豊臣秀吉や千利休が愛した有馬で和歌と伝統工芸「有馬籠」に触れる
国内だけでなく、海外からも多くの観光客が訪れている兵庫県の有馬は戦国時代には豊臣秀吉が湯地のために訪れた街としても有名です。秀吉は有馬へ千利休を招き、度々お茶会を開催しています。駅周辺に温泉などが密集している有馬ですが、今回は少し遠くまで足を延ばして散策しながら有馬の歴史を紹介します。
この記事の目次
瑞宝寺公園で感じてみませんか?有馬での豊臣秀吉と千利休の面影
有馬温泉駅から歩いて約15分のところにあり、紅葉と名所として秋には多くの人が訪れる「瑞宝寺公園」は落ち着いた印象の静かに時が刻むような公園でした。
そんな瑞宝寺公園は、別名「日暮らしの庭」とも呼ばれています。
その理由は、秀吉が「終日見ても飽きない」と言ったためです。
秀吉はここに千利休を招き、度々お茶会を開催していました。11月には、秀吉と千利休を偲んで、お茶会が開催されています。
公園の奥に進むと見えてくるのが石の碁盤です。
ここで秀吉は碁を打っていたと言われています。
秀吉は戦略を考える上でも碁は優れていると、武士の趣味として奨励していました。
ここに腰を掛け、当時の秀吉気分を味わってみませんか?
さらに奥へ進み、階段を上ると見えてくるのが、秀吉ゆかりの伏見桃山城から移築された山門です。
伏見城とは豊臣秀吉が自分の隠居生活を送るために築城したものです。徳川幕府に入り、伏見城は廃城しますが、多くの建物が違う場所に移され、再利用されました。
この山門の付近には、どこか厳かで、ここだけ時代が異なるかのような空気が流れています。是非その雰囲気を体感してみてください。
有馬の歌といえばこれ!瑞宝寺公園で百人一首の世界へ想いをはせる
もう1つ、瑞宝寺公園には是非見てほしいのがあります。それは、「大弐三位の歌碑」です。
ありま山 ゐなの篠原 かぜ吹けば
いでそよ人を 忘れやはする
百人一首の1つでもあるこの歌。聞いたことがある方も多いのではないのでしょうか。
この歌は、足が遠くなった男性が女性の心をさぐるように歌を寄せてきたので、
「どうして私が貴男を忘れたりいたしましょう。お忘れになったのは貴男の方ではありませんか?」
と言い返した歌です。
この歌で登場する「ゐなの篠原」。この言葉を現代の漢字に変えると、「猪名の笹原」です。有馬を歩いていると、竹林見つけることができます。
瑞宝寺公園を歩いている途中に竹林があります。
風でそよそよと揺れる竹を眺めていると、どこか寂しい気持ちがしました。
大弐三位をこの竹をどのような気持ちになったのか想像してみてください。
所在地 : 651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町
千利休も愛した有馬の伝統工芸「有馬籠」 の制作過程を体感しよう
先ほど訪れた竹林を使った伝統工芸品があります。
それは「有馬籠」です。
有馬籠とは、茶道具として使われる竹細工の籠ことです。
その歴史は古く、発祥は安土桃山時代です。
千利休がお茶会の際、この有馬籠の花籠を愛用していたといわれています。
現在有馬籠を製造しているのが「有馬籠くつわ」というお店のみです。
創業してから約100年経つこのお店には、茶道具で使う花籠などの道具だけでなく、カバンやキーホルダーなどの商品も販売されています。
この通りを右手に曲がると見えてくるのが、この「有馬籠くつわ 本店」です。
本店では、運が良ければ職人さんが実際に有馬籠を作っている姿の見学や、お話をお伺いすることができます。
その有馬籠を作る上で、最も難しいのが竹を割る作業です。
竹を編むために細く割いていく作業は、見ていても根気のいるものだと感じられます。
この有馬籠くつわでは、籠だけでなく、箸や置物なども販売されています。
今回は有馬籠くつわ支店で箸置きを購入しました。
どれも美しく、手作りとは驚きの品々が販売されています。
是非お気に入りの一品を見つけてみてください。
所在地 : 651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町1054
公式HP : 有馬籠
秀吉がお茶会に千利休を招待 有馬三山 「灰形山」の由来とは
有馬温泉駅を南へ約15歩くと見えてくるのが灰形山(はいがたやま)です。
灰形山は、有馬三山のうち二番目に大きい山です。秀吉が有馬でお茶会を開く際に、千利休を招待しました。
そのお茶会で、千利休がこの山の形に似せて、風炉の灰を盛ったことがこの「灰形山」の名前の由来です。
風炉とは、茶道で茶釜を火に掛けて湯をわかすための炉のことです。
他にも、有馬の南側には濃い緑が美しく、立派な山が連なっています。
長年有馬を見守ってきた山々を見上げ、有馬の歴史、そして千利休に想いをはせてみてはいかがでしょうか。
所在地 : 651-1401 兵庫県神戸市北区有馬町
有馬の地を実際に歩いてみるからこそ、発見できるものがあります。
有馬を訪れた際には、豊臣秀吉と千利休のゆかりの地を巡りつつ、少し遠くまで足を運んでみませんか?
そして、中心地以外にも残る有馬の歴史を感じてみてください。