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かつて川端康成も訪れた「伊豆の踊子」の舞台 自然を感じて天城越え

  • 川端康成の小説「伊豆の踊子」に描かれていることで知られる伊豆、天城の自然。
    今回は今もなお天城の自然が色濃く残り、「伊豆の踊子」ゆかりの地といわれる踊子歩道の一部をご紹介します。

    伊豆の踊子が歩いた道 天城の自然がそのまま残る「踊子歩道」

    踊子歩道のスタート地点は、日本の滝百選にも選ばれ伊豆随一の名瀑と名高い「浄蓮の滝」ですが、今回は旧天城トンネルの手前のバス停である「天城峠」からの道をご紹介します。ここまでは修善寺駅の東海バス乗り場から「昭和の森会館」「河津駅」行きで約45分で到着します。バスの本数が少ないため行き・帰りともにバスの時刻を確認してから出発することをおすすめします。

    辺りには原生林が生えている踊子歩道を歩き始めると、道が整備されているとはいえあたりは原生林で覆われ、つづら折りの道が続きます。大きな石がごつごつとしていたり急斜面が所々あるので、足元には十分に気を付けてください。

    緑が鮮やかな苔が生えた階段あちこちに苔が生えており周りを見渡しても人の手はあまり加えられておらず、自然がそのまま残っていることがよく分かります。今回は紹介できませんでしたが、踊子歩道には川端康成をはじめとし、島崎藤村や横光利一の文学碑があるので、自然を感じながら文人ゆかりの地をめぐるのもおすすめします。

    「旧天城トンネル」 小説「伊豆の踊子」の舞台を歩く

    少し薄暗いトンネルの中
    天城峠から約10分ほど歩いていくと、旧天城トンネルにたどり着きます。正式名称は「天城山隧道」といい、道路としては初めての、国の重要文化財に指定されています。
    全長は445.5mあり、トンネル内を通り抜けることができます。

    「天城越え」として知られる旧天城トンネルですが、「天城越え」とは、伊豆半島の北側と南側を結ぶ天城峠を超えることを言います。かつてはこの天城峠を超えることは難所とされていましたが、旧天城トンネルができたことから、南北の交通網が整うようになりました。

    苔むした石造りの入り口は、鮮やかな緑色が目を引きます。

    一つ一つ表情の異なる石材を使用したトンネルの内部

    川端康成の「伊豆の踊子」の一節には、「暗いトンネルに入ると冷たい雫がぽたぽた落ちていた。南伊豆への出口が前方に小さく明るんでいた...」とありますが、まさにその通りでトンネルの中は薄暗く、空気がひんやりとしています。時折頭上から滴れる雫が一層その場の空気を冷たくしている様に感じます。トンネルの中を灯すオレンジ色の明かりが、少し幻想的です。

    「伊豆の踊子」の場面を想像しながら、この旧天城トンネルを歩いていみてはいかがでしょうか?

     

    天城の名瀑の一つ「二階滝」 二段になって落ちゆく河津川の源流

    舗装された踊子歩道
    旧天城トンネルを出るとよく舗装された広い道が続きます。道も平らで歩きやすいので、周りの木々の景色を楽しみながら歩くことができます。
    道なりに沿って約15分ほど歩いていくと、寒天橋が見えてきました。寒天橋を渡ったところのすぐ側には観瀑台があり二階滝(にかいだる)が流れています。

    二段になって水が落ちる二階滝二階滝は高さ20mほどで、二段になって水が落ちていくのが特徴です。河津川の源流初めての滝で、滝の周りには木々が生い茂っています。観瀑台の周りにも木々が多く茂っているため、二段になって水が流れ落ちる滝の全貌を見るには、葉っぱが落ち切った冬が良いのかもしれませんが、ハイクシーズンにはきっと緑が生い茂って美しい光景が広がっていることでしょう。
    自然が多く残り今でも多くの観光客が訪れる踊子歩道。自然豊かだからこそ季節によって様々な表情を見せて、私たちを楽しませてくれます。
    初めての方も一度来たことがある方も、是非踊子歩道を歩いてみませんか?