【佐原の歴史旅まとめ】人気観光スポットとグルメ情報をその歴史とともにご紹介
千葉県香取市佐原は、江戸時代に利根川の水運業で栄え、水郷の町として名を馳せました。成田空港からわずか30分という場所にあり、町には江戸風情感じる建物も多く残され、かつての繁栄した町の姿を今でも体感することができます。
都心近くで、日本の古き良き時代の空気感に触れたい!そんな方におススメの観光スポットをご紹介します。
佐原について
佐原は、千葉県香取市の北西部に位置します。
佐原までは、アクセスがとても簡単!
成田空港から京成本線で京成成田まで行き、JRに乗り換えてJR佐原駅まで向かいます。 電車に乗ること約38分で到着。
ちなみにJR東京駅からはJR千葉駅で乗り換えて約1時間43分でJR佐原駅に着きます。
水郷と言われ、まちなみが美しい佐原ですが、江戸時代の最盛期は、江戸へ食糧を運ぶ一大穀倉地帯として、さらに商業の町として大変賑わいを見せていたといいます。
米作、味噌、醤油、日本酒などの醸造業が盛んで、まちには昔からの家業を引き継ぎ、今も営業を続けている商家を多くみうけられます。現在でも佐原の商業を感じることができますよ!
その町並みは、歴史的景観をよく残していることから、関東地方で始めて国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。
町並みに関する詳しい記事はこちら▶▶
文化財の宝庫「佐原」まるで時代劇の中にいるかの様な美しい町並み
佐原の歴史的背景
中世以前の佐原
佐原はいつから人が住み始めたのでしょうか。香取市をはじめ、利根川下流域の各地には古墳や貝塚などが、多く遺されています。
香取ヶ浦の漁労を生業としていた人々が住み、村が形成されていきました。
それは、香取市に鎮座する有名な香取神宮からも読み解けます。現在の香取は「香取の海」と言われており、現在の霞ケ浦・北浦から印旛沼までを香取の内海になっていました。
海部と称された漁民の支配などもしていたのだとか。
さらに信仰は厚く、天変地異や疫病などに対してなすすべのなかった人々は、神様を祀るようになり、それがのちの香取神宮につながり、現在に至ります。
香取神宮に関する詳しい記事はこちら▶▶
古来より数々の勝利を導いた! 日本三大神宮「香取神宮」の魅力
近世の佐原
半農半漁の集落だった佐原ですが、なぜ商業を中心とした集落へと変わっていったのでしょうか。
それは、徳川家康が江戸幕府を開き、米中心の経済から貨幣経済へと変容していった経過と沿って変化していきました。
その大きな理由は、利根川にあります。江戸に幕府が開かれたとき、現在の利根川は、東京湾に注がれていました。
この流れを桃子の方へ変える「利根川東遷事業」により、1654年に利根川の本流を現在の利根川下流に流入させたことで、北浦、霞ケ浦、などから関宿を通って江戸に到達する舟運が完成したのです。
かつて、東北や北海道の物資を運ぶときは太平洋を南下し、銚子で海用の大きな船から川用の小さな舟に乗り換えました。
その際の中継地となったのが佐原でした。
宿場ということで、当時は旅籠や酒場、遊郭が大変賑わっていたといいます。
現在、利根川沿いの散策路が一般的な散策となっておりますが、旅籠や酒場、遊郭があったなごりのあるまちあるきもご紹介しています!
少し違った視点の散策も楽しんでみては?
佐原の町並みに関する詳しい記事はこちら▶▶
今も当時の趣が残る佐原「小江戸」と呼ばれる情緒ある町をぶらり旅
佐原にゆかりのある人物
続いては、佐原にゆかりのある人物をご紹介します!
だれもが知る佐原ゆかり人物はご存知でしょうか。初の実測での日本地図製作に取り組んだ人物、伊能忠敬です。
伊能忠敬と佐原の出会いは、まだ伊能が18歳の頃。
伊能忠敬は、現在の九十九里浜周辺で生まれました。
当時、地主・酒造・商い取引き・舟運などの幅広く商売を行っていた佐原村屈指の商家である佐原の伊能家に婿入りすることになります。
18歳で伊能家の娘と結婚し婿入りした伊能は、家業を継いで実業家として名を馳せました。
伊能は50歳の時に江戸に出てから本格的に天文学を学び、日本全国の測量を行います。そして初の実測によって作られた日本地図を作ったのです。
佐原には、伊能忠敬ゆかりの観光スポットがたくさん!ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
佐原の商人だった!伊能忠敬に関する詳しい記事はこちら▶▶
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佐原の主な観光スポット
さて、佐原のおすすめ観光スポットをご紹介します!
