HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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鞍馬寺に伝わる遺物や秘宝と守られてきた自然を伝える鞍馬山霊宝殿

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    鞍馬(くらま)寺は鑑禎上人によって770年に開山されてから1247年の歴史を歩んできました。
    その歴史の中で伝わってきた数々の宝物。
    守られてきた自然、伝わってきた宝物、信仰されてきた仏像、そこから見えてくる鞍馬寺とは。鞍馬山霊宝殿から見える歴史に迫ります。

     

     

     

     

    1200年以上守られてきた神秘の山 鞍馬山の自然を伝える品々

    鞍馬寺の山門を超え踏みいればそこは、鞍馬山自然科学博物苑(鞍馬寺命名)です。

     

     

    <01_kurama山>
    そして鞍馬寺本堂から鞍馬山をさらに5分ほど歩くと鞍馬山霊宝殿があります。

     

    <02_kurama鞍馬山霊宝殿>
    これは、豊かな自然、動植物を鞍馬寺が守り伝えてきたあかしです。
    そのため現在では鳥獣保護区としての認定も受けています。
    この鞍馬山で発見された動植物はクラマゴケのように「クラマ」の名がついています。

     

     

    <03_kurama館内写真>
    鞍馬寺の境内にあり、様々な宝物を展示している鞍馬山霊宝殿の1階にはこの鞍馬山の自然を伝えるため鞍馬山自然科学博物苑展示室があります。
    ここでは鞍馬山のキノコ、虫、植物、岩石、地形などの様々な標本や解説があります。

     

     

    <04_kurama石写真>
    ここにある展示物は鞍馬山で見ることが出来るかもしれないものです。

     

     

    <05_kuramaカマキリ>
    この先の道では植物や岩にも目が向くようになりました。
    鞍馬山霊宝殿から先の参道では足元ばかりでなく、立ち止まり空や木々、植物に目を向け、その逞しさや美しさを感じ、発見してみてはいかがでしょうか。

     

     

    鞍馬山自然科学博物苑 所在地 :京都市左京区鞍馬本町1074

     

     

    開山以来の鞍馬寺の信仰と歴史を伝え彩ってきた今に残る逸品の宝物

    鞍馬山霊宝殿2階にある寺宝展観室では鞍馬寺所蔵の絵、古文書、工芸、遺物が展示されています。

     

    <06_kurama室内写真>
    鞍馬寺は有力な寺社であったため多くの古文書が存在しています。
    その中には豊臣秀吉、徳川家康からのものもあり、これは本尊である毘沙門天(びしゃもんてん)が戦の神であったことから多くの戦勝祈願が為されたためです。

     

    <07_kurama徳川家康文書>
    これは戦勝祈願に対する徳川家康からの礼状であり朝鮮の役時の物です。これらは鞍馬寺がどのように思われていたかが分かる品々となっています。
    また、鞍馬寺で幼少期を過ごした源義経に関する展示がなされており、義経の兜屋や太刀と伝わる物が展示されています。

     

     

    <08_kurama義経太刀>
    絵図では、鞍馬寺の信仰を示した鞍馬山曼荼羅図(まんだらず)があり、吉祥天(きっしょうてん)、護法魔王尊(ごほうまおうそん)、毘沙門天、ムカデが描かれています。

     

     

    <09_kurama鞍馬山曼荼羅図>
    江戸時代に描かれたもので、この絵を持ち歩き全国で信仰や参拝を勧めたとされています。
    他にも明治時代、京都画壇の3巨頭とされた岸竹堂(きしちくどう)による魔王大僧正之図(まおうだいそうじょうのず)などがあります。

     

     

     

    <10_kurama魔王大僧正之図>
    偉人など昔の人々の道具や信仰を感じることができ新鮮でした。
    人々が大切にし続けてきた物と心を再確認してみてはいかがですか。

     

    明治の文人与謝野晶子と与謝野鉄幹の愛した鞍馬と義経への思いと足跡

     
    同じく鞍馬山霊宝殿2階には与謝野記念室があります。

    なぜ鞍馬寺に与謝野晶子に関する展示があるでしょうか。
    それは鞍馬寺と与謝野晶子との関係は鞍馬寺館長であった信楽香雲が与謝野晶子の弟子であったことからきています。
    そのため、鞍馬山霊宝殿の正面には与謝野晶子が50歳の時に弟子達から贈られた書斎である「冬柏亭(とうはくてい)」が1976年に鞍馬寺に移築されています。

     

    <11_kurama冬柏亭>
    記念室では冬柏亭の内部が再現の展示がされています。

     

     

     

    <12_kurama館内>
    その他の展示として読まれた歌や愛用されていた道具等も展示されています。

     

     

     

    <13_kurama品>

     

     

     

    <14_kurama歌>
    また、与謝野晶子、与謝野鉄幹夫妻はたびたび鞍馬寺に訪れています。
    その時々に読んだ源義経に対する歌の説明もありました。

     

     

    <15_kurama解説>
    ここでは与謝野晶子の思いが感じられた気がしました。
    明治の歌人が愛した品々と場所に思いめぐらしてみてください。

    鞍馬山霊宝殿最上階の3階は、鞍馬寺に伝わる仏像が安置されている仏像奉安室となります。
    ここでは国宝指定の毘沙門天三尊立像、重要文化財指定の兜跋毘沙門天立像、聖観音立像などが安置されています。
    仏像の表情まで1つ1つがまじかで見ることができ見入ってしまいました。
    観覧している人も少なく、仏像を非常に近い距離から眺めたり、拝むことができる他にはない魅力的な場所なので必ず行くことをおすすめします。
    鞍馬山霊宝殿では自然、歴史、文化、仏像と多様な品々を展示しています。
    ここでしか見ることのできない貴重な展示品が沢山ありました。
    本殿から階段を少し上った場所にあるとともに、全てを見て回っても早ければ、約20分、30分程度で見て回れるのでぜひ観光ルートに入れてみてはいかがでしょうか。