東京世田谷で代官の仕事を体感できる 一日で世田谷の歴史まるわかり
商店街のある静かな街、東京都世田谷区の「上町」。歩いているとレトロな街並みが懐かしい気分にさせてくれます。そんな上町に平日でも続々と人が訪れる歴史のスポットがあります。今回は世田谷の上町で人々の仕事の変遷ご紹介します。
この記事の目次
国指定重要文化財 都内唯一の貴重な代官屋敷「世田谷代官屋敷」
東急世田谷線の上町駅から徒歩約5分、駅から南に進んで突き当りを左手に進むと右手に見えるのが「世田谷代官屋敷」です。
商店街の景色から一変、一瞬にして江戸時代の雰囲気が漂います。
世田谷代官屋敷の表門と中にある主屋は、国の重要文化財に指定されています。表門と主屋の屋根は同じ造りで、寄棟造りの茅葺屋根と呼ばれます。
内側から見ると空洞になっており、天井が高く、比較的夏は涼しく冬は暖かくなるような造りになっています。
近世中期の代表的な上層民家を保存している貴重な建造物であり、国の重要文化財に指定されました。
主屋の中には代官の執務室がある他に、「切腹の間」と呼ばれる部屋があり(写真の一番奥の部屋)、大場家では「ことあるときはここでいつでも腹を切る覚悟で職務に当たった」と伝えられています。
死ぬ覚悟で仕事をしていた、責任感の強い代官様だったのです。
所在地 : 〒154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目29−18
代官の仕事って死体の検視まで?本物の白洲跡と「世田谷郷土資料館」
世田谷代官屋敷の敷地の中を進むと被告人を取り調べる「お白洲の跡」があります。
当時の位置からは少し離れているようですが、玉砂利自体は実物になります。
ここに座った人の気持ちを想像するだけで胸が締め付けられます。代官の仕事は防犯や取締り、変死体の検視まで多岐に渡りますが、このように治安を守ることも重要な責務でした。
屋敷の中には他にも、突棒・刺又・袖搦という三ツ道具が置いてあり、犯人を捕まえるために使われていました。
自然と情景が浮かんでくるので年貢から犯罪のことまで、責任重大な仕事をしている姿は勇敢だったのだろうと思います。
世田谷代官屋敷の中には「世田谷郷土資料館」が併設されています。
こちらは1946年に開設された東京都内で最も古い公立地域図書館になります。
原始時代の遺跡から現代の世田谷の姿まで、貴重な資料や映像を見ることができます。
また無料で入館できるのも嬉しいです。
世田谷代官屋敷に訪れた際には、是非「世田谷郷土資料館」にもお立ち寄りください。
所在地 : 154-0017 東京都世田谷区世田谷1-29-18 ボロ市通りの世田谷(大場)代官屋敷敷地内
公式HP : 世田谷区立郷土資料館
世田谷名物ボロ市の通り 代官屋敷すぐそこの手打ちそば屋「富士屋」
世田谷代官屋敷を出て左手に進み2軒先にあるのが、創業45年になるそば処「富士屋」です。
長年地元の方から愛されているお店で、創業当時から通う常連の方々がご店主と楽しく会話をしています。
おすすめは「天そば」です。こだわりの手打ちそばで、しっかりコシのある麵に、サクサクの天ぷらです。
食後には体に良い蕎麦湯をおつゆに注いで温まりましょう。腹持ちがとてもよく、美味しくてヘルシーな一品です。
お店が面している大通りは、毎年12月と1月の4日間に、430年以上続く「ボロ市」が開催されています。
小田原城主の北条氏政がこの地に楽市を開いたのが始まりとされており、主に古着や古道具を売っていたことから「ボロ市」という名がつき、東京都の無形民俗文化財にも登録されています。
この通りは普段は静寂ですが、ボロ市の時は非常に多くの人で溢れかえるそうです。
名物は代官屋敷の左斜め向かいにある天祖神社(てんそじんじゃ)でついたお餅「代官餅」。地元の方でもなかなか買えないほど人気だそうです。
所在地 : 154-0017 東京都世田谷区世田谷1丁目29-14
いかがでしたか?
世田谷代官屋敷では貴重な建物や代官の仕事を体感できます。
裁判官から警察までの仕事全般という膨大な仕事を、市民のために死ぬ覚悟で職務に当たっていたとは、頭が上がりませんね。
世田谷へ訪れた際は是非、名物のボロ市に参加しながら歴史を巡ってみてくださいね。濃い歴史旅になること間違いなしです。