佐原の観光スポット お祭り編
佐原の文化といえば、佐原の大祭ではないでしょうか。なんとこのお祭り、水路と関係があることをご存知でしょうか。
江戸時代、徳川幕府により、参勤交代が制度化され、利根川で舟による輸送経路が開発されました。そのため、水郷として佐原も発達していきます。
なんと佐原は、1690年、幕府によって行われた河岸の調査で公認河岸とされた86箇所のうちのひとつに入ります。公認河岸として認定された佐原は、ますます働く人々も増えました。
そのなかでも有力な商人たちは、江戸の文化を吸収しながら、佐原特有のものを模索し忙しく働く人々をねぎらうため、佐原の祭りをはじめました。それが佐原の大祭の原型となっています。
佐原の大祭は、夏と秋の年2回ですが、お祭り以外でも楽しめるスポットが沢山あります!
八坂神社
佐原の大祭(夏祭り)の本宿八坂神社
アクセス:JR佐原駅から徒歩約15分
7月の第2土曜日の前後3日間行われます。
水郷佐原山車会館
八坂神社境内の水郷佐原山車会館
アクセス:JR佐原駅から徒歩約15分
佐原の大祭(秋祭り)の本宿諏訪神社
アクセス:JR佐原駅から徒歩約5分
10月の第2土曜日の前後3日間行われます。
佐原の大祭に関する詳しい記事はこちら▶▶
ユネスコ無形文化遺産 300年の伝統を受け継ぐ千葉「佐原の大祭」
佐原の観光スポット お土産編
佐原でしか手に入らないお土産をご紹介!愛らしい表情がすてきな佐原張子です。
佐原張子を唯一制作しているのが、1918年創業の「三浦屋」さんです。
3代目鎌田芳朗さんの祖父が明治の末期に、香取神宮の境内で達磨や、ゴム動力を用いた亀車を売り始めたことから佐原張子は始まったといいます。
三浦屋
アクセス:JR佐原駅から徒歩約15分
佐原張子に関する詳しい記事はこちら▶▶
愛らしい表情がたまらない 佐原で昔から人々の心を掴む佐原張子
佐原の観光スポット 建築物編
佐原は、舟運業で栄えた町ですが、佐原では新田開発と生産力増大による余剰作物を原料とした商品の製造が盛んになり、江戸へ送られる荷物も、年貢米だけではなく、酒やみそ、醤油などが増えていきます。
そのため、現在も多くの酒造や蔵が建ち並びます。現在でも、見学が可能なスポットもたくさん!
正上醤油店
アクセス:JR佐原駅から徒歩約10分
東薫酒造
アクセス:正上から徒歩約5分
馬場本店酒造
アクセス:東薫酒造の向かい
佐原の醸造場に関する詳しい記事はこちら▶▶
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ぜひお気に入りの一件を見つけてみてはいかがでしょうか!
佐原のおススメグルメスポット
町歩きには欠かせない、グルメをご紹介します!
真っ黒なおそばが特徴!小堀屋本店
小堀屋本店の創業は1782年で、関東でも有数の老舗であると言われています。ちなみに、1782年は、天明の大飢饉の前年だったそうです。
お店では、昔からの伝統の味をいただくことができます。
おすすめは、「黒切そば」。昆布を練りこんでいるため、真っ黒のお蕎麦になっています。
黒切りそば:900円
もりそば:570円
小堀屋本店アクセス:JR佐原駅から徒歩約11分
一度は食べてみたい!献上銘菓「ほていや」
このお店のおすすめは、献上銘菓でもある「佐原ばやし」です。地元の方からも美味しいと評判の銘菓です。
佐原の大祭で山車に乗って演奏される祭り囃子にちなんで、先代が作ったのだとか。お味は「黄身餡」と「フルーツ餡」があります。黄身餡の皮は佐原囃子に欠かせない鼓をモチーフに、フルーツ餡には表面に「佐原ばやし」と書かれています。
佐原ばやし15個入り:1980円
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佐原に実際に行ってみました
ここまで佐原の魅力を紹介してきました。
そこで、実際に訪れた旅の様子をレポートさせていただきます!
