世界遺産高野山 空海を感じ 自分と向き合う ここにしかない体験旅
和歌山県高野山。ここは全国から修行僧が集い、日々精進している神聖な場所。高野山二大聖地のひとつ、壇上伽藍で高野山の中心。
真言密教の聖地で非日常を体感し、心と身体に染み込む神聖なパワーを感じてみましょう。
この記事の目次
世界遺産高野山 真言宗の総本山金剛峯寺にしか味わえない空気とは
真言密教の聖地高野山。そこには大変多くの寺院が立ち並び、今もなおその役割を果たしています。
ロープウェイから高野山へ上り、そこからバスに乗り約15分で高野山の入り口に。その先の九度山から続く町石道の終点にある大門へ。
大門を超えると大伽藍「壇上伽藍(だんじょうがらん)」を備えた真言密教の総本山金剛峰寺にたどり着きます。
全国では3554の高野山真言宗の寺があるそうで、その3554ものお寺の頂点に位置するのが、ここ金剛峯寺というわけです。
金剛峯寺とは金剛峯(高野山)の寺院のことを言い表し本来高野山一山の総称でした。
しかし、明治初年に興山寺と清巌寺(天下統一を成し遂げた戦国武将・豊臣秀吉が亡母のために創建した)を合併し、再建した後に金剛峯寺と改名されました。
寺院内には日本最大の石庭である「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」が造園されています。
石庭には白い雲海の中に雌雄一対の龍がこの奥殿を守っているように、描かれておりついつい見入ってしまいます。
蟠龍庭の広大さ、美しさに足を止めて、時間という概念を忘れて眺めてしまいますよ。
その他にも多くの文化財が収蔵される、広大な敷地内で迷ってみてはいかかでしょうか。
高野山で清らかな体験を 写経で心を洗い 十か条の戒律で心を清める
高野山の全てを司る大寺院「金剛峰寺」。
そこには壇上伽藍という独特の伽藍配置がなされ、金堂を中心にして周りに塔やその他のお堂が建ち並んでいます。
真言密教のシンボルとなる根本大塔が木々の間から鮮やかな朱色の身体をのぞかせます。
伽藍とは、僧侶が修行をする場所という意味で、由来はインドのサンスクリット語からきています。
弘法大師が真言宗を開祖するにあたって、最初に着手したのが僧侶の修行の場であるここ壇上伽藍(だんじょうがらん)。
設計では密教思想に基づき、地面から少し高い位置にするため、石段の上に伽藍が建立されています。
これを伽藍と合わせ読むと、壇上にある伽藍という意味合いで「壇上伽藍」になります。
この壇上伽藍は、「胎蔵・金剛の両界曼荼羅(たいぞう・こんごう・りょうかいまんだら)」という大日如来が創造した世界観を大師・空海独自の発想で具現化したものだといわれております。
壇上伽藍には正式な参拝方法があり金堂を中心として常に右肩が金堂を向くように、中門から時計回りに参拝していきます。
お堂内では、かの有名な江戸時代の芸術家、狩野探幽が描いた「梅月流水」や様々な巨匠の襖絵の間を展示しています。
また更に奥へ進むと、広々とした大広間があります。
そこでは金剛峰寺の住職が、仏教や真言密教にまつわるお話をしてくださり、その日は運命についてのお話を聞きました。
本日高野山へと参る事、そして金剛峰寺へ来て運命のお話を聞く事、そしてお話ししてくださった住職さんと出会う事は全て運命によって決まっていた事だというお話でした。
こちらを読んでくださる事もまた運命なのかもしれませんね。
大広間を抜けると石庭「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」が見え、そこで今まで見てきたもの、感じたことを整理し旅の思い出として残すのです。
金剛峰寺の少し離れに大師教会があり、そこで写経体験と授戒を受ける事ができます。
お経の一番基本となる般若心経を写経し、約1時間から1時間30分ほどかけて書いていきます。
書いている時はもちろん無言で、黙々と筆を走らせる事で精神統一を図ります。
全て書き終えたら、自身のご祈願を最後に書いて完成、そのまま金剛峰寺に奉納します。
次に授戒では、読んで字の通り、戒めを授かる仏教のルーツの宗教が行う儀式の事で、十か条の戒律を授かります。
例えば、「不瞋恚(ふしんに)」という教えがあります。どういう事を意味するのかおわかりですか?
これは怒らない事を意味します。我を失うのではなく、自分の心の穏やかさを思い出し、心を落ち着かせるという事です。
このような体験で、心を落ち着かせ、日々のしがらみを忘れ、精進してみてはいかがでしょうか。
高野山弘法大使空海直筆 聾瞽指帰 1200年以上の歴史を目に
悠久の時が経った今でもこの地には歴史的価値の高い、寺宝が多く存在します。
霊宝館は高野山にまつわる国宝21点、重要文化財143点などの含め指定文化財の他、50,000点以上にのぼる絵画や彫刻などを収蔵しています。
本館自体も木造建造博物館として登録有形文化財に認定されています。 快慶作の四天王立像や空海直筆の書記などを初め、極めて希少な文化財を保管、展示しています。
展示されている国宝を目にすると彫刻や絵画の字や線の一つ一つから力強さを感じ、過去の偉人が何を想い、どの様に筆を入れたのかを想像せざる得ません。
運が良ければ、期間限定で ” 三大秘宝 ” が展示されていることがあります。
その中のひとつ『聾瞽指帰(ろうこしいき)』(空海自筆の巻物)は、筆の達人と呼ばれた空海の達筆な書を見ることができます。
また、空海の仏教の道に入る覚悟を筆に乗せてつづったこの聾瞽指帰からはゆるぎない覚悟と強さを感じます。
貴重な寺宝に想いを馳せて、仏教と芸術のつながりが生んだ傑作をご覧ください。
高野山奥之院と合わせて二大聖地のひとつ、高野山の中心、壇上伽藍。聖地で過ごす非日常の空間をご紹介してきましたがいかがでしたか。
山深い聖地で1200年続く信仰と自分自身を感じに訪れてみてはいかがでしょうか。