出雲市から一つ山を越えた先に広がる港町 穏やかな時間が流れる鵜鷺
江戸時代から明治時代にかけてに北前船の寄港地として発展し、鉱山としても栄えた町、島根県の鵜鷺(うさぎ)地区。
出雲市駅から、出雲大社連絡所までバスで15分。バスを乗り換えて、鷺浦方面行のバスを乗って約30分。
山を越えたその先に広がる風景は、どこか心が安らぎます。
ゆったりとした時が流れるこの鵜鷺地区を、歴史を辿りながら町歩きしてみましょう。
この記事の目次
瓦には大国さん 寄港地ならではの工夫が施されている鷺浦地区
出雲大社連絡所から、バスで約30分。
山を越えた先にある小さな集落に訪れました。鷺浦(さぎうら)地区です。
この集落を散策していると、海に面している家の前に、竹で作られた塀のようなものがあります。
これは、昔からの技術で潮風による家の劣化を防ぐためのものです。
夏には、家の窓の部分だけ開くことができるようになっています。
そのまま、路地に入っていくと、路地は港に沿ってカーブを描いています。
また、家の壁には鶴の鏝絵(こてえ)が描かれていました。手で作ったとは思えないほどの素晴らしい作品です!
鏝絵には、縁起のいい動物が描かれています。
また、鷺浦地区の瓦には大国さんの顔が描かれているので、それらを見ながら散策するのもおすすめです。
また、鷺浦には「鷺浦銅山」という鉱山があります。
今では閉山されていますが、鉱山もこの鷺浦を盛んにした産業の1つです。
島根県と言えば石見銀山ですが、その石見銀山の前身となったのが、この鷺浦銅山ともいわれています。
というのは、鷺浦銅山を目指してくるときに輝いていた石見銀山を見つけ、鷺浦銅山で採掘し終わった後に、労働者たちをひきいて石見銀山に赴いたといわれています。
ということは、鷺浦銅山がなければ石見銀山もなかったと言ってもいいほど、重要なところなんですね。
所在地 : 島根県出雲市大社町鷺浦地区
かつての北前船の寄港地「鵜鷺」 釣り人が集まる透明度抜群の美しい海
鵜鷺の町のすぐ目の前に広がる港は、江戸時代から明治時代にかけて、北前船の寄港地としても非常に重要な要所でした。
物資を運ぶため、大坂から瀬戸内海を通って北海道まで行くための休憩所としても使われていました。
私たちが朝、散策していると、港に非常にたくさんの釣り人がいました。
鷺浦では船に乗って沖まで行く人や、防波堤で釣りをしている人を見かけました。
鵜峠(うど)は非常にきれいな朝日を見ることができ、その朝日を浴びながら地元の人々が釣りをしている光景が見ることができます。
朝日を見るなら、鷺浦より鵜峠のほうが見やすいと思います!!
鷺浦からは歩いて約30分ほどかかるので、体力に自信がある方は是非絶景を見に訪れてはいかがでしょう?
また、海は透明度が高く非常にきれいで、一度見ると虜になること間違いありません。
海にはカラフルな熱帯魚も泳いでいます。地球温暖化の影響ということで複雑な気分ではありますが、その姿は美しかったです。
所在地 : 島根県出雲市大社町鷺浦地区
出雲の鷺浦隧道は必見 トンネルの奥に広がるどこか懐かしい風景
鷺浦を散策していると、一つのトンネルが出てきます。
看板には鷺隧道(さぎずいどう)と書かれていました。
一見、どこでにもある短いトンネルだと思うかもしれません。
しかしこの鷺隧道は、西暦(昭和5年)になんと手作業で掘られたトンネルなのです!
そう考えると、すべて人の手で掘るにしては距離の長いトンネルだと感じますよね。
普通、トンネルと言えば山を越えるために作られます。なので基本的にはトンネルから見える風景は、山のはずです。
しかし、この鷺隧道の片方は基本的な山の風景であるものの、もう一方から見える景色は鷺浦の集落でした。
トンネルの奥に広がっている集落の風景は、どこか懐かしい故郷に帰ってきたような気分になります!
是非実際に訪れて、鷺浦隧道から見える景色を肌で感じてみてはいかがでしょう。
また、トンネルから見える景色が集落に近づけば近づくほど開放的になっていく様子も、一緒に楽しんでいただければと思います!
所在地 : 島根県出雲市大社町鷺浦地区
鵜鷺地区には、言葉では伝えきれないほどの感動があります。
山を越えた先にある小さな集落は、時を経て空き家が増えてしまった一方で、今もなお歴史が色濃く残る地域でもあります。
一度訪れれば、受け継がれる歴史文化や人の温かさ、のどかで懐かしい町の風景に、きっとまた来たいと思うことでしょう。
あなたもこの感動を味わいに、鵜鷺地区を旅してみませんか。