広島神楽を肌で感じる歴史旅 広島神楽の魅力を解説
毎週水曜日の神楽定期公演をはじめ、年中イベントが催されている広島神楽。広島には5つの流れを汲む神楽が存在し、その神楽を継承する団体がなんと300近く存在します。
はるか昔より大切に、伝承されてきた伝統芸能に触れる旅に出発です。
神楽の発祥や広島神楽発展の歴史とは?
【神楽の発祥とは】
神楽の語源は神霊を迎える座、「かみくら(神座)」が転じたものと言われています。
神楽は秋の収穫祭として神々に感謝をした儀式です。最初は神の御心を和ませるという神職によっての神事でしたが、明治政府から神職の演舞を禁止する令が出たことによって、土地の人々の手に受け継がれ、いつしか日本全国の各地で民俗芸能として演舞されるようになりました。
その中でも特に島根県と広島県では神楽が盛んに行われてきました。
【広島の神楽とは】
広島県内には5つの流れを汲む神楽が存在しており、有名な順番で「芸北神楽」「安芸十二神祇」「芸予諸島の神楽」「比婆荒神神楽」「備後神楽」の大きく5つの神楽に分けられています。
実は広島県で一番盛んな「芸北神楽」は江戸時代に広島県山県郡芸北方面(広島県の北西部)、島根県の石見神楽から伝わったものとされています。
その理由は山深く地域が隣り合っていたことと、「この舞が面白いから」と云う理由で、広島の安芸の地では「石見神楽を習いたい!」と云うことになったようです。広島安芸の人々は、石見の神楽囃子が、山々にこだましていた様を、あこがれの目で見ていたのでしょうか。
今でも農村では、秋の稲刈りを終えた時期に、収穫を感謝してあちこちの神社の中にある神楽殿(かぐらでん)で神楽が舞われています。
大迫力!絶やしたくない地元の方々の想いをつなぐ 広島神楽鑑賞の旅
広島電鉄「袋町駅」から徒歩約10分。
商店街の中にある『広島県民文化センター』に到着しました。
ここでは毎週水曜日に様々な神楽団が順番に登壇する、広島神楽の定期公演が行われています。広島は全国有数の神楽どころであり、市内で約30の保存会が存在しています。
18時開場19時開演、チケットの販売は17時から行われていますが、この日は17時前からチケット購入のため行列ができていました。
良い席を取るためみなさん開場前から並ばれているのですね。公演中写真撮影可能な席があり、外国人や若い人を中心に写真撮影も行われています。普段は会社勤めをされている方が夜に集まって練習をし、神楽団として活動されているそうです。
今回鑑賞したのは5種の神楽が伝承されるなかでも一番有名な、「芸北神楽」でした。
鈴り神楽団による「土蜘蛛」。ドライアイスや本物の糸を利用した演出や鮮やかな衣装。楽人たちの太鼓や笛の音に合わせて激しく躍る演者さんを生で観て、その迫力はすさまじかったです。
特に楽器を奏でる楽人たちは舞台でなにも見ずに楽器をたたいていました。もともと神楽には楽譜などの書き物はなく、楽人たちはすべての演目を「耳」と「体」で覚え、長い時間をかけて習得していくのだそうです。昔は本番の舞台の下に忍んだり、耳で覚えたほどに厳しい世界だったようです。
20:45頃に閉幕した後、神楽団の方と写真撮影できる時間もあります。
実際に行かないと伝わらないこの迫力、水曜日以外も週末を中心に県内のどこかでは公演がされていますので、体感してきてください!
所在地:広島県広島市中区大手町1丁目5−3
原爆により多くを失った広島。文献や寺社仏閣そのものなど、“歴史”も失われた物の1つです。現存したものを大切に、後世へ伝えたい、より多くの人に体感してもらい、知って欲しい。
そんな広島の方々の思いを味わう旅に出てみませんか。