HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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広島・尾道出身の文学者 林芙美子らの作品に触れ古寺巡る歴史旅

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    新大阪より新幹線で1時間30分で辿り着く広島・尾道。数多くの寺院仏閣が並ぶ尾道には寺巡りをしやすい工夫があります。

     

    今回は古寺コースの一部と尾道ゆかりの文学作品、著名人の足形にだって出会える旅を紹介します。

     

     

    有名・著名人の足形を探しながら尾道名所!お目当ての足形を探して

    新大阪よりJR山陽新幹線で「福山」で下車し、JR山陽本線「尾道」でおちるとたどり着く広島・尾道。

     

    新大阪から約1時間30分で来れる広島・尾道には尾道ゆかりの有名人や著名人の足形を探して散歩ができるようになっています。
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    1988年から「尾道10万人委員会」の事業として尾道市の備前焼陶芸家の佐藤苔助さんが尾道に訪れた著名人の足形を長期に渡り収集した作品です。

    2004年度に尾道市はこの足形を「足形みち」として市内各所に展示し、新たな観光資源として活用することになったそうです。

     

     

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    尾道市内の9か所に足形が設置しており、1つ1つ見ることができます。

     

     

    有名な方を少しご紹介すると、転校生・時をかける少女などの尾道三部作、尾道新三部作を通して尾道の魅力を全国に発信した映画監督の大林宣彦さんの足形。

     

    スヌーピーでも有名なピーナッツなど海外作品の翻訳をてがけた現代を代表する詩人の谷川俊太郎さんの足形。

     

     

    その他に女優・俳優・歌手の方も多く、西川ヘレンさん、松崎しげるさん、岸田今日子さん、冨士眞奈美さん、高橋英樹さん。まだオーボエ奏者やファゴット奏者、マジシャン、弁護士、豆腐職人など様々な業界で活躍をされている方の足形があります。
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    足形も人それぞれ違いますが、名前の書き方や一言メッセージを添えられている方など足形以外も楽しめる「足形みち」ぜひ観光ついでに道に設置されている足形に注目してみてください。

     

     

    当時の尾道暮らしには地形の不便を解消する工夫があった「二階井戸」

    尾道駅から北東へ進むと「持光寺」の看板と「二階井戸」の看板が見えてきます。
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    看板通りに道順をたどり細い道を進むと広場のようなスペースに出ます。
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    そこにあるのが「二階井戸」です。江戸時代の終わりに尾道の発展により千光寺山の中腹部まで人の暮らしが広がりました。

     

    坂が多い広島・尾道には水の確保が困難でした。尾道の地形だからこそ、多くの人が生活用水として井戸水を利用尾できるように二階建ての井戸ができたと言われています。

     

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    現在は上水道が整備され使われることがなくなった二階井戸ですが、尾道の人の工夫された暮らしを知る大切な文化財として残されています。

     

     

    当時の暮らしを考え地上から二階まで水を持ち上げるのがどれほど困難なことだったのだろうかなど、暮らしぶりを想像してしまいます。

     

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    延命祈願!石の山門をくぐり、世界に一つだけのにぎり仏を作ろう

    二階井戸の北側、徒歩1分のところに「持光寺」(じこうじ)があります。
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    持光寺の手前に見える石でできた門は広島・尾道の歴史的名所です。
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    この石の山門は「延命門」と呼ばれ、開運長寿を念じながら門をくぐり、御本尊・五劫惟(ごこうし) 阿弥陀如来に手をあわせ全ておまかせをすれば、延命祈願ができるというものです。

     

    延命ご利益がある石の山門は花岡岩を36枚使用して出来ています。持光寺は石の山門ぜひ石の門を通る際は念じながらくぐってください。

    もう一つ、持光寺で有名なものが「にぎり仏」です。
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    願いを込めて粘土を握り、世界でひとつの念持仏(お守り)をつくることができます。

    製作費は1.500円、5分ほど作ることができます。製作後日、持光寺の窯で焼き、本尊 五劫惟 阿弥陀如の前でお香を頂き、自宅まで届けてくれます。

     

