HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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倉敷の伝統工芸に浸る 全国の郷土玩具が集まる「日本郷土玩具館」へ

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    白壁と倉敷格子が目立つその建物は、江戸時代の米蔵を改装し建てられました。
    今年開館50年を迎える「日本郷土玩具館」には、北海道から沖縄まで郷土色豊かな郷土玩具や、色彩豊かな倉敷の伝統工芸品が集まります。
    訪れる人の半数が海外の方の時もあるという、海外からの注目度も高いその魅力を感じてみませんか。

     

     

     

    大人も子どもも楽しめる!愛され続ける玩具と倉敷の伝統工芸に触れる

     

     

     

    JR倉敷駅南口から倉敷中央通りを真っ直ぐ歩くこと約10分で倉敷美観地区の入口に着きます。
    そこから、倉敷川を左手に沿って約10分歩くと「日本郷土玩具館」に着きます。

     

     

     

    〈写真01_alt:alt玩具館引きの写真〉

     

     

     

    国内外問わず、また幅広い年齢層の方が訪れるという日本郷土玩具館。
    その館内には、全国各地の郷土玩具が展示される博物館、倉敷の伝統工芸品や懐かしの玩具が並んだショップ、作家の方々による企画展を催す+1GALLERY、倉敷ガラスを中心にテーブルウェアを取り揃えるサイドテラス、フランスから直輸入した商品が並ぶブランミュールと、その一角にある畳縁(たたみべり)が並んだフラッグショップFLATがあります。

    左側の入口から見える竹とんぼに入る前からワクワクしました。

     

     

     

    〈写真02_alt:alt玩具館入口〉

     

     

     

    〈写真03_alt:alt玩具館ショップ竹とんぼ〉

     

     

     

     

    中に入ると、色鮮やかで古くから愛され続けている日本玩具がずらりと販売されています。
    日本人はもちろん海外の方もその鮮やかさと古き良き伝統品に次々と手が伸びます。
    万華鏡やビー玉はつい手に取って見とれてしまいます。

     

     

     

    〈写真04_alt:alt玩具館ショップ赤い日本玩具引き写真〉

     

     

     

    〈写真05_alt:lt玩具館ショップお手玉アップ〉

     

     

     

    初めて見る玩具には大人も子どもも興味津々です。
    いろはかるたに小倉百人一首、かるたにも色んな種類があります。

     

     

    〈写真06_alt:alt玩具館ショップかるた1〉

     

     

     

    〈写真07_alt:alt玩具館ショップかるた2〉

     

     

     

     

    色・大きさ様々なコマは実際に回して親子で遊ぶこともできます。

     

     

     

    〈写真08_alt:alt玩具館コマ〉

     

     

     

     

    奥の棚には、一枚の木から巧みに考えて作られた可愛い組木が並びます。

     

     

     

    〈写真09_alt:alt玩具館ショップ組木動物〉

     

     

     

    〈写真10_alt:alt玩具館ショップ組木動物2〉

     

     

     

    岡山県ならではの桃太郎をモチーフにした組木もありました。

     

     

     

    〈写真11_alt:alt玩具館ショップ組木桃太郎〉

     

     

     

     

    中には倉敷の伝統工芸品も並んでいます。
    目が書かれていないのが特徴的な玉島だるまは、色・形・大きさが違うものがあり集まるとより迫力が増します。

     

     

    〈写真12_alt:alt玩具館ショップ玉島だるま〉

     

     

     

     

    首振り虎のはりこは、男児の誕生を祝うものとしてつくられました。

     

     

     

    〈写真13_alt:alt玩具館ショップ倉敷首振り虎〉

     

     

     

    奥へ進むと、倉敷が国内生産の70%を占める伝統工芸品、倉敷帆布のコーナーもありました。
    撚りあわせた綿糸を用いて織った平織りの地厚い織物で、古くから木綿が栽培され、木綿の織りや縫製技術が長期に渡り継承されてきたことを基盤に帆布産業が発展したといいます。

    使い続けるほどに味わいが生まれ、耐久性・通気性にも優れていいて、「軽くて丈夫」の便利な布としてお土産にも人気です。
    トートバックやコースターと倉敷帆布を用いた用途豊かな商品が並びます。

     

     

     

    〈写真14_alt:alt玩具館ショップ帆布トート〉

     

     

    〈写真15_alt:alt玩具館ショップ帆布コースター〉

     

     

     

     

     

    〈写真16alt:alt玩具館ショップ帆布ペンケース〉

     

     

     

     

    並べなれているもの1つ1つに手を伸ばしてしまうほど、古き良き味わいが伝わる温かい空間でした。
    手に取って職人の細かな技術や手触りの良さを感じ、お気に入りのものを見つけてみてください。

     

     

     

     

     

    全部飾り切れない! 倉敷をはじめ全国各地の郷土玩具5千点を楽しむ

     

     

     

    さて、全国各地の郷土玩具が展示されている博物館の方へ入ってみます。

     

     

     

