町並みめぐりだけでは勿体ない!竹原歴史的建造物と旅のグルメを堪能
赤穂塩田に次ぎ、入浜塩田として開発され発展した広島県・竹原市。
竹原の塩は、各地に届けられると「竹原がきた」と言われるほどでした。
塩田経営によって築かれた、美しい町並みを眺めるだけではなく、歴史的建造物の中へお邪魔してみましょう。
旅に欠かせないご当地グルメも一緒に提案します!
この記事の目次
由緒溢れる竹原市重要伝統的建造物群保存地区を歩き歴史に触れる
JR竹原駅から徒歩約10分の「竹原市重要伝統的建造物群保存地区」を訪れました。
一歩足を踏み入れると、漆喰の壁と美しい格子が立ち並ぶ歴史的価値の高い建物が軒を連ねています。
さっそく、いにしえの時代に迷い込んだ気分です。
このあたりは、平安時代は京都の下鴨神社の荘園でした。
時代の移り変わりとともに室町時代には港町となり、江戸時代後期には製塩や酒造業が盛んな町となった歴史があります。
とくに製塩で財をなした、数々の歴史人が建てた美しい邸宅が多く残っています。
町並みを楽しみながら、本町通りを2分ほど歩くと、1871年創業の「初代郵便局跡」を見つけました。
初代郵便局跡の前には、創業当時に使用していたものと同じ型の書状集箱が置かれており、実際に投函もできます。
さらに町を散策するとレトロな「旧日の丸写真館」も見つけました。
当時には珍しい3階建てとなっており、国登録有形文化財にも指定されています。
古き良き時代の風を感じる歴史町。なぜこのような豪勢なまちなみが形成されたのでしょうか。
その答えは産業にありました。
江戸時代初期、農作物の生産を上げるために全国各地で干拓による新田開発が盛んに行われていました。竹原でも同様に竹原湾を干拓し、新田開発が行われたのですが、
田園は塩分濃度が高く、農作物ができず放置されるという大きな問題を抱えていたそうです。
そんな時、塩田で使用する薪を買いに竹原へ訪れていた赤穂の商人から「塩田にしてみてはどうか」との提案を受け、1648年頃、赤穂の製塩技師を呼び寄せ、試しに塩田をつくったところ見事に成
功。
当時塩は貴重な産物で製塩技術は藩の機密とされていたにもかかわらず、竹原にその技術が伝えられたのは、広島藩と赤穂藩との深い繋がりが伝播を可能にしたからだそうです。
このように竹原における製塩の始まりは、さまざまな偶然がもたらしたものだったのですね。
そして、それらの偶然により、貴重な塩の生産が盛んとなった竹原には、製塩業により多大な富を築いた豪商たちの邸宅が並ぶようになります。
所在地 : 広島県竹原市本町
竹原塩田繁栄とともに歴史に残る大正の歴史的建造物~森川邸へ~
JR竹原駅から徒歩約10分の「森川邸」を訪れました。
竹原市の重要文化財に指定されている森川邸は、もともと塩田地帯だったこの場所を造成し、1916年頃完成しました。
主屋は、明治前期の富豪・山路家より移築され、改造されたものです。
立派な表門をくぐり、中へ入るとこの「精神在塩」の書が目に留まります。
この書は1897年の水産博覧会で森川氏に贈られたものだそうで、製塩で財を成した森川家の功績が伝わってきました。
書の奥へ進むと、大広間があります。
合計5つの和室が奥まで続く大広間は、背筋がすっと伸びるような空間でした。
縁側からは、庭園を眺めることもできます。
森川邸を竹原塩田の1番地に築いた、竹原町長の森川八郎。
きっとこの庭園を眺めながら、更なる竹原の発展に思いを馳せていたのではないでしょうか。
土間では製塩に関わる道具とともに竹原塩田の発展が紹介されており、歴史を学ぶこともできます。
大規模な和風住宅の代表として、全建物が完存する貴重な森川邸で、竹原の建築文化を体感してみてはいかがでしょうか。
所在地 : 広島県竹原市中央三丁目16-33
竹原の町並みに独特な意匠が光る~松阪邸~重要文化財を体感しよう
つづいて、JR竹原駅より徒歩約12分の「松阪邸」を訪れました。
数々の日本建築を楽しめる本町通りでも、特に目を引くのがこの「松阪邸」です。
唐破風の屋根、うぐいす色の漆喰壁、繊細な彫刻が施された出格子を見ると、時代の移り変わりとともに花開く華麗な文化の発展を感じました。
松阪邸は、江戸時代から昭和にかけての塩田所有者の邸宅でした。
1818年頃に建築され、1879年の改築により現在の姿となりました。
中に入ると、まず神棚がありました!
なぜこんな入口付近に神棚があるのかと疑問に思いましたが、「沢田屋」と称し、製塩業だけでなく、薪問屋・石炭問屋・酒造業も行っていたそうで、来客も多かったのでしょう。
商売繁盛・家内安全だけでなく、お客様に敬意をはらう心遣いのように感じました。
数木屋造りで統一された座敷の中に、先代の家具や日用品・嗜好品など、多くの展示物があり、松阪屋での生活を身近に感じることもできます。
さらには、なんと「伊万里焼」で作られたお手洗いを発見しました。
竹原を訪れ、松阪邸にお邪魔した際は、美しい外観だけでなく、あらゆる品から歴史を感じてみてください。
所在地 : 広島県竹原市本町3丁目9-22
余すところなくいただける!竹原で出会ったドーマル重とは一体?!
最後に、JR竹原駅から徒歩約2分の「ますや」へ、竹原のグルメを求め訪れました。
さまざまな郷土料理、地元の食材が楽しめるお店です。
とても気さくなお店の方から「ドーマル重」というメニューがオススメと伺い、どんなお重なのか想像を膨らませながら注文をしました。
そして、運ばれてきたのがこちら!
あまり聞き慣れない「ドーマル」とは、竹原近海で獲れる白身魚のトラハゼのことだそうです。
最近では、なかなか獲れない魚になってきているとのことで、貴重な魚だとか。
サイズは小ぶりながら、とても肉厚で、触感はふわふわもちもちです。
骨はパリパリのから揚げとして、ドーマルを余すところなくいただくことができます。
日替わりのお惣菜は優しい味で、魚介だしのお味噌汁も絶品です。
自宅にいるかのようにゆったりと落ち着ける空間の店内で、ぜひ竹原の味覚を楽しんでみてください。
所在地 : 広島県竹原市中央4丁目1-22
素晴らしい木造建築の中に入ることで、塩田による竹原発展の歴史をより身近に感じていただけましたでしょうか。
600円の周遊券も販売されており、町並み保存地区内の有料4施設(松阪邸・歴史民俗公民館・光本邸・森川邸)をお得にめぐることもできます。
ご当地グルメでしっかり腹ごしらえをしつつ、竹原の魅力を感じてみてください。