京都府舞鶴市の「赤れんが博物館」で知るれんがの魅力
京都府の北に位置する港町 舞鶴。
明治から大正にかけて建てられた、旧海軍の遺構「赤れんが倉庫群」があり、レトロな景観が人気を集めています。
今回は赤れんが倉庫群内の「赤れんが博物館」を訪れ、れんがの魅力を発掘しましょう。
文化の発信地 舞鶴赤れんがパーク
舞鶴 「赤れんが倉庫群」は、京都府舞鶴市の旧舞鶴海軍軍需部本部地区にある12棟の赤れんがの倉庫が建ち並ぶスポットです。
12棟のうち、1901年から1903年の明治期に建てられたものが9棟、1918年から1921年の大正期に建てられたものが3棟あります。
軍需部とは、兵器・燃料・食料・被服などの軍需物資を工場から集めて保管し、軍艦や前線に送り出す場所のことです。
1901年に舞鶴地区の海軍を統括する、舞鶴鎮守府が創設されたことを機に、明治から大正にかけて旧日本海軍によって建設されました。
2008年には「舞鶴旧鎮守府倉庫施設」として、赤れんが倉庫群の一部が国重要文化財に指定されています。
そして2012年、舞鶴市「赤れんがを活かしたまちづくり」の一環で、赤れんが倉庫群は舞鶴観光の入口「舞鶴赤れんがパーク」としてオープンしました。
れんがの博物館「赤れんが博物館」や多目的施設「舞鶴市政記念館」、当時の倉庫を復元した「まいづる智恵蔵」などがあり、さまざまな体験ができるところが魅力です。
また文化芸術の発信地としての役割を担っており、プロジェクションマッピングや和太鼓公演といったイベントやフェスタも行われています。
大阪・京都から車で2時間以内とアクセスがいいことから、週末には多くの観光客でにぎわっています。
全国的に見ても、旧海軍の赤れんが倉庫群は大変貴重な建築群であることから、映画やドラマのロケに使用されていることも。
パーク内を歩いていると、ふとワンシーンを思い出すかもしれませんね。
パーク周辺にも北吸浄水場 – 配水池といった、赤れんがの建築が見られるので、ぜひパークと合わせて周辺も散策してみてください。
フランス積みの美しい外観をもつ 舞鶴赤れんが博物館とは
舞鶴赤れんがパーク内に位置する、赤れんが博物館。
1993年に開館した、れんがの歴史や世界のれんがを紹介している施設です。
もともとは、1903年に旧舞鶴海軍が魚雷を保管する倉庫として建てたものでした。現在、鉄骨とれんがを組み合わせた建築としては、日本最古級であるとされています。
そして舞鶴の象徴、赤れんが倉庫群がもつ魅力とその歴史を、たくさんの人々に知っていただきたいという思いから、赤れんが博物館が開館しました。
赤れんが倉庫群の中でも、建築で特筆すべきユニークな点は、「フランス積み」のれんが。れんがの積み方には、いくつか種類があります。それらの中で、日本でよく見られる積み方は、イギリス積みとフランス積みの2種類です。
イギリス積みは、強度が高さとれんがの量が少なく済むのが特徴。一方でフランス積みは、強度は劣るものの美しい外観となります。
日本における明治後期以降のれんが建築は、耐震性を考慮してイギリス式が多く採用されていたそうです。
そのため現存する状態のよい、フランス積みのれんが建築はなかなか存在しません。
中に入る前に、じっくりとその意匠をご覧くださいね。
舞鶴赤れんが博物館を見学!世界の有名建築物に使われたれんがも見れる!
では、さっそく赤れんが博物館の館内に入ってみましょう。
博物館は二階建てで、館内には世界で使用されたれんがや、世界の有名なれんが建築、れんがの製法などが展示・紹介されています。
1階には世界各国から寄贈された、貴重なれんがを展示しています。
カトリック教会の総本山 イタリアのサン・ピエトロ大聖堂のれんがや、世界最大級の城壁 万里の長城のれんがもあり、著名な建築物を「れんが」から見るという、おもしろい体験ができますよ。
1階奥に構えているのは、れんがを造る「ホフマン窯」。
ホフマン窯は、楕円形の形をしており、焼成室が複数環状に並んでいます。
一室ずつ順に焼成室へ火を入れていくことから、一室で火を入れたら、その余熱で隣室は乾燥させるといった風に、連続的・効率的な生産が可能な窯です。
2階へ行くと、旧軍港としての舞鶴の歴史が写真や模型で展示されています。
この博物館の特徴は、子どもたちが楽しんで学べる工夫がたくさんあるところです。
たとえば、こちらは積み木を使って、どのようにれんがを組み合わせて建築されているか体感できるコーナーがあります。
他にもキャラクターを用いたアニメーションや、赤れんがに関するクイズコーナーもあるので、子どもも楽しみながら学ぶことができますよ。
舞鶴赤れんが倉庫群の中でも、フランス積みの美しいれんが建築を誇る、赤れんが博物館。
外観もさることながら、館内展示も世界のれんがを展示していたりと貴重性を感じます。
舞鶴を訪れた際には、れんがの芸術的な世界に、一歩踏み入れてみてはいかがでしょうか。