    〈写真17_alt:alt博物館一室〉

     

     

     

    江戸時代から昭和時代にかけて、全国各地で作られた郷土色豊かな玩具を約3万点を有し、そのうち約5千点を展示しています。
    とても多くの玩具が展示されているため第1室~第4室とあり、それぞれの種類やテーマにあった玩具が展示されていました。
    主な展示品は以下のようなものです。

    第1室:全国各地の地方別郷土玩具・江戸期の玩具と年賀切手玩具
    第2室:・明治期の土人形、絵馬、だるま
    第3室:木の玩具、羽子板、こけし
    第4室:天神・雛、凧、お面、双六

    ここからは私が目を引いた展示品をご紹介していきます。
    まずはショップでも並んでいた作品から3つ。

    虎の首振りはりこは、手のひらサイズのものから腕を広げたほどの大きさのものまであります。
    またよく見ると体の色や顔の表情も1つ1つ違い、作られた土地の色が表れていました。

     

     

    〈写真18_alt:alt博物館首振り虎手のひらサイズ〉

     

     

     

    〈写真19_alt:alt博物館首振り0虎大きいサイズ〉

     

     

     

    首振りのはりこは虎だけではありません。
    倉敷はりこで作られた干支の展示の中には、猿や辰が首振りとなっていました。

     

     

     

    〈写真20_akt:alt博物館倉敷はりこ〉

     

     

     

     

    組木でひな壇が作られたものもありました。
    これも一枚の木から作られていると思うと驚きが隠せません。

     

     

     

    〈写真21_alt:alt博物館組木ひな壇〉

     

     

     

    だるまが集めて置かれているとやはり迫力があります。 色が赤でないものもあり、だるまのイメージが広がりました。

     

     

     

    〈写真22_alt:alt博物館だるま〉

     

     

     

    日本郷土玩具館ならではの展示もあります。
    博物館入ってすぐの第1室には、中央奥にその年の干支にちなんだ展示と一緒に年賀切手が飾られています。
    紙や竹、、さらには藁(わら)と様々な素材で作られた酉の作品が並んでいました。

     

     

     

    〈写真23_alt:alt博物館干支1〉

     

     

     

    〈写真24_alt:alt博物館干支2〉

     

     

     

    〈写真25_alt:alt博物館干支3〉

     

     
    よく見ると、切手のイラストと同じ作品がありました。
    毎年年賀切手のイラストに郷土玩具が選ばれるそうで、平成29年はなんと岡山県指定の伝統工芸品、倉敷はりこが選ばれました。
    運命的な年に訪れたことができて感動しました。
    中には、年賀切手とそのモデルの郷土玩具を合わせて集める方もいるそうです。

    年をさかのぼり、他の切手と郷土玩具を見比べることができる面白い展示スペースもあります。

     

     

    〈写真26_alt:alt博物館年賀はりこ1〉

     

     

     

    〈写真27_alt:alt博物館年賀はりこ2〉

     

     

     

    ほかにも2階に上がった第3室は木の玩具がテーマとなっており、一枚の木で作られた鳥の模型やこけしが展示されています。

     

     

    〈写真28_alt:alt博物館木の作品1〉

     

     

    〈写真29_alt:alt博物館木の作品2〉

     

     

    見上げると大きな凧に描かれた顔がこちらを見ているという様は、息をのむほどの迫力がありました。

     

     

     

    〈写真30_alt:alt博物館凧〉

     

     

     

    玩具の種類、素材による風情の違いはもちろん、各地域別による展示の仕方は郷土色が表れとても面白かったです。

     

     

     

    〈写真31_alt:alt博物館お面〉

     

     

    〈写真32_alt:alt博物館えびす〉

     

     

    〈写真33_alt:alt博物館人形〉

     

     

     

    深みと味わいある工芸品 倉敷ガラスの「用即美」に秘めた想いとは

     

     

     

    日本郷土玩具館の中には、かつての倉を開放し、色々な作家さんの作品を展示しているギャラリー「+1GALLERY」があります。
    ギャラリー内はガラス張りのため日の光がよく入り作品がより美しく見えます。

    その中でも一際綺麗に輝いて映るのが倉敷ガラスです。

     

     

     

     

    〈写真34_alt:alt倉敷ガラス1〉

     

     

     

    倉敷ガラスは、小谷真三さんとご子息栄治さんのお二人が作られたガラス製品のみを言います。
    今までの吹きガラスというのは、全行程を何人かの職人さんで吹く人、回すひと、加工・成形する人と分業していたものを、小谷真三さんはたったお1人で工程を全部こなしてつくるという技法を生み出した方だそうです。
    現在も作り続けられていて、技術を受け継いだ栄治さんが支流になって親子2人で活動しています。
    グラスに付く色は絵具を入れるのでなく、ガラスの素のものや砂、蝋によって色がついていて、作る時々で変わる色合いが何とも趣深いものでした。

     

     

     

    〈写真35_alt:alt倉敷ガラス2〉

     

     

     

     

    〈写真36_alt:alt倉敷ガラス3〉

     

