HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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会津漆器をお土産にするなら、創業300年の白木屋漆器店で。

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    昭和のレトロな町並みが広がる「七日町通り」(なぬかまちどおり)。その中でもひと際存在感を示す白木屋漆器店へ訪れます。白木屋漆器店は、会津にある最も古い漆器店です。こうした白木屋漆器店や会津漆器が発展した背景にはどんな秘密があるのでしょうか。背景を紐解く歴史旅へでかけます!

     

     

    創業300年の白木屋漆器店 会津若松で漆器産業が発展した理由とは

     

     

    もともと会津若松では安土桃山時代に漆器、酒の産業が発展しました。その理由は、1590年に入城した蒲生氏郷によって、氏郷の旧領である日野や松阪より、木地師や塗師などの職人を連れてきて奨励したからです。これによって、漆の栽培から加飾(かしょく)までを一貫して手がける一大産地として発展しました。また、市場や楽市楽座を導入し、会津若松の産業の発展に力を入れていったという背景があります。

     

     

    なぜ漆器や酒の産業を発展させたのかというと、そこに氏郷の地形を考えた工夫がありました。米づくりが経済の根幹となっていた近代以前において、山間部が多く米づくりには不利な立地であった会津に、旧領から連れてきた職人たちの技を人々に伝えて重要な藩の財源としたのです。いかに氏郷が優れた名君かということがわかりますね。そうして今日まで発展してきた会津漆は、いまでも白木屋漆器店のような店舗で引き継がれているのです。早速会津漆器に出会いに会津にある最も古い漆器店、白木屋漆器店に訪れてみましょう!

     

     

    1000種類以上の会津漆器を取り扱う、制作工程を学べる白木漆器店

     

     

    白木屋漆器店をめざして会津若松駅からまちの周遊バス「ハイカラさん」に乗って約5分。七日町通りの上の区に到着します。1720年代から創業した約300年の歴史を持つ老舗です。現役で使用されているこの建造物は、1914年に竣工されました。なんと会津初の洋風建築で会津で最も古い漆器店だそうです。木造土蔵風3階建ての洋風の装飾が施された外観はとても美しいです。

     
    重厚なアーチをくぐり抜け店内に入ります。
    店舗内では、現代風の物から古典的な漆器まで、様々な品が展示販売されていました。店内には約1000種類以上の漆器を取り扱っているようです。
    白木屋漆器店は、もともと木綿太物(綿織物や麻織物)を扱い、呉服屋を営んでいました。「白木屋」という名前にも呉服屋の名残りが残っています。
    当時呉服の商売に必ずといっていいほど必要な綿という字には、「わた」、あるいは「わたの木」意味する「棉」の字が良く使われていました。その字を分解して「白木」としたのが、白木屋の名前の由来だそうです。1720年代から漆器業を手がけ、問屋として江戸はもちろん、、大坂まで出荷していたそうです。

     

    <19_aizuwakamatsu:白木屋漆器店内観1>
    1階の奥では、会津漆器の技法に関しての展示がありました。会津漆器がどのように作られるか学習することもできます。
    会津塗の工程は、分業制が一般的で、木地師(木から素地をつくる人)、塗師(漆を塗る人)、蒔絵師(装飾をする人)、沈金師(金や顔料を施す人)などそれぞれの工程で職人さんが異なるそうです。
    白木屋漆器店は製造問屋なので製造は行わず、所有する原材料を職人に支給して製品をつくってもらっているそうです。
    1階にあるお茶碗やお箸などのおみやげは、は家に買って帰っても旅を思い出せる素敵なお土産になりますね。大切な人にプレゼントするにもとても素敵なおみやげだと感じました。

     

     

    漫画家の手塚治虫も訪れた まるで博物館のような漆器店二階を見学

     
    このレトロで素敵な案内板の通りに上の階へ。2階には値段がつけられないほど歴史的で貴重な漆器の展示室となっています。まるで博物館のようです。

     

     

     

    <20_aizuwakamatsu:白木屋漆器店内観2>

     

     

    <21_aizuwakamatsu:白木屋漆器店内観3>

     

     

    <22_aizuwakamatsu:白木屋漆器店内観4>

     
    展示されている漆器ももちろんですが、その空間がとても温かく、タイムスリップしたような気分になりました。

     

     

    <23_aizuwakamatsu:白木屋漆器店内観5>

     
    こちらの部屋は、今でも使われています。なんとこの部屋、漫画家の手塚治虫氏が訪れたことでも有名です。彼は1959年に会津に訪れ、会津塗りを見学し、なんと自身でも工房で絵付けを体験されたそうです。漫画家さんの絵付けは、初心者とは思えないほどの腕前だったそうです。
    所在地 : 〒965-8691 福島県会津若松市大町1-2-10

     
    いかがでしたか。白木漆器店では、お土産を買わずとも、必ず訪れてほしいスポットです。創業300年という歴史の重みがひしひしと伝わってきます。蒲生氏郷が米づくりではなく、産業を使って発展させた城下町。その火付け役にもなった会津漆器を今に伝える老舗店にぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

     

     

     

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