京の奥嵯峨 400年続く老舗料亭 鮎の宿つたやで季節を味わう
京都・嵯峨鳥居本の地で400年もの間旅人を見守り続ける、鮎の宿つたや。
歴史の重みと自然の恵みを感じながら少し贅沢なひとときを過ごしませんか。
日本のおもてなしがきっとあなたの心を温かく、癒してくれるでしょう。
この記事の目次
いつの時代も旅人を癒す 茅葺きの佇まいと奥嵯峨自然のおもてなし
JR嵯峨嵐山(さがあらしやま)駅から歩いて35分、嵯峨鳥居本の重要伝統的建造物群保存地区を奥へ奥へ進んでいきます。
左手に茅葺屋根のお店が見えてきました。
こちらが400年続く老舗料亭、鮎の宿つたやです。
9月ごろには苔むした茅葺の屋根と青紅葉が、美しく静かに旅人を出迎えてくれます。
紅葉が美しくなる季節になれば、また違った自然の表情を見せてくれることでしょう。
また料亭とそれを取り囲む自然からは、400年の歴史を肌で感じさせてくれる厳かな雰囲気が漂います。
静かに、温かく私を迎え入れてくれているように感じました。
さて店内に入ると、壁には講札(こうふだ)が掛かっています。
かつては多くの講札がかかっていたようですが、戦時中に失われたそうです。
しかし、今残っている講札の中に播磨國と書かれているものを発見しました。
この文字から、これらは間違いなく廃藩置県の前のものであることがうかがえ、つたやが長い年月を経て今ここに在ることの奇跡を感じることができます。
しかし、この奇跡は決して偶然の出来事などではありませんでした。
嵯峨鳥居本の地と家族と ともに歩んできた400年の歴史を振り返る
400年お店を続ける、伝統を守り抜く、ということは簡単なことではありません。
時代によって求められるものは違います。
そんな中でここまで続けることができた理由について、現在鮎の宿つたやを守っている井上清邦さんはこう仰いました。
「大変だった時期も確かにあって、親の代そのまた上の代では寝ずに働いていたこともあった。
そんな姿を見ていると、自分の代でそれを絶やすわけにはいかない。
また、後世の者にできる限り良いものを残してあげたい。
とここで働くみんながそう思ってつなげてきたものなのだと思う。」
嵯峨鳥居本の地で400年続いている裏には、つたやを守ってきたそれぞれの代の方達の強い想いと、感謝の気持ちの連鎖が確実に存在していました。
季節の食材が織りなす食の美 嵯峨鳥居本鮎の宿つたやの懐石料理
さて、鮎の宿つたやの歴史を感じた後は、お料理で季節を味わいます。
お料理をいただく部屋は、和の雰囲気が落ち着く畳のお部屋です。
窓から見えるのは緑が美しい自然、聞こえてくるのは鮎のいけすの水の音と虫の音、心が休まります。
今回いただいたのは、鮎の宿つたやこだわりのミニ懐石。
おつきだしの温かいごま豆腐に始まり、まつたけの土瓶蒸し、炊き合わせ、和え物、まつたけご飯、デザートの6品をゆったりと贅沢に、時間をかけながら味わいます。
土瓶蒸しの中には、まつたけ、海老、鱧、銀杏、春菊が入っています。
季節の食材であるまつたけは存在感があり、出汁を飲んだ時、また土瓶蒸しの蓋を開けたとき、まつたけの深い香りが秋の訪れを感じさせてくれます。
炊き合わせは、子持ち鮎の甘露煮、海老芋、ほうれん草です。
鮎の甘露煮の甘さと、海老芋・ほうれん草の素材本来の味が絶妙に混ざり合う一品です。
特に鮎へのこだわりは強く、店のいけすで鮎を育て、注文が入ってからいけすから取り出し調理をすることで、常に新鮮で美味しい鮎を提供しているそうです。
まつたけご飯とお味噌汁の香りから、和の季節を感じることができ、心も体も温まります。
全てのお料理が彩り鮮やかで香り高く、食感を楽しみながら味わうことができます。
そしてお料理への職人のこだわりと、おもてなしの心を感じ取ることができます。
鮎の宿つたや 所在地 :京都府京都市右京区嵯峨鳥居本仙翁町17
400年の歴史とそれを守り続ける人々の心を知ることで、お料理の味にも深みが増すことでしょう。
また、季節によって全く異なる味を楽しむことができるため、どの季節に訪れても新しい発見に出会うことができます。
京の奥嵯峨の老舗料亭で季節を感じ、深い味わいに出会う歴史旅に出かけませんか。