兵庫県篠山市 歴史を刻む二つの館が織りなす非日常の空間に浸る旅
篠山城の城下町として繁栄し、今もなおその面影が色濃く残る兵庫県篠山市。
武家屋敷が並ぶ町並みを歩くだけで往時の風景が目に浮かびます。
今回は、当時の暮らしのかたちをそのまま残す二つの文化施設を巡ります。
この記事の目次
重伝建地区で当時の暮らしが見える武家屋敷 篠山市立安間家史料館
JR大阪駅から特急こうのとりに乗ること約1時間22分、JR篠山口駅に到着します。
飛行機をご利用の場合は、関西国際空港から特急はるかでJR新大阪駅まで出て特急こうのとりにお乗り換えが便利です。
JR篠山口駅から篠山営業所行のバスに乗って約16分。篠山本町で下車後南へ足を向けて歩くと、江戸風情を感じる落ち着いた空間が広がっています。
この辺りは「御徒士町」と呼ばれ、武家屋敷が数多く残されていることから伝統的建造物群保存地区に指定されています。
その歴史は遡ること1611年の篠山城が完成した翌年。城下町の町割りが行われ、御徒士町辺りは徒士が住むこととなります。
その後1830年に町全体が火災に見舞われて、火除地を設けるなどの工夫がなされながら新しい武家屋敷が建てられていったそうです。
歩くこと約7分。茅葺の美しい屋根が見えてきます。
今回はその武家屋敷の一つ、篠山市立武家屋敷安間家史料館(ぶけやしきあんまけしりょうかん)を訪れます。
安間家史料館は篠山藩主青山家の家臣であった安間家の住宅です。
屋敷全体が資料館となっているため、一歩中に入れば当時の生活の様子を体感できます。
家の中には、安間家に伝来した古文書や日常に用いられた食器類や家具類、篠山藩ゆかりの武具や史料が展示されています。
ゆっくりと時の流れを感じながら、当時の生活に思いを馳せるのもいいですね。
日本六古窯 丹波焼の水琴窟が奏でる音色に包まれ 当時の篠山を思う
では、次の見どころ「庭園」へ参りましょう。
安間家史料館には「丹波水琴窟(たんばすいきんくつ)」という江戸時代の庭園文化を用いており、心和む素敵な音を聞くことができます。
水琴窟とは江戸時代に日本庭園文化の一つとして考案されたもので、地中に空洞をつくり、そこにしたたり落ちた水の音が反響し、美しい音色が聞こえる仕組みです。
実際にきくことができ、その音色に当時の職人さんの知恵と温かさを感じます。
また、こちらの水琴窟には日本遺産に登録された「日本六古窯」の一つ、「丹波焼」が使用されています。
質朴さが魅力の丹波焼が、音色と相まって落ち着いた空間を創り出します。
所在地:兵庫県篠山市西新町95
公式HP:「篠山市立武家屋敷安間家史料館」http://www.withsasayama.jp/REKIBUN/anma_top.htm
市指定文化財 我が国最古の木造建築裁判所「篠山市立歴史美術館」
篠山市立安間家史料館から北東に歩いて約14分のところにある「篠山市立歴史美術館」を訪ねました。
1981年まで使用されていた篠山地方裁判所の建物が、外観と旧法廷を残して内部を改装し、翌年の1982年に篠山市立歴史美術館として生まれ変わりました。
木造建築の裁判所としては我が国最古のものであり、重要建造物として市指定文化財に指定されています。
こちらは公開されている旧法廷です。
床や台に使われている木が年季を感じさせます。
初めて見る法廷はとても迫力を感じ、当時のまま残っていることに大変価値を感じました。
裁判官の席では実際に明治時代の裁判官になれる「裁判官体験コーナー」が設置されており、衣装と帽子を着て写真撮影ができます。
是非、日本最古の法廷空間を体感されてみてはいかがでしょうか。
旧法廷の他にも古くから伝わる武具、漆芸、絵画などの美術品をはじめ、古代からこの地方の文化を物語る埋蔵文化財が展示されています。
貴重な明治建築とともに是非ご覧ください。
安間家史料館、歴史美術館、青山歴史村、篠山大書院にお得に入館できる四館共通券(大人:600円/大・高校生:300円/中・小学生:150円 2017年1月時点)が各歴史館の窓口にて販売されていますので、篠山の歴史旅には、ご購入されるのがおすすめです。
所在地:兵庫県篠山市呉服町53
公式HP:「篠山市立歴史美術館」http://www.withsasayama.jp/REKIBUN/rekibi_top.htm
武家屋敷に法廷と、歴史が刻まれた館は昔の篠山での暮らしや様子がありのままに残されています。
一歩足を踏み入れれば、そこはもう往古の世界です。
普段感じることのできないその世界をすこしのぞき見しませんか。