秘められた歴史の宝庫 天川村に今も残る修験道の伝説に迫る 歴史旅
奈良県の中央、桜で有名な吉野郡に位置する天川村にはその広大な自然だけでなく歴史も眠っています。
国内唯一の女人禁制である大峯山寺や母公堂、龍泉寺にまつわる伝説を知り、
1300年前からの時の流れを感じる歴史旅にでかけましょう。
この記事の目次
国内唯一の女人禁制 世界遺産 大峯山寺と天川村の立役者 役行者
大阪市方面から車で約2時間から2時間30分、天川村総合案内所に到着しました。
天川村総合案内所では村の行事についてやバスの時刻などのパンフレットが手に入ります。
天川村総合案内所から車で約20分、世界遺産 大峯山寺(おおみねさんじ)の女人結界門を目指します。
車で20分ほど走ってしていると、大峰山寺の駐車場を管轄する大橋茶屋さんが見えてきました。
一時駐車なら400円、修行やハイキングの為の1日駐車は1000円と少し珍しい料金設定です。
車を留めて少し歩を進めると清浄大橋(せいじょうおおはし)という橋があります。あたりの空気は澄んでいて少し冷たく、こころなしか背筋が伸びます。
清浄大橋を約2分ほど直進すると、大峯山 女人結界が姿を現します。
女性がこの女人結界門をくぐり、大峯山に入山することは約1300年前から現在に至るまで許されておらず、世界遺産 大峯山寺は国内で唯一の女人禁制となっています。
かつて山岳修行にて霊力を手に入れる「修験道」を創始した役行者(えんのぎょうじゃ)という僧がこの大峯山を開山し、女人禁制を命じたと言われていますが、それは一体何故なのでしょう。
この女人結界門に訪れることを皮切りに、紡がれてきた歴史に思いを馳せるのも旅の楽しみのひとつになるのではないでしょうか。
所在地 : 〒638-0431 奈良県吉野郡天川村洞川703
役行者の母親 白専女と母公堂の伝説 天川村の大峯山寺が女人禁制
大峯山寺女人結界門より車で約5分、母公堂(ははこどう)に到着しました。
道の途中に急に現れるので驚きました。
こちらは役行者の母親、 白専女(しらとおめ)が滞在した庵と言われています。
約1300年前、山岳は妖怪の住む大変危険な場であるとみなされていました。
そんな大峯山で修行をするという役行者を心配した母は共に入山しようとしましたが、母思いの役行者は大峯山を女人禁制とし、母を危険から遠ざけました。
その際に彼が母の為に建立した庵がこの母公堂ということになります。
近年はこの感動的な話に心を打たれ、参拝者が増加していることにも納得できま
また滞在した白専女が里人の出産の手助けをしたため、子授け・安産祈願にも良いとされているそうです。
ちなみにこの日は午後から木簡に願いを記し、祈りを込めて燃やす護摩焚き(ごまたき)が行われるそうで
昼食を食べている方や、お話をしている方で賑わっていました。
親が子を、子が親を思い合ってできたこの母公堂をぜひ訪れてみてください。
所在地 : 〒638-0431 奈良県吉野郡天川村洞川
役行者の弟子 前鬼・後鬼が今も護り続ける水行場 天川村の龍泉寺
母公堂から車で約10分、龍泉寺(りゅうせんじ)にやって参りました。
門をくぐるとすぐ右手に水行場があります。古来から現在に至って入山修行前に体を清めるために使われています。
龍泉寺は役行者が大峯山に入山する前に見つけた湧き水のある場所に建てられたと言われています。
その湧き水が龍の口から流れているようだったので、龍の住む泉として龍泉寺と名付けられました。
ここから湧き出る水は約1300年前に発見された時から現在まで枯れることなく湧き出続けているそうです。
また、役行者はかつて前鬼・後鬼と言われる鬼の弟子を連れていたそうで、役行者がこの世を去るときに「大峯山に修行に来る人々を守るように」と前鬼・後鬼に言ったとする伝説があります。
そして前鬼・後鬼は今も本尊の前で言いつけを守っています。
本堂すぐ目の前に、なでると軽くなり叩くと重くなるという「なで石」があります。
石があがると願いが叶う、願いを叶える為には優しくなでるという
人生の教訓のようなものを感じました。
常に清水を感じる龍泉寺、美しい紅葉に向けて葉も準備中です。
ぜひ癒されに訪れてみてはいかがですか。
所在地 : 〒638-0431 奈良県吉野郡天川村洞川494
公式HP :大峯山 龍泉寺
知っておくと更に旅が楽しくなる、そんな天川村の歴史を紹介しました。
特に役行者は村の方ももちろん知っている人物ですので、お話を聞いてみるのもまた一興です。
修行に訪れるも良し、歴史に思いを馳せるも良しの天川村へぜひ足を運んでみてください。