鶴岡の自然と歴史を堪能 湯野浜温泉・善宝寺・酒造の町大山を巡る旅
大小の温泉が点在する、山形県鶴岡(つるおか)。
『諸国温泉功能鑑』(しょこくおんせんこうのうかん)に名を刻むほどの名湯の一つが、美しい白浜海岸沿いにある温泉郷、湯野浜温泉です。
ここでは湯野浜温泉を中心に、善宝寺などの多数の史跡や文化財が点在するエリアや「酒造の町」大山を巡ってみましょう。
この記事の目次
鶴岡の癒しの温泉郷湯野浜温泉 見渡す限り広がる白浜と日本海は絶景
JR鶴岡駅前乗り場から、バス湯野浜温泉行に乗ること約40分。
湯野浜温泉でバスを下車すると、すぐ近くに足湯がありました。
程よい湯加減で気持ちよく、旅の疲れも癒されます。
足湯からほど近くのところには湯野浜海岸があるため、足湯に浸りながら静かに繰り返されるさざ波の音に聴きいってしまいます。
湯野浜温泉は1000年もの歴史がある、日本海に面した海浜の温泉郷です。
もとは「亀の湯」と称され、傷を負って弱った一頭の大亀が湧出た温泉で傷を癒したことから、この地に温泉が広まったと言い伝えられています。
海岸まではバス停から1分程でたどり着けます。
湯野浜海岸は約1㎞もの白浜が続き、透き通った海と青い空と相まってその光景はまさに絶景です。
海岸からの眺めももちろん美しいですが、地元の方が温泉神社からの眺めも綺麗だと教えてくださいました。
温泉神社はバス停湯野浜海岸から徒歩約10分のところにあります。
温泉神社までの道のりは急な坂が少し続きます。
息を切らしながら歩いていくと、石鳥居が見えてきました。その先は温泉神社です。
そして後ろを振り向くと、緑の木々の間からは青い日本海を見下ろすことができ、海岸とはまた違った景色を楽しむことができました。
温泉神社は伝説によると、初めて温泉が発見されたときにその守り神として祀らました。
温泉郷らしい珍しい神社のお詣りと、高台からの眺めを望みに温泉神社へ訪れてみてはいかがでしょう。
また湯野浜海岸から見る夕日は美しいことで有名です。
訪れた日は丁度雲に隠れてしまい夕日を望むことができませんでしたが、夕日が見れなくても赤く色付いた空が綺麗であるということは、雄大な日本海に沈む夕日はきっと大変美しいのでしょうね。
海の守護神を祀る 鶴岡のみならず全国の漁民から信仰を集める善宝寺
湯野浜温泉からエスモール行きのバスで約10分、または鶴岡駅から湯野浜温泉方面バスで30分、善宝寺下車。
たどり着いたのは、龍澤山善宝寺(ぜんぽうじ)です。
境内は緑に包まれ、その中にどこか風格のある雰囲気が漂います。
『法華験記』や『今昔物語』などの古文書にも登場する法華経行者の妙達(みょうたつ)上人が、この地にわたり草庵を結び「龍華寺(りゅうげじ)」としたのが善宝寺の始まりといわれています。
この善宝寺の前身いわれる龍華寺は、境内に入ってすぐ右手に建てられています。
境内を真っすぐ進むとまず、立派な彫刻を施した総門があります。
彫刻とは思えないほど立体的で今にも動き出しそうな素晴らしい彫刻が施されています。
さらに奥には威厳のある佇まいをした山門があります。
山門左手には、1883年(明治16年)に国内唯一の「魚鱗一切の供養」として建てられた五重塔があります。
善宝寺は、海の守護・龍神様を祀っており、昔から特に漁業関係者より厚い信仰を集め、北海道から沖縄まで日本全国からお参りにくるといいます。
その歴史は1200年も続き、今も多くの信仰を集めています。
海の守護神を祀っているということは、それだけ古くよりこの地域が漁業と深い関係があったことを物語っていますよね。
山門右手には、500体もの羅漢像を安置する五百羅漢堂があります。
一体一体すべてが顔の作り、表情、格好、ポーズは異なり、多くの羅漢像が並ぶ光景は圧巻です。
優しい表情をしたものから少し堅い表情をしたものまで本当に様々で、一つとして同じものはありません。
かつて写真が無い時代には、亡くなった人に似た顔を探して、そこに手を合わせたといいます。
所在地:997-1117 山形県鶴岡市下川字関根100
公式HP:龍澤山 善宝寺
江戸時代から続く「酒造の町」大山 出羽ノ雪で酒造りの歴史を辿る
続いて訪ねたのは、酒蔵の町、大山(おおやま)です。
大山までは、善宝寺からエスモール行バスで6分、またはJR鶴岡駅から湯野浜温泉行バスで約20分、バス停大山庄内銀行前で下車します。
江戸時代、大山(おおやま)は「天領」と呼ばれる土地であり、国が酒を造らせている地でした。
「天領」とは、藩が所有する土地ではなく、江戸幕府が直接管轄する土地のことで、主に交通の要衝や商業が発展している場所であった。
当時の大山には周辺の農村と商売をする在郷町と、浜街道の宿場町という2つの顔がありました。
中でも江戸時代から幕末・明治にかけて酒造業が発展し、全国有数の「酒どころ」として名を広めました。
米作りの地である庄内の土地柄、そして豊富な伏流水により古くより美味しいお酒を造ってきました。
当時は町全体で「大山酒」という統一的な名称で酒造しており、町の人々みんなで大山の酒を守ってきたといいます。
かつて、全盛期には約40軒あった酒蔵は激減し、現在では4軒の酒蔵が酒造りを今に伝えています。
酒蔵は減ったものの、今でも町なかには「酒造の町」としての面影を残しています。
今に残る酒造のうちの一つ、380年余の歴史を持つ出羽ノ雪では、酒造資料館を見学することができます。
江戸時代からの酒造り方式を学べたり、当時使われていた道具類や酒瓶、昔の帳場風景が見れたりと、酒造作りの奥深さを知ることができます。
また、かつての総理大臣であった大平首相が「日本酒は国酒だ」といわれたことから、現在に至るまでの歴代の首相が「国酒」と書かれた色紙が資料館には飾られており、とても見応えがありました。
資料館を見学したあとは試飲も行っているので、お好みのお酒を探してはいかがでしょう。
日本酒が好きな方も苦手な方も、一度出羽ノ雪資料館で大山の酒造りについて触れてみてはいかがでしょうか。
所在地:997-1124 山形県鶴岡市大山2丁目2-8
公式HP:出羽ノ雪資料館
湯野浜温泉で心身ともに癒され、善宝寺で数々の登録有形文化財に触れ、そして大山で美味しいお酒と歴史を味わう旅はいかがでしたか?
是非一度、鶴岡の自然や歴史に触れて、素敵な旅の思い出を作りに訪れてみませんか?