佐原駅に降り立ち、まず目の前にあった観光案内所。こちらでまち歩きのおすすめコースを伺いました。
今回は、利根川沿いを中心に散策することにしました!
町歩きをはじめてまず驚いたのはその景観でした!まるで江戸時代のような町並みに息を呑みました。
利根川沿いには、階段状の石積みが目につきます。「だし」といって、荷物の上げ下ろしに使われた船着き場でした。
昔は川沿いの店はすべて江戸との舟運で商売をしていたため、必ずお店の前にはだしがあったといいます。
かつてはここで舟にお酒やお米、醤油などを積んで利根川まで持っていき、そこで大きな船に積み替えて江戸まで持っていきました。
利根川沿いに並ぶ大きな蔵は元醸造だったようです。
千葉県は、醤油生産量が全国で1位だそうで、全国の33.6%を占めているのだとか。ちなみに醤油という調味料は近畿地方発祥です。そのため、江戸の人々は、元々関西からきた醤油を使用していたのだとか。
千葉での醸造のはじまりは、野田にて、飯田市路右衛(いいだいちろべえ)がはじめました。この地域は、水運の便が良いため、醤油製造のための原料を各地から集めることができ、さらに出来上がった醤油を江戸まで水運で運ぶことができ、次第に関東の醤油も有名になったそうです。
もちろん醸造の波は、ここ佐原にもなだれ込んできました。醤油を製造していた遺構が残っています。
ちなみに町歩きをしていると、「まちぐるみ博物館」というものを見つけました。
なんと当時の店構えを残す店舗や当時の道具類を大切に引き継いでいる家々43館が、自慢のお宝や代々伝わる伝統の品々を展示しているのだそうです。
ひとつひとつ巡ってみるのも面白そうですよね!
佐原裏まちぐるみ博物館に関する詳しい記事はこちら▶▶
佐原の街が博物館に!? 佐原の歴史が凝縮された「佐原まちぐるみ博物館」
最期に訪れたのは八坂神社。
こちら夏の佐原の大祭の本営となっている場所です。実は八坂神社の境内の中には、水郷佐原山車会館というものがあります。
実際に大祭で使用される山車が展示されており、お祭りの時期でなくとも大祭を楽しむことができます。
おススメの周辺エリア
佐原からJR成田線で約1時間、佐倉城の城下町で賑わった佐倉があります。
もともと城下町だったというだけあり、武家屋敷が残り、また自然も溢れ、おすすめスポットとなっています。
佐原裏路地散策に関する詳しい記事はこちら▶▶
540円で3か所周る!旧堀田亭 佐倉順天堂記念館 武家屋敷に行く
さらに蘭学や日米修好通商条約に携わった堀田正睦ゆかりの地も巡ることができますよ!
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自然あふれるスポットもあります!
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千葉県佐倉ふるさと広場 堀田正睦も愛したオランダの風を感じる
さらに佐原から車で15分。茨城県南部の水郷として知られる潮来(いたこ)に、「水郷潮来あやめ園」という場所があるのをご存知でしょうか。
敷地内には約500種、100万株のあやめが植えられており、6月初旬から中旬にかけて見頃を迎え、たくさんのあやめが咲き誇るようすが見られます。
6月の土・日曜には、『嫁入り舟』も運航されています。嫁入り舟は、北佐原・新島地区で行われていた結婚式。
photo by @utan1004
白無垢に身を包んだ清楚な花嫁は、あやめで彩られた園内を歩み、サッパ舟という手漕ぎ舟に乗って新郎の元へ向かいます。
水郷として周囲を水に囲まれたこの地では、水路は人家と人家を行き来する手段として使われていました。
そのためどこの家にも舟が2〜3艘はあったのだとか。もちろん嫁入りをする際にも舟が使われていました。嫁入り道具を運び出したり、御仕度をするために美容室へ行ったり、新郎の待つ嫁ぎ先へ向かったり。そのすべてが舟に乗って行われていたようです。
ぜひ一度、訪れてみていかがでしょうか。
色々な楽しみ方をご紹介してきましたが、いかがでしたか。水郷として栄えた佐原は、いまもまだ当時の繁栄を残しています。
現在も引き継がれる文化を感じにぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。