江戸時代から続く武士の暮らしと歴史を体感 角館の武家屋敷を巡る
角館は武家屋敷が立ち並ぶ町として知られています。
武士は階級や身分によって厳しく区分されており、武家屋敷を通して当時の暮らしを体感することが出来ます。
県・市に指定されている3つの武家屋敷を巡ります。
この記事の目次
県指定有形文化財の武家屋敷 松本家仙北市角館の下級武士の特徴とは
秋田新幹線・田沢湖線 角館駅から徒歩約15分。こちらは県指定有形文化財にしていされている松本家です。
「烏帽子於也(えぼしおや)」の著書として知られる須藤半五郎を出した向学の家です。建築年代は幕末期と推定されています。
他の武家屋敷に見られる薬医門は無く、質素な立ち振る舞いですね。
こちらの二つの石は馬乗り石と呼ばれるもので、武士が馬に乗る際こちらの石を踏み台に使用されていました。
一見すると石が二つ並んでいるだけに見えますが、その石に意味があるとは驚きました。
母屋は茅葺屋根(かやぶきやね)、庇(ひさし)は杉皮葺き(すぎかわぶき)となっています。
庇に乗っている石は、屋根が飛ばないようにする重しの役割があります。
後ほど紹介する武家屋敷と比べて、質素な造りでまさに下級武士の屋敷という印象を受けました。
この杉皮葺きの屋根は、他の武家屋敷に見られず、下級武士の特徴が表れています。
出典 : 角館ガイドマップ
所在地 : 秋田県仙北市角館町小人町4
薬医門から見る角館の武士の階級とは 市指定史跡 河原田家を巡る
続いて市指定史跡、「河原田家(かわらだけ)」を訪れます。
正面の薬医門は2本の柱で、前方にずれている本柱を支えている構造になります。
薬医門は武士の威厳を表す象徴的なものであり、武士の階級ごとにその大きさや装飾が異なります。
河原田家は中級武士であったため、比較的質素な造りとなっています。
薬医門は他の武家屋敷でも見られるので、比較しながら見て回るのも武家屋敷巡りの楽しさです。
当時、薬医門は基本的に占めており、目上の方が訪れた際に開けることになってました。
そのため、普段は隣にある小さな門を使っていました。
立派な薬医門を構えていても、あまり使う機会がないとは寂しいですね。
薬医門にかかっているこの「電話一番」の表札は、電話事業の草分けであったことを表しています。
河原田家は、典型的な書院造りの構造が見られます。
縁側には土縁が見られ、庇を設けることにより、雨風をしのぎ劣化を抑える効果があります。
冬には雪が降り気温が下がるこの地域に、うってつけの建築様式です。
河原田家の緑があふれる庭は、落ち着いた空間で時間を忘れさせてくれます。
四季折々の武家屋敷はもちろん、雨に濡れた武家屋敷も魅力的です。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
所在地 : 秋田県仙北市角館町東勝楽丁9
ツツジのトンネルが迎える角館の癒しの空間 市指定史跡 小田野家
今宮氏の配下から佐竹北家の家臣となった家柄で、伝統的な庭園が特徴の小田野家を訪れます。
小田野家の薬医門は、比較的質素な造りとなっており、中級武士の特徴が表れています。
門には薬医門の特徴である柱の構造が見て取れます。
薬医門をくぐると、ドウダンツツジのトンネルが迎えてくれます。
さらに笹が植え付けられた庭など、手入れが届いた自然が感じられます。
緑が生い茂った自然とは、また一味違った自然を感じることができます。
母屋にも当時の生活が感じられる特徴があります。
正面から一見すると壁があり、行き止まりのように見えます。
しかし、実際には左右で玄関が別れています。
これには、家人と来客の使用する玄関を区別をする役割があります。
さらに、敵が攻めてきた際、侵入を困難にさせるという役割があるとも言われています。
実際に歩いてみると、思った以上に戸口は狭く、敵が突入するのはとても厳しいと感じました。
階級が厳しく、常に戦いが身近に存在した武士の暮らしを体感することができますね。
所在地 : 秋田県仙北市角館町東勝楽丁10
武家屋敷の魅力を感じられたでしょうか。
角館には歴史的建造物の武家屋敷が6つあり、それぞれに歴史があります。
他の3つの武家屋敷も別の記事でご紹介しておりますので、ぜひご一読してみてはいかがでしょうか。