    ぜひ手でしか出せない独特の味を生かし、自分だけのにぎり仏を製作してみてください。
    持光寺 所在地:広島県尾道市西土堂町9-2

     

     

    横綱の手は大きかった!第十二代横綱が眠る光明寺へ古寺めぐりコース

    持光寺の敷地内に「古寺めぐり順路」という案内があります。

    広島・尾道では古くからお寺が数多く点在しており、古寺めぐりはその中でも個性的な25個のお寺を石畳の坂道で結んでいるコースです。

     

    スタート時点は済法寺(さいほうじ)から始まり、海龍寺(かいりゅうじ)で終了です。

     

    お寺とお寺の距離が近く、石柱が目印となるので、迷子になることなく古寺を簡単にめぐることができます。
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    持光寺(じこうじ)にも石柱がありますので、次の光明寺をめざしましょう。
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    持光寺から徒歩約3分で到着します。

    光明寺は平安時代の初期(834-847年)承和の頃に慈覚大師円仁(じかくだいじえんにん)の草創といわれ天台宗でした。

     

    1336年に足利利尊氏西下の際、従軍僧として道宗がこの寺に杖をとどめて本堂を再建し、浄土宗に改めました。

    また光明寺の境内には、尾道にゆかりのある第12代横綱・陣幕久五郎(じんまくきゅうごろう)の墓があります。
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    その付近には陣幕久五郎を顕彰した手形付き記念碑もあります。

    やはり手形は大きく女性の手だとすっぽりはいってしまうほどです。

    尾道でよく見かける猫もついつい写真に入り込んでしまいます。撮影するスポット全てに入り込んでしまうほど、人懐っこいです。

    本堂の横には、尾道市の重要文化財に認定され室町時代初期に建てられた宝篋印塔があります。

     

     

    宝篋印塔(ほうきょういんとう)とは、宝篋印陀羅尼という呪文を収めた塔であり、供養塔,墓碑塔として建てられた石塔です。

    鎌倉時代に盛んに造られましたが、宝篋印塔の歴史はあまり解明されておらず、謎が多い塔のようです。
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    光明寺 所在地:広島県尾道市東土堂町2-8

     

     

    尾道ゆかりの作家の作品や暮らしを覗き見、作家のみていた尾道とは

    光明寺から徒歩約5分、宝土寺方面へ向かい二本北へ上がったところに文学の館「文学記念室」があります。
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    利用料金は一般300円で中学生以下は無料(2017年3月時点)です。

    文学記念館・志賀直哉記念館と共通入場券になっており、券自体がしおりになっているので、旅の思い出として帰ってからも尾道・文学記念室を思い出すことができる嬉しい工夫です。
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    文学記念室では尾道にゆかりのある高垣眸・横山美智子・行友李風・中村憲吉・山下陸奥・林芙美子などの作品資料であったり、当時つたわれていた杖や帽子、時計なども展示されています。
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    作品の原稿用紙やスケッチブックもあるので、有名な文学作品がどのように作られたのか間近で見ることができます。

    奥には中村憲吉・山下陸奥記念室や林芙美子記念室があり、実際使われていた家具の展示や書斎を再現した部屋もあります。
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    林芙美子の「吾亦紅」の生原稿など数多くの作品を見ることができ、その作家達の暮らしも想像できてしまう、その作家人生を知ることができる文学記念館。

     

    作品を知っている方も知らない方もどんな場所で作品を書いていたのか作者毎で異なるので、作品への興味が湧き家に帰って作品を読みたくなります。

    作家がみていた尾道の町を見下ろしながら、作品に触れればより伝わる作家の思いがあるのではないでしょうか。
    文学記念館 所在地;広島県尾道市東土堂町13-28

     

     

     

    観光しながら散歩をしながら楽しめる尾道には、時代を超えて愛される文学作品や古寺めぐりのコースがあり、1日の観光では足らないぐらいどの瞬間も楽しめます。

     

    昔の尾道の暮らしや作家などの見ていた尾道を想像しながら旅をおこなってみてはいかがでしょうか。