伝統と文化を紡ぐ町「湯浅」 重要伝統的建造物群保存地区をぶらり旅
和歌山県の北部に位置する「湯浅」には、古き良き街並みが残っており、重要伝統的建造物群保存地区として今でも大切に保存されています。
そんな街並みから垣間見える「湯浅」の伝統や文化を感じながらこの町を散策してみましょう。
この記事の目次
湯浅町の重要伝統的建造物群保存地区を伝統や文化を感じながら散策
湯浅駅から約10分歩くと、「重要伝統的建造物群保存地区」にたどり着きます。
着いた瞬間、まるで映画の中にいるような、タイムスリップしたような、そんな感覚になりました。
「醤油の発祥地」として有名な湯浅町は、長い歴史に彩られた町です。
保存地区は旧市街地の北西に位置し、東西約400m、南北約280m、面積にして約6.3ヘクタールに及びます。
家と家の間に、見過ごしてそしまいそうな細い道がたくさんあり、これらを「小路小路(しょうじこうじ)」と呼びます。
これは、生活と密接に関わる道で、人の流れや小さいドアなどから、人々の暮らしがよく伺えます。
湯浅町の一部は2006年12月19日に全国初の醤油の醸造町として、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。
湯浅町には当時を伝えるものが数多く残されており、今まで知らなかった昔の人々の暮らしや伝統、文化に気付かされました。
「重要伝統的建造物群保存地区」として後世に残し、その土地の伝統、文化を伝え続けることは、本当にかけがえのないことですよね。
江戸末期に建てられた「岡正」から始まる語り部さんと巡る湯浅町
重要伝統的建造物群の入口にあるのが、こちらの「岡正」です。
もともとは「岡正(おかしょう)」という屋号の酒店でした。
この建物は現在、観光案内所、そして物産販売所として地域の人々や旅行者を支えています。
数多くのパンフレット類や湯浅の土地の歴史の展示があるので、重要伝統的建造物群へ訪れた際は、まずこちらの岡正へ来ると良いかもしれませんね。
そんな「岡正」には、湯浅という地域を愛し、湯浅のことなら何でもご存じだという「湯浅ガイド協会」の語り部さんがいらっしゃいます。
語り部さんに様々なお話をお伺いしながら歩く街並みは、一人で歩くときととはまた違った知識や気付きが得られるに違いありません。
語り部さんは多くの旅人を案内しているため、早めの予約が必要です。
料金はなんと無料です。より深く湯浅を知りたい方は、ぜひ語り部さんに案内してもらってみてはいかがでしょうか。
重要伝統的建造物群保存地区に現存する湯浅の住まいの特徴は必見
では、この保存地区の家々から伺える、住まいの特徴を見ながら散策してみましょう。
ぜひ、現在とは違った家々を宝探し感覚でめぐってみてください。
◆厨子(つし)2階と本瓦葺
明治頃までは厨子2階と呼ばれる低い2階建で2階部分は物置や使用人部屋でした。
年代が新しくなるにつれて建ちが高くなり、やがて総2階となります。屋根瓦は本瓦葺の伝統が大正期頃のものまで強く残っています。
◆虫籠窓(むしこまど)
近世~近代初頭頃の建物の2階に見られる窓で、格子を漆喰で塗り籠めています。
単純な四角形か木瓜(もっこう)型に分かれますが、周囲に額縁を施した重厚なものなど、様々なデザインがあります。
◆幕板(まくいた)
雨水や霧状になった雨粒が屋内に吹き込むのを防ぐために、庇の軒先に下げられている木製の板があり、これを幕板といいます。
降水量の多い地域ならではの先人の知恵というわけですね。
◆格子(こうし)
昔は、トオリニワ横のミセには取外し可能な高さ3尺程度の手摺状の格子、店奥の表には繊細な切子格子が建て込まれています。
大正期以降になると長大な出格子が多く見られるようになります。
その他にも、白壁の土蔵など、醤油醸造の伝統を感じる家並みが残っています。
見たことのない建築の興味深い部分を多く見つけることができ、とてもわくわくする旅でした。
これは何だろう?何のためだろう?と考えながら昔の町並みを散策するのも面白いかもしれませんね。
いかがでしたか?
湯浅には、当時の街並みや人々の暮らしを伝えるものが今もなお多く残されています。
歴史や伝統を感じながら、まるでタイムスリップしたかのような気持ちでこの街を歩いてみてはいかがでしょうか。