HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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山紫水明の悠久の大地貴船神社で辿る 日本の過去と現在の繋がり

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    古くから「貴生根(きふね)」とも記され気力の生じる地として名を馳せ、あがめられる地、貴船(きふね)
    幽寂閑雅のこの京都の地には数多くの逸話やそれに付随した日本文化が溢れています。
    この地では日本の雪月風化が凝縮された濃密な時間を過ごすことができます。
    それではその逸話と美しい景色を巡ってみましょう。

     

     

     

    遥かな伝説気力湧水の地貴布禰総本宮 貴船神社 始まりの逸話

     

     

     

     

    叡山電鉄貴船口駅で下車し、京都バス貴船口駅前から貴船駅までバスでコトコト揺られること約5分。
    バスを降りると冷涼な風が吹き抜け、周りには青々とした命が芽吹いており、体が少しずつ開放感に包まれていきます。

     

     

     

    <01 貴船神社 奥宮>
     

    古くから「貴生根」とも記され、気力の生じる地として名を馳せているこの地には数多くの逸話が残ります。
    起源は日本の初代天皇とされる神武天皇(じんむてんのう)の母、珠依姫命(たまよりひめのみこと)が黄色い船に乗り、
    「淀川・鴨川・貴船川」を遡り貴船に上陸し、水神を奉ったことに始まります。
    さらに「きふね」は運気が生れる根源を意味する言葉です。

     

     

    <02 鞍馬貴船 橋>

     

     
    その名を聞いた平安時代の歌人である和泉式部(いずみしきぶ)が夫婦の問題に悩んでいたおり、貴船神社で祈願したところご利益を授かったため古くから縁結びの神社としても名高いです。

     

     

    <03_kurama貴船神社 ハート>
    磐長姫命(いわながひめのみこと)を祭神とし、祀られ、このような逸話があります。
    天尊瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が磐長姫命の妹と結婚しようとした折、姉妹の父の大山祇命(おおやまつみ)は磐長姫命も共に奉ったが、
    瓊瓊杵尊は妹とのみ結婚したためそれを恥じた磐長姫命はこの地に鎮まった、といわれています。

     

     

     

    <04_kurama貴船神社 連理の杉>
    一方で貴船神社は縁切りの地としても有名であり、丑の刻参り発祥の地でもあります。
    ただし、これは「丑の年の丑の月の丑の日の丑の刻」に貴船明神(きふねみょうじん)が貴船山に降臨したことに由来し、
    心願成就の方法であると寺社関係者は語ります。
    受け継がれてきた情緒の趣と、鮮やかな自然とが織りなす空気は古の都京都の中でも他に類を見ないたぐいまれなものに思えました。
    由緒正しきこの地で己の縁を試してみてはいかがでしょうか。

     

     

     

    <05 _kurama貴船奥宮 紅葉>
    所在地 : 貴布禰総本宮 貴船神社 〒601-1112 京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
    http://kifunejinja.jp/sp/

     

     

     

     

    清流の真上 幻想的な京の奥座敷貴船でいただく夏の風物詩 川床料理

     

     

     

    川床料理といえば言わずと知れた京の夏の風物詩です。
    貴船自体が洛北に位置することと、納涼床の真上で食べられることが魅力です。流しそうめんや本格高級川床料理まで幅広く楽しめます。

    京阪電車出町柳駅で下車し、叡山電鉄に乗り換え青葉に囲まれながら進むこと約30分。
    貴船口にて下車し、貴船口駅から京都バスに5分揺られ、船神社前で下車するとこちらの絶品川床料理を楽しむことができます。バスは平日は20分毎、土日祝日は15分毎です。

     

     

     

    <06_kurama川床料理 流しそうめん>

     

     

     

    <07_kurama川床料理 食事>

     

     

     

    豪々と轟く清き水の音と、涼風が心地よく川床に吹き込むなかで旬の恵みをふんだんに使った会席をいただくことで、日々の喧騒を忘れ、異世界に入り込んだかのような非日常のひと時を味わうことができます。

     

     

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    川床の起りは豊臣秀吉により、天下統一がなされた頃といわれています。
    三条や五条橋の架け替えなどを経て、鴨川の河原に茶屋や見世物などを開いたことに始まるといわれ、大正時代の中頃になり「貴船」での川床が始まりました。

     

     

     

    <09_kurama川床 周辺図>
    茶屋が貴船川に床几をだす。すると、お客が川に足をちゃぷちゃぷとつけ、涼めるようにしたことに由来します。
    後に、さらに京都の精進料理などを出す今の川床料理が生まれました。

     

    尚この川床では、冬場には旬の牡丹鍋などの一味違った京料理を愉しむことができます。
    この川床料理はまだ電化製品などがない時代に少しでも良い暮らしをするために編み出された先人の知恵の結晶であります。
    ぜひ一度立ち寄って過去の暮らしに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

     

     

     

    <10_kurama川床周辺 陸地>
    所在地 : 京貴船 でんべ 京都府京都市左京区鞍馬貴船町39
    ひろ文            京都府京都市左京区鞍馬貴船町87 http://hirobun.co.jp/sp/index.html

     

     

    花鳥風月の貴船神社悠久の地で尋ねる日本のすべてを語り継ぐ色彩

     

     

     

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    京都には様々な色があります。
    金閣寺や銀閣寺などの幽玄的な色や、木々や草花が織りなす自然そのものの鮮やかな色。
    それは日本古来から伝わってきた色です。

     

     

     

    <12_kurama貴船神社 自然>
    そして京都にはその地理的特性を生かした京都だけがもつ色合いがあります。
    それは雪の白色です。南北に長いその地形から京都では年に数回積雪が見られ、
    その雪化粧を纏うことで京の美しさは何倍にも膨れ上がることができます。

    タイトルで扱われている画像は夏の貴船神社です。
    ここに雪化粧を施した姿は想像を絶します。

    そしてその最たる例が貴船神社であると私には思えます。
    貴船神社本宮で見られる雪化粧を纏った鳥居は、それが持つ朱色と対比され言いようもなく美しく、さらにその魅力を際立たせるため貴船時神社では積雪の折にライトアップが行われています。

     

     

     

    <13_kurama貴船神社 鳥居>
    1400年以上前に作られた歴史的建造物との、現代の技術との共同によるコントラストは歴史が紡いできた過去からの贈り物の様に感じられます。
    先人たちからの贈り物であり、見る価値のある宝物ですね。
    山紫水明の貴船神社、とりわけ冬の貴船神社はぜひ訪れてください。またその際には十分な暖とカメラを持って、情緒を感じましょう。

     

     

     

    <14_kurama貴船神社 入り口>
    所在地 : 貴布禰総本宮 貴船神社 〒601-1112 京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
    http://kifunejinja.jp/sp/
    今と昔が繋がり、今を生きる私たちに春夏秋冬多種多様な姿、物語を見せてくれる貴船神社。
    その山紫水明な姿は先人たちが私たちに残してくれたかけがえのない遺産に違いありません。
    貴船神社で日々の喧騒から離れ、日本のすばらしさにもう一度触れる旅をしてみませんか?