約300年の歴史を持つ村井醸造 真壁の土地が生んだ日本酒「公明」
筑波山系に囲まれ、日本三大名石の1つ御影石(みかげいし)がとれる茨城県桜川市真壁。
その山に降り注ぎ、御影石にろ過された伏流水は非常に品質がいい土地の味わいを持ち、真壁での酒産業を繁栄させました。
その中でも約300年に渡る歴史と文化財に指定された店舗を持つ酒蔵、日本酒の本当の姿を知る村井醸造を訪れてみましょう。
この記事の目次
登録有形文化財保有 江戸時代から続く真壁の醸造 その歴史に迫る
JR岩瀬駅から車で約18分。桜川市が誇る町並み、重要伝統的建造物群保存地区の中の一角に村井醸造はあります。
明治時代に建築された店舗、脇蔵、大正時代からの石蔵、昭和初期の煙突はそれぞれ登録有形文化財に指定されており、歴史ある建築物でもある村井醸造。
木造の建物からかもしだされる空気にはどこか懐かしさを感じました。
醸造としての歴史は、江戸時代に遡ります。
初代創業者、村井重助(しげすけ)は近江商人。
商業の中継地点として江戸時代初期に真壁の地へ訪れました。
素材に恵まれた土地である真壁には、良質な米と水があったことが、この地で酒造を始める決め手となり、現在の当主重司で12代目に至ります。
そうして生まれたブランド「公明」は、全国新酒鑑評会で金賞受賞経験も何度があるほどだといいます。
そんな村井醸造、その中はどうなっているのでしょうか。
次のところでは作り方、そして味のこだわりに迫ります。
所在地 : 茨城県桜川市真壁町真壁72
公式HP : http://www.komei.co.jp/phone/index.htm
作り方に隠された桜川市の地酒「公明」のこだわりを探るツアーへ
村井醸造を訪れると12代目当主の重司さんが出迎えてくださり、蔵の中を回りながら酒「公明」が作られる過程を説明してくださいました。
まず初めに見せてくださったのが、精米機。
この精米機を使って米の外側を削り、中のでんぷん質を酒造りに使います。
精米された米は次に蒸す作業に移ります。
昔はこちらの桶を使って蒸していたそうで、その際に出る甘い湯気は頭上にある窓から排出され、町中にいい香りが流れたといいます。
この桶の中心部にある、「こま」と呼ばれる金属部分は米を蒸す作業においての最も大事な部分。
酒造りの長、杜氏(とうじ)が変わると、こまは杜氏と共に移り変わったのだそう。
蒸されたお米はこちらのずらりと並ぶタンクの中に、麹菌といっしょに入れられ、発酵の作業に入ります。
湿気や暑さはこの作業において避けられたため、蔵の壁や天井は窓が多くみられました。
昔は夏など暑い時期には、夜中に窓を開け、夜の冷気を使って熱を逃がしたのだそうです。
現在は冷房機器を使用することが出来るそうです。
発酵させたものを「もろみ」と言い、長いものでは2年もかけて発酵させます。
最後にもろみは、こちらの機械を使ってこされます。
このように丁寧に時間をかけて日本酒「公明」は作られているのです。
蔵の見学はどなたでも行うことができますので、村井醸造のHPから問い合わせてみてくださいね。
所在地 : 茨城県桜川市真壁町真壁72
酒造好適米を使用 素材と技術のこだわりが真壁の酒 「公明」を作る
さて、ではその味にはどんなこだわりが隠されているのでしょうか。
毎日食べても飽きない、そんな米本来のうまみや甘さを生かした日本酒を追求した日本酒「公明」。
公明に使われるのは酒造好適米と言われる「山田錦」。
そんな米へのこだわりから、「こめ」に近い音ということで、「公明」を酒名としたそうです。
米へのこだわりは精米の際にも発揮されます。
通常外部に委託されることが多い精米ですが、村井醸造では自ら行うことでその削りに手間をかけているといいます。
この作業が全ての酒造りのスタート地点であり、味を左右するポイントだとおっしゃっていました。
発酵や精米の程度の違いによって味が変わり、大吟醸、吟醸、純米、未醸造、生酒、原酒に分かれ、同じ公明でもさまざまな味を楽しむことが出来ます。
試飲をさせていただけるので、今回は生酒「花だより」をいただきました。
公明は、日本酒本来の味を追求しやや辛口なのが特徴ということでしたが、花だよりは非常に飲みやすいものでした。
熱処理をしないため、酒が完成時のできたての風味、すっきりした甘さが残るのだとか。
当主重司さんは、これからも丁寧な技術と厳選された素材を使って、ますます味にこだわっていきたいとおっしゃっていました。
真壁の土地の味を生かした「公明」、ぜひ味わっていただきたい日本酒です。
所在地 : 茨城県桜川市真壁町真壁72
土地の味が存分に生かされた日本酒「公明」のこだわりに迫る旅はいかがでしたか。
普段は見ることが出来ない酒造りの裏側を知ることが出来る他、歴史ある蔵の中で継がれてきた味は確かなものでした。
最後には自分の舌で味わえる、そんな真壁の地酒を知りつくす旅に出かけましょう。