国に認められた養父市大屋大杉の街並みに隠されたある文化とは?
兵庫県養父(やぶ)市にある大屋大杉(おおやおおすぎ)。
私たちが伝えたいこの地には、昔盛んに行われていた養蚕農業のための住宅を再生した古民家が多くあります。
大屋大杉の街並みは景観形成地区に指定されており、国が認める素晴らしい景色です。
そんな街並みについて知りたくはありませんか?
この記事の目次
命を預かるものづくりが続く養父市大屋大杉の蚕文化について知ろう
養父市大屋大杉には、養蚕のために発達した木造三階建の養蚕住宅が、全国で最も多く建築されています。
「山村・養蚕集落」という種別では全国で4地区目で、西日本地域では初めてになります。集落には主屋27棟があり、そのうち、12棟が養蚕住宅。
この特殊な住宅で蚕を育て、蚕から出る糸を集めて布団や服を作る歴史が古くからありました。 明治時代に至り養蚕は隆盛期を迎えます。
なぜ養父市大屋大杉の地域で養蚕が盛んだったのでしょうか。
その秘密は気候にあります。
兵庫県北部に位置し、兵庫県の最高峰である氷ノ山の山並みに抱かれた地域、もちろん冬には豪雪地帯になり、農業尾を営むことができません。
そのため、冬の期間に養蚕業をいとなんだのですね。
この蚕文化が大屋大杉で始まったきっかけとは、何だったのでしょうか。
江戸時代、上垣守国(うえがきもりくに)という養蚕家の各地の養蚕業を観察していた人がいました。
この上垣守国に感化された正垣半兵衛(しょうがきはんべえ)(1770-1847)という人物が、28年間に渡って、奥州の蚕種を買い付け、養蚕振興に尽力したことから始まりました。
現在、産業は行っていませんが、観光客などに文化を体験してもらうために蚕は育てています。
その場所が、「蔵垣 かいこの里交流施設」です。
「蔵垣 かいこの里交流施設」までは車でJR八鹿(ようか)駅から約30分でアクセスが可能です。
蚕から糸を集めるには、サナギの状態で生きている蚕を殺さないといけません。
それは、本当に命を預かり、物を作らせてもらうということなのです。
サナギの状態を「マユ」と言って、この白い部分が糸です。
このマユの糸を巻いて、広げていき、編み込んでいきます。
そして、しばらく干しておくとふわふわの状態になり、温かい布団や服が出来上がるのです。
養蚕が実際に行われていた江戸時代では、蚕からできる服や布団を収入源にしていたので、地方によっては「蚕様」と言われていたほど、蚕はありがたいものでした。
命を預かる文化を今は、産業は行ってはいないものの、蚕を育て、文化を観光客などに体験してもられるように活動することで
受け継がれいる大屋大杉はとても魅力的に見えました。
そして、その体験の内容というのは、マユの状態から、ふわふわの状態にして、編み込むまでを、日にち相談で、体験ができます。
大屋大杉の文化に触れて、その魅力を感じてみてください。
所在地 : 蔵垣 かいこの里交流施設
兵庫県養父市大屋町蔵垣246-2 TEL:079-669-1580
所要時間 : 車でJR八鹿(ようか)駅から30分
養父市大屋大杉を彩る!養蚕農業のために生まれた三階建養蚕住宅
蚕は桑の葉を食べて生きているので、養蚕をするにあたって桑集めが一番の肉体労働になります。
養蚕農業では、この桑集めをいかにスムーズに行うかが、大切になってきます。
そのために自分たちの住宅を改造したのが、
三階建養蚕住宅です。
この三階建養蚕住宅について知るために、私たちはかいこの里交流施設の隣にある上垣守国記念館に訪れました。
蚕がいる桑の葉を集めに行くために、クワと大きなかごを背負います。
かごを背負ったまま家の中をすぐに出入りできるように、養蚕住宅の玄関は大きくなっています。記念館の玄関です。
家の中では集めて来た桑の中から蚕を探す作業をするので、桑がいらなくなった時にすぐに掃除ができるように、2階の窓から捨てられるようになっています。
また、蚕は部屋を温かく且つ、換気をしなければ、蚕が死んでしまいます。
その換気をするために、建物の1番上に小さな「抜気(ばっき)」という部屋があります。
これが、三階建養蚕住宅と呼ばれる理由です。
抜気は、温かい空気は上へ上がっていくことを利用して、1番上の3階についているので、常に換気を行ってくれるのです。
上垣守国記念館では、この他にも様々な物が実際に見られます。
これは、桑を切断できる道具で、中にいる蚕を見つけやすくします。
またこれは、回転まぶしと言って、横に向けて、毎日180度を変えていくことで、蚕が移動し、端に糸が集まっていきます。
この他にも、蚕の文化の歴史を証明する展示物が飾られています。
私は、この住宅を学びに記念館に訪れて、昔の養蚕農業は生活するのにとても欠かせないものだったのだと感じました。
欠かせないものだったからこそ、どれだけ養蚕住宅に労力を捧げたのかということが、伝わってきました。
先人たちの生きるすべを感じることができ、ぜひ、皆さんにもこの魅力が伝われば大屋大杉の本当の良さを分かっていただけるかと思います。
所在地 : 養父市大屋大杉
一回来たらまた来たくなる!大屋大杉が誇る自然に囲まれた古民家の宿
最後に、三階建養蚕住宅をモチーフにした古民家の宿「ふるさと交流の家 いろり」を私たちはお勧めします。
車で八鹿氷ノ山ICから国道9号線を通り、県道272号線に入り、大屋町で県道6号線に入り20ほどで大屋郵便局があります。
大屋郵便局から約7分でアクセスが可能です。
田舎のおばあちゃんの家に来たような雰囲気をもつ部屋の中は、とても落ち着きます。
現在では珍しい縁側あり、そこからの何とも言えない景色に心が浄化されるようでした。
また、部屋の中には名前通り囲炉裏があり、ここで鍋を楽しむこともできます。
この宿はリピート客が多く、外国の方が日本を好きになるきっかけとして訪れてくることもあるそうです。
大屋大杉はこういった宿がたくさんあるので、ぜひお仕事の疲れや、毎日の疲れを癒しに訪れてみてはいかがでしょうか。
所在地 : 養父市大屋大杉
兵庫県養父市大屋町大杉1081
所要時間 : 車でJR八鹿(ようか)駅から30分
大屋大杉の町並みを形成する三階建養蚕住宅は、色々な昔の歴史が詰まっているため、その町並みは、見ていても飽きないです。
また、その歴史を知った後、実際に建物の中に入ると、普通に宿泊するときとはまた違った気持ちが湧き出てきます。
そんな体験をぜひしてみませんか?