古来からの葬送の地あだしの 1200年の歴史あるあだし野念仏寺へ
京都・嵯峨鳥居本は古来より葬送の地としてあだし野と呼ばれていました
境内にはあだし野一帯に葬られた人々のお墓として8000を数える石仏・石塔が並んでいます
悲しくも美しい景色をあなたも見に行きませんか?
この記事の目次
嵯峨鳥居本にあだし野念仏寺ができた経緯 1200年の歴史を知る
JR嵯峨嵐山駅から北西へ徒歩30分。
重要伝統的建造物群保存地区に沿った道の左側にあだし野念仏寺はあります。
あだし野念仏寺の寺伝によれば、あだし野にお寺が建立されたのは約1200年前。
古来より風葬の地であったため、野ざらしになっていた遺骸を空海が埋葬しお寺を開創したと伝えられています。
数100年が経ち、あだし野の山野に散乱埋没していた石仏は明治中期に地元の人々の協力によって集められました。
石仏や石塔が肩を寄せ合う姿はまるで嬰児(えいじ)が一つ二つと石を積み上げた河原の有様を想起させることから西院の河原と呼ばれています。
単なる観光名所としてではない哀しい雰囲気を持った美しさを見ることができました。
嵯峨鳥居本でも珍しい建造物 あだし野念仏寺の境内を見て回っていく
境内を歩いて回っていると鳥居のような、それでいて少し雰囲気の違うような門があります。
これはインド仏教によくみられるトーラナといわれる塔門です。
鳥居の元となったという学説もありますが真偽は今のところ誰にもわかりません。
この写真に写りきらない大きなドーム状の建物は仏舎利塔です。
お釈迦さまの骨が収められています。
実際にインドから仏舎利をいただいたと教えていただきました。
本尊である阿弥陀仏座像は湛慶の作であり、鎌倉彫刻の秀作となっています。
本堂の横には茅葺き屋根の小さなお堂がありました。
このお堂は母親の顔すら見ることなく亡くなってしまった「みず子」の霊を供養するみず子地蔵尊です。
毎月お地蔵様の縁日には本堂にみず子地蔵尊画像をおまつりしています。
他の場所では見ることのできない珍しい建造物を見ることができて貴重な体験でした。
お寺の雰囲気も静かで落ち着いていて美しさを肌で感じることができました。
嵯峨鳥居本の自然と調和したお寺 ここでしか見れない美しさに気付く
あだし野念仏寺の大きな魅力の一つに自然との調和があります。
石仏や石塔も非常に美しいものですが、それらが上手く溶け込む境内の自然からも目が離せません。
住職さんの丁寧な手入れによって木々や苔の美しさが保たれています。
取材に行った季節は夏ですが、秋に行けば紅葉によって赤く美しく彩られるため違った良さを見ることができます。
あだし野念仏寺は奥へ進むと美しい竹林があります。
竹の大きさ、緑色の生き生きとした美しさに圧倒されることでしょう。
境内を見て回ると非常に小さいお墓のようなものがあります。
嵯峨鳥居本(さがとりいもと)の地域は自然豊かなため虫が多く、この虫たちのためにお墓が作られました。
それが写真の虫塚となっています。
自然と調和して非常に美しいお墓になっています。
ふと足元を見ると可愛らしいたぬき。
石や植物とマッチしていて非常に可愛らしいです。
あだし野念仏寺 所在地 : 京都府京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17
あだし野念仏寺の美しさは感じていただけましたでしょうか?
それぞれが自然と調和しており、四季に応じた美しさを見せてくれます。
実際に行ってみることで、力強い竹の生命力や石仏・石塔が立ち並ぶ西院の河原の哀しい美しさを感じ取ってください!