歴史好き必見!歩いて味わう江戸の風情が残る伊勢の歴史を巡る旅
三重県伊勢市は、「お伊勢さん」と共に歩んできた街であり、たくさんの産業が栄えていました。
「伊勢路がみたい、せめて一生に一度でも」と歌われ、江戸時代、伊勢参りは庶民の夢でした。
「伊勢」にはまだまだ知られていない歴史的な文化が今でも数多く残っていて、今回は伊勢神宮から歩いて行ける歴史発見に出かけます。
この記事の目次
江戸時代 お伊勢参りの人で大賑わい!伊勢神宮を結ぶ古市街道
三重県にある日本人の心のふるさと、伊勢神宮は、衣食住の神様を祀る外宮と日本人の氏神様を祀る内宮に分かれています。
この二つを結ぶ最古の街道を古市参道街道と言い、現在でも伊勢の特徴的な街並みである妻入り家屋や名所・旧跡も多く残っています。
この古市という街は、江戸時代、庶民たちが伊勢神宮参拝後に精進落として遊郭に訪れたことで有名な歓楽街として発達していました。
全盛期には、姑楼70軒、遊女1000人を抱える三大遊郭として栄えていました。
当時、年間500万人もの人たちが「おかげ参り」のついでに「伊勢音頭」を聞きながら立ち寄り、大賑わいを見せていたそうです。
楽しみ方はさまざまであったため、この街を訪れたのは男性だけではなく、歌舞伎を楽しみに女性も多数訪れていたそうです。
現在は戦災により、焼失してしまっていますが、歌舞伎『伊勢音頭恋寝刃』(いせおんどこいのねたば)の舞台となった油屋などもこの街にあったそうです。
資料だけじゃない!古市参道街道資料館が伝える本物の伊勢街道
古市参道を進むと、古市参道のちょうど真ん中あたりに「伊勢古市参宮街道資料館」という建物が見えてきます。
伊勢の歴史が多く残る古市を学べる資料館で、実際に歌舞伎で使われていた京友禅の着物や、当時の写真もたくさん飾られています。
そして今回この記事で伝えたいこと、資料館にぜひ立ち寄ってほしい訳は、この資料館の館長さんである世古富保さん(68)にあります。
伊勢市出身で、魅力たっぷりの伊勢・古市の歴史について詳しくお話を聞くことができます。
また、幼い頃、伊勢市にある神宮徴古館の樹齢数百年の大木の下を駆け回っていた記憶と体験から、30年余りこのレリーフ作品「樹幹」シリーズを手がけ続けているそうで、作品からは雄大な自然のエネルギーが感じられました。
作品で展示会場を埋め尽くし、70歳では画集をまとめるという夢を持っていてパワーあふれる方です!
ぜひ、元気いっぱいの館長さんに、伊勢の魅力を尋ねてみてはいかがですか?
所在地:(伊勢古市参宮街道資料館)三重県伊勢市中之町69
公式HP:伊勢古市参宮街道資料館
登録有形文化財 創業200余年の「麻吉旅館」で江戸時代にタイムスリップ!
資料館を出て古市参道を10分程歩いていくと、誰もが足を止める歴史を感じさせる外観が目に入ります。
この建物は、江戸時代のベストセラー、弥次さん喜多さんで有名な十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも登場する「麻吉旅館」です。
丘陵地ならではの5層6階木造の懸崖造りで、国の登録有形文化財にも指定されています。
昔から聖があれば俗があるといわれるように、麻吉旅館も江戸の頃、「花月楼 麻吉」として常時30人もの芸姑を迎える大変な賑わいを見せていたお茶屋でした。
200年以上もの時間、幾度も風雨に晒されてきた建物で、遊郭だったころの面影を残し、歴史的にも貴重な再現性のない本物の歴史を感じることができます。その名の通り今も旅館として営業していて、有名人も多数訪れるそうです。
中に入ってみると200余年残ってきた理由がわかるかもしれません。
所在地:(麻吉旅館)三重県伊勢市中之町109
古くて新しい「蔵」巡り ここにしかない!風情ある街歩きがおすすめ
伊勢市駅、宇治山田駅、どちらから出発しても徒歩で15分の距離に、時代劇で使われる映画のセットのような街並みがあります。
室町時代中ごろに、川のほとりを埋め立てて作られ、江戸時代から勢田川の水運を利用した問屋街として発展したのが伊勢の河崎です。
陸運が発達した現在では、その役目が終わってしまいましたが、川沿い約1kmには当時の面影ある妻入り造りの商屋群や黒塗りの蔵が続く街並みが続きます。
当時は伊勢神宮への参宮客が食料や日用雑貨を扱う問屋街で、「伊勢の台所」としての役割も果たしていました。
この街並みはカメラをどこに向けても、懐かしみを感じるような写真をとることができます。
お散歩しながら歴史を体感できるのはとっても魅力的ですね。
所在地:伊勢市河崎2-25-32
公式HP:伊勢河崎商人館
駅が登録有形文化財!内閣総理大臣も通る宇治山田駅へ
宇治山田駅は1931年に建てられた近代建築で、2001年に国の有形文化財に登録されました。
当時から鉄筋コンクリート3階建てで、駅舎の幅が120mもあり、写真を撮ろうとしてもなかなか全体が収まらないほどの大きさでした。中もとても天井が高く、とても雰囲気があります。
伊勢神宮参拝の窓口となってたため、天皇陛下などの木賓客も多く訪れました。
毎年1月4日恒例、内閣総理大臣の伊勢神宮参拝の乗降駅ともなっています。
一般公開はされていないようですが、駅の2階には貴賓室も設けられているそうです。
毎日たくさんの観光客や地元の人が利用しているようなのですが、国の有形文化財に指定されるほどの美しい建物を日常的に利用できるなんて素敵ですね。
ぜひ伊勢旅行に来た際には、少し遠回りしたとしても、たくさんの人に利用していただき、この魅力を体感していただきたいです。
所在地:516-0037 三重県伊勢市岩渕2丁目1-43
産業が栄えた場所には必ず文化が生まれます。
伊勢神宮と共に歩んできた地域ならではの、当時の人々の生活がわかる文化がこの地域にはたくさん残っています。
是非、ここに来て、我々の先祖の暮らしを覗いてみませんか?