HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

HISTRIP MAGAZINE icon HISTRIP MAGAZINE

伝統工芸の町津山  手漉き和紙&作州絣から見る津山の伝統文化

  • 出雲大社への参拝客の通り道として、また、津山城城下として栄えた岡山県津山市。

    そこには様々な伝統工芸が根付いていました。

    今回はその中でも実際に制作体験のできる、横野和紙と作州絣について見てきました。

     

     

     

    上田手漉和紙工場で横野和紙作り体験 津山で自分好みの和紙をつくる

     

    JR津山駅から車で30分。

    横野滝(よこのたき)の手前にあります上田手漉和紙工場(うえだてすきわしこうじょう)に行ってきました。

     

    <写真01_ tuyama alt:alt 上田手漉和紙工場外観>

     

    こちらでは主に津山箔合紙(つやまはくあいし)という和紙が作られています。

    箔合紙とは金箔の保存に使われる紙で、仕上がった金箔を一枚ごとに挟む紙のことだそうです。

    一枚一枚がとっても薄く、透けて見えるほどです。これをすべて手漉きで作るのはまさに職人技と言うところでしょうか。

    箔合紙がなくなったら金箔も無くなると言わしめるこの紙を作っているのが上田繁男さんとそのご家族です。

     

    <写真02_ tuyama alt:alt 上田手漉和紙工場 犬>

     

    上横野には以前は紙造りに携わる家がいくつもあったそうですが、今はここだけだそうです。

    横野の滝の清らかな水と、美作地方で豊富に取れる三椏(みつまた)が原料となり横野和紙の風合いを育んでいます。

     

    <写真03_ tuyama alt:alt 上田手漉和紙工場 工場>

     

    箔合紙ではないですが私も実際に作ってみました。

    まずは上田さんのレクチャーを受けます。見ている分には簡単そうですが・・・

     

    <写真04_ tuyama alt:alt 上田手漉和紙工場 作り方レクチャー>

     

    実際にやってみると思ったようには液が動いてくれず大分苦戦しました。

    もみじなどで模様付けしたら完成です。

    和紙が乾くのには時間がかかるので完成品は配送していただけます。

     

    <写真05_ tuyama alt:alt 上田手漉和紙工場 完成品>

     

    所在地 : 岡山県津山市上横野1874 和紙漉き体験 300円+送料

     

     

     

    もう二度と絶やさぬように 懐かしさ溢れる津山作州絣の魅力に触れる

     

    JR津山駅から徒歩25分、城西地区の一角にあるのが作州絣工芸館(さくしゅうかすりこうげいかん)です。

     

    <写真06_ tuyama alt:alt 作州絣工芸館 外観>

     

    作州絣は一度潰えたと言われています。

    津山の伝統である作州絣がこのまま消えていってしまうのは悲しいということで、作州絣保存会が立ち上げられたとのこと。

    現在作州絣保存会の方が、復興し、新たな織り人の育成に力を入れている最中だそうです。

     

    <写真07_ tuyama alt:alt 作州絣工芸館 紡ぎ機>

     

    作州紬は一つ一つ丁寧な手仕事で作られているため、一反を織り終わるのに半年以上かかるそうです。

    深い藍色と、白のコントラストにどこか懐かしさとぬくもりを感じます。

     

    <写真08_ tuyama alt:alt 作州絣工芸館 商品>

     

    作州絣は古くからの伝統を再考する一方で新たな模様も作り出しているそうです。

    古い町屋の中に沢山の機織りがあるのは中々壮観です。

    作州絣は暖かな藍色の中に繊細な模様が入っていて、本当に一つ一つの商品に想いが詰まっているように感じました。

    幼稚園や小学校でのワークショップも行っているそうで、これから先作州絣の担い手が増えていくことを願わずにはいれませんでした。

     

    <写真09_ tuyama alt:alt 作州絣工芸館 織り機>

     

    こちらでは予約していれば実際に綿を紡いだり、コースターを織る事が出来ます。

     

    <写真10_ tuyama alt:alt 作州絣工芸館 商品2>

     

    所在地 : 岡山県津山市西今町77

    作州絣工芸館HP:http://plus.harenet.ne.jp/~kasuri/temp.htmlhttp://plus.harenet.ne.jp/~kasuri/temp.htmlhttp://plus.harenet.ne.jp/~kasuri/temp.html”

     

     

     

    シンメトリーなおもしろさ 大正ロマン溢れる津山のこだわり建築

     

    JR津山駅から徒歩25分。

    作州絣工芸館のはす向かいにあるのがこの作州民芸館(さくしゅうみんげいかん)です。

     

    <写真11_ tuyama alt:alt 作州民芸館外観>

     

    大正ロマンを感じるこの建物は元々旧土居銀行という個人銀行の本店でした。

    現在でも建物の中には大きな銀行のカウンターが残っています。

     

    <写真12_ tuyama alt:alt 作州民芸館内装>

     

    今は1階で津山市とその周辺の民芸品・工芸品の展示が、2階では城西地区の歴史にまつわる展示と作州絣の講習会が行われています。

    津山市の民芸品には先に紹介した横野和紙と作州絣をはじめ、昔から津山の子供に贈られていたという「練り天神」や、作州の

    竹細工など、様々な民芸品があるそうです。

     

    <写真13_ tuyama alt:alt 作州民芸館 民芸品>

     

    <写真14_ tuyama alt:alt 作州民芸館 民芸品2>

     

    建物自体の意匠も素晴らしいのがこの民芸館です。

    外観は左右対称でルネッサンス朝の設えになっており、壁付柱にも様々な意匠が施されています。

    また元は銀行であったことから、二階の外壁には非常時に金庫を出すための鉄の扉が付いています。

     

    <写真15_ tuyama alt:alt 作州民芸館 扉>

     

    通気口にも「土」という文字が入った飾りがあったりと銀行の名残がいたるところに残っています。

    なによりこちらの職員さんがとてもフランクな方で、この建物や津山について詳しく教えて下さりました。

    面白いお話ばかりでついつい長居してしまいました。

    所在地 : 岡山県津山市西今町18

     

     

     

    津山の民芸文化に触れる旅、いかがでしたでしょうか。

    作州民芸館で津山の文化について知り、作州絣工芸館と上田手漉和紙工場で実際に触れることで、より津山の文化への関心が深まりました。

    城下町や鉄道もいいですが、自分のお気に入りの一品を手作りするというのも旅の思い出に最適なのではないでしょうか。