇に祈りを捧げるために建てられた寂光院があります。明治以降に天台宗の寺となりました。
寂光院は、「平家物語」ゆかりの庭園として有名です。594年(推古2年)聖徳太子が父・用明天皇の菩提を弔うために創建しました。
さらに、壇ノ浦の戦いで平家が滅亡に追いやられた後、平清盛の娘・建礼門院徳子が終生を隠棲した場所でもあります。
実は2000年に放火によってご本尊と本堂が焼けてしまったのですが、それをきっかけに、ご本尊の中から10センチほどの小さな仏像が3400体も発見されました。
歴史的価値のある寂光院で火事が起きたことはとても残念ですが、こんな発見ができたのは不幸中の幸いとも言えるのではないでしょうか。小さな仏像は、寂光院の中の宝物展で見られますよ。
寂光院 所在地:京都府京都市左京区大原草生町676
日帰り温泉や100年続く味噌と共にほっと一息 京の民宿 大原の里
リピーターさんの多い「大原の里」は、寂光院までの道中にあります。
こちらの手作り味噌は100年の歴史があり、なんと味噌鍋発祥のお店。味噌を使ったスイーツがたくさん販売されています。
元々は家庭で楽しむための料理だったようですが、今では外国人観光客にも大人気です!
民宿の中にある大原温泉は日帰りでも宿泊でも利用できるので、様々なプランでお越しになる方におすすめです。
豊かな自然の中で、おいしい味噌鍋と落ち着いた雰囲気の温泉で、のんびりと癒されること間違いなしですね。
さらに、お向かいにある「雲井茶屋(くもいぢゃや)」では、無添加の樽出し味噌を使った味噌鍋と、鮎の塩焼きも食べられますよ。少しでも京都・大原の魅力を知っていただけたでしょうか?
お店の雰囲気もよく、疲れを癒したい時、ゆっくりしたい時におすすめです!
大原の里 所在地:京都府京都市左京区大原草生町41
祇園や清水寺などの定番観光スポットとは違った楽しみ方のできる京都大原。自然に囲まれて先人たちに大切にされてきた京都大原への旅はいかがでしたか。
平安貴族も隠里にした品高い大原で癒しの空間を楽しんでみてはいかがでしょうか。