     

     

    1954年にあるガラス工場でクリスマスツリー用ガラス玉づくりの職人となられたのが小谷さんとガラスの関わりの始まりです。その後1964年に民芸関係の方から手作りのガラスコップの仕事が持ち込まれ、それが小谷さんの一大転機となります。
    そして日常使い続けて愛される、厚みと重みと潤いのある口吹きガラスが生まれました。
    年月を経て作品の種類も愛好者も増加し、今では用の追求から自然に生まれる美、「用即美」の代表的なガラス工芸品として高い評価を得ています。

     

     

     

    〈写真37_alt:alt倉敷ガラス4〉

     

     

     

    〈写真38_alt:alt倉敷ガラス5〉

     

     

     

     

     

    干拓地倉敷の強みを活かす!繊維のまちが誇る伝統工芸品「畳縁」

     

     

     
    最後に、2017年4月に日本郷土玩具館にオープンした高田織物株式会社のフラッグショップ「FLAT」訪れました。
    高田織物株式会社は、畳縁(たたみべり)の国内生産の35%以上を占めるトップメーカーで、「FLAT」では地元で作られた畳縁を利用した雑貨を販売しています。

     

     

     

    〈写真39_alt:alt玩具館FLAT〉

     

     

    畳縁とは、畳の長手方向に付けられた畳の縁を彩る布のことで、畳表の角の摩擦を防ぐため、また畳を敷き合わせる時にできやすい隙間を絞めるなどの役割があります。

     

     

     

     

    〈写真40_alt:alt玩具館FLAT完成畳〉

     

     

     

    なぜここ倉敷に畳縁のトップメーカーがあるのでしょうか。

    倉敷市の児島唐琴地区は繊維の町として知られ、国内シェアの約8割を占める有数の畳縁の生産地であります。
    江戸時代、倉敷児島地区は大規模干拓地であり、塩分に強い綿の栽培が始まりました。その後、綿を用いる繊維産業が興り、小倉織りや真田紐作りが発達していきます。
    そして昭和時代、住宅の新築ラッシュに後押しされ、細巾織物の一種である畳縁が盛んに製造されるようになりました。

    「伝統は伝統として大切にしつつ、新しい畳縁を提案し、畳という日本文化のよさを多くの人に知ってほしい」
    高田織物株式会社は、創業者の思いを受け継ぎ、従来の畳縁には見られなかったさまざまな色やデザインの畳縁を全国に発信し、その数1000種類というバリエーション豊富な畳縁を生産しています。
    FLATにはそのうちの数十種類が置かれていて、普段目にする畳縁のイメージとは全く違う色鮮やかさにとても驚きました。

     

     

    〈写真41_alt:alt玩具館FLAT畳縁1〉

     

     

    〈写真42_alt:alt玩具館FLAT畳縁2〉

     

     

    畳縁は色・柄・素材が豊富で軽く耐久性が高い素材であることから、この素材で様々な小物も作られています。

     

     

     

    〈写真43_alt:alt玩具館FLAT印鑑ケース〉

     

    〈写真44_alt:alt玩具館FLAT干支畳縁〉

     

    〈写真45_alt:alt玩具館FLATヘアゴム〉

     

    〈写真46_alt:alt玩具館FLATバック〉

     

     

    児島地区に本社と工場をもつ高田織物株式会社では、事前に予約すれば製造工程~出荷工程までの工場内の見学ができるそうです。また体験工房ミニ畳づくりもしており、連日多くの人が畳縁の一大生産地児島ならではの体験を求めて訪れているそうです。
    工場での見学・体験と直営店「TATAMI-BERI FACTORY SHOP FLAT」で、畳縁を直接見て触れる事ができるため、海外の方にも畳縁を使ったモノ作りの楽しさや、面白さがわかるといいます。工場直営店ならではの特徴として、工場のスタッフが丁寧に素材の説明をするのも魅力で、畳縁の魅力に惹かれる人が増えているそうです。

    畳縁という工芸品をこの取材を通し初めて知りました。
    畳縁そのものの軽さや丈夫さはもちろん、時代を重ね生み出された色鮮やかなデザインがなされた畳縁に時間を忘れるほど夢中になってしましました。
    可愛らしいものから日本ならではのデザインと様々なものの中から、お気に入りの1つを見つけてみてはいかかでしょうか。

    日本郷土玩具館      所在地 : 岡山県倉敷市中央1丁目4-16
    公式HP : http://www.gangukan.jp/

     

     

    高田織物株式会社     所在地 : 岡山県倉敷市児島唐琴2丁目2-53

     

     

     

     

    1度館内に入ると、何時間も夢中に見入ってしまう魅力あふれる郷土玩具の世界。
    作られた場所が違えば色・形・大きさが違って味のあるものになる面白さを感じることができます。
    職人さんが1つ1つ手作りにこだわる倉敷の伝統工芸品を手にとって感じ、大切な人への贈り物を選んでみてはいかかでしょうか。

     

     

     

     

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