奈良県指定文化財 長年の時を築いてきた 天川村の面不動鍾乳洞
奈良県吉野郡天川村の面不動鍾乳洞(めんふどうしょうにゅうどう)は関西地方の最大規模といわれており、関西では珍しい鍾乳洞を楽しめる人気スポットです。
今回はこの地にしかない特徴やみどころを紹介していきます。
日常から抜け出して、幻想的かつ神秘的な世界に浸りましょう。
この記事の目次
天川村の景色を一望 面不動のトロッコ通称「どろっこ」で鍾乳洞へ
大阪市方面から車で約2時間から2時間30分、天川村総合案内所に到着しました。
天川村総合案内所では村の行事についてやバスの時刻などのパンフレットが手に入ります。
さらに天川村総合案内所から車で約10分、駐車場のすぐ前に面不動鍾乳洞の看板が見えてきました。
この道を少し上ると、右に徒歩で進める道(鍾乳洞入口まで約10分)があり、左にはトロッコ(鍾乳洞入口まで約5分)の小屋があります。
このトロッコは洞川(どろかわ)という地名から「どろっこ」と言う名前で、丸太を輪切りにしたような可愛らしいデザインの乗り物です。
料金は到着地点のカフェで後払いなので、さっそく出発です。
手を伸ばさなくても届くくらいの距離に背の高い杉があり、見渡す限りの林道をくぐり抜け、上へ進んでいきます。
斜面は急でしたがスピードはゆっくりなので安心して乗ることができました。
45度くらいあるのではないかと思うような勾配ですが、ゆっくり進むので恐怖を感じることもなく、あっという間に到着です。
どろっこを降りると、洞川の町が一望できる絶景が広がっています。
思っているよりも高く一面に見えたのですがすがしい気持ちになりました。
チケットは片道と往復があるので、行きはどろっこ帰りは徒歩でも、また違う景色が楽しめます。
面不動鍾乳洞(めんふどうしょうにゅうどう)を訪れる際は、普段の生活では乗らないトロッコをぜひ体験してみてください。
100年で1cm 洞内は年間8度 天川村 面不動鍾乳洞の神秘
どろっこを降りると右側に面不動鍾乳洞への階段が見つかります。
入口に立つとひんやりとした澄んだ空気が洞内から漂ってきて、まるで別世界への入口でもあるかのようです。
それもそのはず、洞内は年間を通して温度が約8度と大変低く、夏でも涼しく過ごせる程の気温だからです。
この地域一帯はカルスト地形と言って、雨風に浸食されやすい石灰岩が多く含まれており、その環境がこういった鍾乳石がある鍾乳洞を生み出しています。
つららのように上から垂れているものが鍾乳石(しょうにゅうせき)といい、1cm伸びるのに約100年かかるとも言われています。
気が遠くなる程の長い時間をかけ、この鍾乳石が形成されたことが想像できますね。
また下から伸びているものを石筍(せきじゅん)といい、水滴に含まれる炭酸カルシウムが堆積して形成されています。
このように細い鍾乳石は全国的にも珍しく、中は空洞になっていることから「ストロー鍾乳管」という別名もあります。
同様に少し珍しい「珊瑚(さんご)の壁」という鍾乳石もあり、壁面一帯に短く伸びた鍾乳石は洞内の暗さも相まって海中の珊瑚のように見えます。
さて、鍾乳洞の成り立ちと面不動の特徴を知ったところでいくつか洞内の窟(いわや)を見てみましょう。
ライトアップされた不思議空間を探索 天川村面不動鍾乳洞の窟を紹介
洞内では15カ所の窟がありますが、今回はその中でも特に印象に残った3つの窟を紹介します。
1つ目がご母堂窟(ごぼどういわや)です。
右側の石筍(せきじゅん)が母の姿のように見えているからでしょうか。
少し腰を曲げ、自分の手を前でにぎっているような姿に見えますが皆さんはいかがですか?
2つ目は行者窟(ぎょうしゃいわや)です。
画像右側に、正面を向いて座った役行者(えんのぎょうじゃ)が石に刻まれています。
その右隣の影の部分に、役行者似ているといわれる石筍があります。
このように石筍は人や神様に似た姿をしていることが多いようです。
そして3つ目が権現窟(ごんげんいわや)です。
禍々しい雰囲気ですが、権現窟の看板の少し右上に権現をかたどった石のようなものがあります。
発見できましたか?
余談ですが私たちはこの権現様に夢中になって、天井が低い部分の洞内の岩に頭をぶつけました。
皆さんは足下と頭上に注意してくださいね。
ライトアップは少しづつ色が変化し、また違った雰囲気を楽しめます。
皆さんだけの魅力を発見しに面不動鍾乳洞を訪れてみてください。
所在地 : 〒638-0431 奈良県吉野郡天川村洞川673−89
トロッコ・絶景・鍾乳洞と見どころ盛り沢山な面不動鍾乳洞はいかがでしたか。
今回紹介していない窟にも多くの魅力があり、新たな発見もある旅となるでしょう。
何万年もの時を経てきた美しい自然に触れられる面不動鍾乳洞に是非訪れてください。