海だけじゃない!大磯に魅了された島崎藤村ら偉人の足跡をなぞる!
大磯と言えば海水浴場のイメージがあるかと思いますが、魅力は海だけではありません。多くの偉人も邸宅を構えていた大磯の、日常の中に溶け込んだ豊かな自然と歴史残る町並みを見に行きませんか。
この記事の目次
1885年軍医総監松本順が日本ではじめて海水浴を取り入れた地
日本で海水浴が始まったのは、軍医総監松本順が健康増進と体力向上のために推奨したためです。有名な歌舞伎役者を連れて来たり、歌舞伎の演目を作らせるなど、尽力のかいあって大磯の名と海水浴は日本に広く知れ渡りました。
そんな松本順の業績をたたえ、「松本先生謝恩碑」と書かれた碑が大磯の照ヶ崎海岸に立っています。
照ヶ崎海岸は海を見渡しながら歩くことができる堤防も整っていて、5月~10月頃の昼前であれば海水を飲みにやってくるアオバトの姿を見ることもできるでしょう。アオバトは大磯町のマスコットキャラクター「いそべぇ」のモチーフでもあります。アオバトの集団飛来地として貴重な照ヶ崎は神奈川県の天然記念物にも指定されています。”
吉田茂や島崎藤村にも愛された、変わらない味の老舗和菓子屋「新杵」
国道沿いにたたずむ趣ある建物。立派な看板には「新杵(しんきね)」の文字がかかれており、歴史を感じる外観が期待をふくらませます。1891年創業という、老舗店で、吉田茂や島崎藤村にも愛されたお店です。大磯銘菓でもある西行饅頭や虎子饅頭が名物ですが、店内に並ぶ和菓子すべてがかわいらしく見るだけでも心躍ります。お土産を買う際にはぜひお早めに「新杵」へ寄って、昔から続く和菓子屋さんのお菓子を堪能してみてください。
大磯の有形文化財に指定される「鴫立庵」と史跡名勝記念物「鴫立沢」
鴫立庵(しぎたつあん)は大磯町の有形文化財に、そして鴫立沢(しぎたつさわ)は史跡名勝天然記念物に指定されています。国道沿いにもかかわらずとても静かな場所です。西行の残した有名な句「心なき身にもあはれは知られけり鴫立沢の秋の夕暮れ」にちなんで1664年に鴫立沢の標石が建てられ、1765年に大淀三千風(おおよどみちかぜ)が入庵して以来、京都の落柿舎、滋賀の無名庵と並ぶ日本三大俳諧道場として現代まで続いています。
松尾芭蕉や歴代庵主(あんしゅ)の句碑などが並ぶ庭には紙と硯なども用意されており、その場で俳句を読むこともできるようです。飲み物とお茶菓子をいただくこともできるので、300年以上続く歴史に思いをはせながら、一句たしなんでみてはいかがでしょうか。
大磯の閑静な住宅街に残る 割竹垣に囲まれた島崎藤村の風通る家
静かな住宅街を通り抜けると、竹垣に囲まれた家がありました。簡素を信条とするする島崎藤村らしい三間の和室と緑にあふれた庭が残されています。島崎藤村は亡くなる前の2年余をこの大磯の地で過ごしました。この場所を選んだ理由、気に入った理由が訪れればわかるような穏やかな場所です。室内へ上がることはできませんが、庭から十分に見学できる風通しの良さそうな家は見るからに過ごしやすそうです。
執筆途中であった原稿や「涼しい風だね」という言葉を模したオブジェなどが飾られていて、希少な当時の大正ガラスも見ることができます。
同じ大磯町にある地福寺には島崎藤村と妻の島崎静子の墓が並んで建てられています。当時の生活や島崎藤村の作品などに思いはせながら合わせて見学するのも情緒があります。”
歌川広重に描かれた宿場町大磯 昔の面影残る東海道の立派な松並木
大磯は東海道五十三次の8番目の宿場です。宿場の制度が設けられ、その整備の一環として約3.9㎞を一里として一里塚が作られ、道に沿って松やエノキが植えられました。旅人たちにとっての距離の目安や休息場所として役立っていたようです。松並木は現在の国道1号線沿いに続いています。当時の面影が残る場所が減っていっている中、両側とも終わりが見えない先まで立派な松並木が続いている様子は圧巻です。
車で一瞬のうちに過ぎ去ってしまうにはもったいない美しい道をゆっくりと散策してはいかがでしょうか。
また、大磯の町のいたるところには宿場として機能していた頃の様子が絵で描かれている看板がいたるところにあります。お店になっているところもあれば、自然の残っているところもあり、それを探して町散策するのも面白そうです。
東京から約1時間で行ける大磯は、海水浴シーズンだけでなくどんな季節でも変わらない魅力がたくさんあります。自然も歴史も地元の方の温かさにも魅了されるはずです。四季のある日本だからこそ楽しめる町と自然を見に足を運んでみてはいかがですか。