兵庫県豊岡市 重伝建 出石城下町の趣ある町並みを代表する3つの館
1604年頃に出石城が築城されて以降、城下町として栄えた兵庫県豊岡市出石。
今もなおその歴史的な背景を残す建造物か数多く、風情ある町並みが広がります。
今回はその歴史的景観を代表する3つの館へと参りましょう。
この記事の目次
大正時代の薫りが漂う近畿最古の芝居小屋 豊岡市 出石永楽館へ
バス停「出石」から歩いて約5分。近畿最古の芝居小屋「出石永楽館」を訪れました。
出石永楽館は1901年に開館し、歌舞伎や寄席などが上演される舞台小屋でした。
まだテレビが普及していない時代だったため、但馬地域の大衆文化を担う劇場として大変栄えました。
公演が無い日は館内を見学することができます。
一番華やかな時代を迎えた1922年頃の形そのままに修復されており、懐かしい雰囲気が漂います。
両脇に飾られているポスターからも時代を感じますね。
こちらの舞台は「廻り舞台」と呼ばれるもので、舞台の場面が変わるときに用いられるものです。
床が丸く切り抜かれており、人力で動かすと舞台が廻る仕組みになっています。
電動が多くなった現在、人力で動かすのは珍しいそうです。
そして舞台前には観客席の「平桟敷」があります。
席全体の縦中央と横にいくつか平均台のような板が敷かれています。
なんと、この板は移動用に設けられているもので、自分の座席までこちらの板の上を歩いて向かうそうです。
公式HPで舞台公演の案内が出ておりますので、行かれるときに確認することをオススメします。
まずは貴重な劇場構造を見学し、次にこちらの貴重な劇場で上演される舞台を観るのもいいですね。
他の劇場ではなかなか見ることのできない舞台装置・演出や、当時の面影を残す劇場の雰囲気をぜひ一度味わってみてください。
豪商の旧宅が史料館に生まれ変わり 明治の生活を伝える 出石史料館
次に訪れたのは、出石永楽館から北東に徒歩約7分のところにある出石史料館です。
建物は明治時代に生糸の商いで成功した豪商の旧宅で、1977年に史料館へと生まれ変わりました。
重厚な虫籠窓に繊細な装飾が施された出格子に当時の職人の技が光ります。
中に入ると、土間やかまど、囲炉裏といった当時の生活が空間全体で表現されており、展示されている資料だけではなく建物全体から歴史を感じます。
母屋・離れだけではなく土蔵も見学できるようになっており、土蔵には出石藩に関する史料や仙石氏ゆかりの品々も展示されておりますので、ぜひ母屋と合わせてご覧ください。
重伝建 出石城下町の町並みにひっそりとたたずむ洋館 出石明治館
出石史料館から西に向かい、八坂神社の角を右に曲がり歩くと、周りの建物とは一風変わった建物があります。
こちらは旧出石郡役所として1887年に建てられた木造2階建ての洋館「出石明治館」です。
正面には日本建築の「破風」にあたる、「ペディメント」と呼ばれる屋根の下にある三角形の部分やコリント式の白い柱が気品を感じさせます。
昔は、出石城跡の麓にあったそうですが、建物を保護するため今の場所に移築されたそうです。
館内では、郡役所時代の展示や、出石出身の歴史上の人物について詳しく知ることができます。
沢庵和尚、山名持豊、仙石政辰といった歴史上の人物はもちろん、野球界で活躍した大友工などの資料もありました。
一人ひとりの歴史をたどると、今まで知らなかった新たな発見があり、興味深かったです。
また二階の展示スペースでは数多くの磁器が展示されており、一つひとつの作品に見入ってしまいます。
ぜひ洋館の雰囲気を楽しみながら、出石出身の人物たちの世界を眺め観てください。
出石城下町を代表する3つの館巡りはいかがでしたか。
「但馬の小京都」と称される出石の歴史、そして文化に触れると、旅をいっそう深く楽しめます。
趣ある町並みを歩き、少し足を止めて館内の展示も楽しんでみてください。