兵庫県豊岡市 国特別天然記念物の幸せを運ぶコウノトリを見守る町
一度は日本の空から姿を消した野生のコウノトリ。
兵庫県豊岡市では、そのコウノトリを再び大空に羽ばたかせる取り組みを行っています。
ものづくりの町として知られる豊岡のもう一つの顔、「コウノトリの町」を見に行きましょう。
この記事の目次
天然記念物コウノトリを豊岡から世界へ 兵庫県立コウノトリの郷公園
JR大阪駅から特急こうのとり号城崎温泉行に乗り、約2時間30分でJR豊岡駅に到着します。
JR豊岡駅からは全但バス「コウノトリの郷公園」行きに乗ります。
コウノトリの郷公園で下車して少し歩くと、兵庫県立コウノトリの郷公園に着きました。
飛行機をご利用の方は、「コウノトリ但馬空港」が最寄りの空港になっています。
こちらの空港は現在大阪空港の発着のみとなっておりますので、ご注意ください。
兵庫県立コウノトリの郷公園は、1999年にコウノトリを野生復帰させる研究施設として開園しました。
園内は公開エリアと非公開エリアに分かれており、公開エリアにはコウノトリを観察できる場所や研究塔などがあります。
その一つ、豊岡市立コウノトリ文化館では、公開飼育されているコウノトリを間近に見ることや、館内の展示物を見学することが出来ます。
館内では自然解説員の方々がコウノトリや展示物の説明を分かりやすく解説してくださいます。
もとより、コウノトリと豊岡にはどのような関係があったのでしょうか。
それは遡ること1971年のことです。
野生のコウノトリの数が年々減少し、その年に最後の一匹が豊岡で死を迎えたのです。
コウノトリの最後の生息地であった豊岡で、もう一度コウノトリを大空へ羽ばたかせようと事業が進みました。
2005年から野生復帰に向けた試験放鳥を行い、2007年には野外の繁殖に成功します。
現在では豊岡盆地の田んぼや湿地で野鳥のコウノトリに出会うことも出来るようになりました。
その事業の一環としてこの豊岡市立コウノトリ文化館では公開飼育ゲージで8羽のコウノトリを飼育しています。
オープンゲージのため飛ばないよう片方の羽を少し切っているそうですが、間近で見ることが出来るコウノトリはとても迫力がありました。
兵庫県立コウノトリの郷公園にある幸せを運ぶコウノトリポストとは
コウノトリについて学んだら、さっそくコウノトリを観察しましょう。
公開エリアに点在する観察ゾーンや公開ゲージなどで空を自由に飛び回るコウノトリを実際に見ることが出来ます。
コウノトリを観察していると時々空からカタカタカタという音が聞こえてきます。
これはクラッタリングというコウノトリ唯一の表現方法らしく、近くのカラスやトンビを威嚇しているそうです。
威嚇のときのクラッタリングは音も大きく驚いてしまうほど迫力がありました。
空から少し目線を下げると、そこには何ともかわいいコウノトリのポストがありました。
このポストから専用の封筒に入れて投函された郵便物にはコウノトリがデザインされた記念の消印が押されるそうです。
専用の封筒は豊岡市立コウノトリ文化館・コウノトリ郷直売所・コウノトリ本舗の敷地内の三か所に置いているそうです。
コウノトリは幸せを運ぶ鳥とも言われています。ここから誰か大切な人へ幸せを運んでみてはいかがですか。
所在地:兵庫県豊岡市祥雲寺127
公式HP:「兵庫県立コウノトリの郷公園」http://www.stork.u-hyogo.ac.jp/
豊岡駅通商店街に羽ばたく豊岡のシンボル 天然記念物コウノトリ
次はコウノトリを探して豊岡の町を散策します。
兵庫県立コウノトリの郷公園から団地バス線(法花寺・庄境) 第2団地行に乗って約15分、豊岡駅前で下車します。
駅前には、東西800mに渡る商店街があります。
商店街を歩いていくと、いたるところにコウノトリが現れます。
地面のタイルに描かれたコウノトリは、大きく翼を広げて大空へと飛び立っています。
上を見ると、コウノトリの旗が見えます。
こちらはこの豊岡駅通商店街のキャラクター、「サンストちゃん」です。
サンストちゃんは、商店街の愛称「サンストークアベニュー」から名付けられたものです。
では、続いてJR豊岡駅から特急こうのとり城崎温泉行きで城崎温泉へ向かいます。
城崎温泉駅にあるコインロッカーには大きくコウノトリが描かれていました。
さすがコウノトリと関わりが深い豊岡。町の中にはいたるところにコウノトリが隠れています。
豊岡盆地の田んぼや湿地から少し離れると、本物のコウノトリを見ることは難しいですが、コウノトリに関係するものはたくさん見つけることが出来ます。
様々なコウノトリを探して、町を探索してみても面白いかもしれません。
所在地:兵庫県豊岡市大手町
公式HP:「豊岡駅通商店街」http://www.sunstork.com/
子宝神社 久々比神社へ 日本書紀に伝わる豊岡のコウノトリ伝説
最後に訪れるのは、子宝神社で有名な久々比神社(くくひじんじゃ)です。
豊岡駅から下の宮行きのバスに乗り鎌田で下車後、北へ約6分歩いたところにあります。
久々比神社は、兵庫県豊岡市下宮地区に位置します。
かつて「くくい村」と呼ばれていました。
「くくい」とはコウノトリの古名で、往古よりコウノトリが大空を飛んでいたそうです。
そして日本書紀に残る、久々比神社にまつわる伝説が「コウノトリ伝説」です。
垂仁天皇が世を治められていた時、その息子である誉津別皇子がくくいを見て、初めて声を上げ「これは何という名の鳥だ」と尋ねます。
この時まで言葉を発することができなかった皇子。
このことに感動した天皇は、「誰かあの鳥を捕まえて献上せよ」と言い、天湯河板挙にその命を任じて捕まえさせたそうです。
それ以来、コウノトリは霊鳥として重んじて、この地を久々比とし神社を建てました。
時を重ねながら「幸運の鳥」とされるコウノトリの力を宿す境内は、とても和やかな雰囲気が漂います。
所在地:兵庫県豊岡市下宮171
公式HP:「久々比神社」http://www.happywing.jp/kukuhi.html
「コウノトリの町」豊岡の旅はいかがでしたか。
実際に大空を羽ばたくコウノトリを目の当たりにすると、美しい白と黒のコントラストに思わず見とれてしまします。
ぜひ、町全体でコウノトリを見守る豊岡を訪れてみてください。