茨城県桜川市真壁で守られる1300年の歴史 日本伝統藍染めを体験
1300年以上前の飛鳥時代にさかのぼる、日本の藍染の歴史。
明治時代に入るとその技法はより安価なインドアイや合成染料に変わり、日本古来のやり方は徐々に失われていきました。
そのような中、ここ茨城県桜川市真壁(まかべ)には、伝統と天然にこだわったやり方を復興させようと始まった真壁藍保存会があります。
その工房で実際に、その目でその手で藍染の伝統に触れてみましょう。
この記事の目次
日本古来の伝統を守る真壁藍保存会 体験を通した文化継承の想い
お世話になったのは、JR岩瀬駅から車で約20分の場所に位置する「真壁藍工房(まかべあいこうぼう)」。
夏でも涼しい風が流れる木陰の道を抜けた先に、工房はあります。
入口を示す看板などは特にないので事前によく調べておくと安心です。
体験は、ハンカチ、バンダナ、ショールの3種類のコースがあります。
藍染め体験は毎日午前10時から15時の間で行われており、要予約となっています。
あらかじめFAX(0296551920)にて、希望体験コース、体験人数、連絡先の3つを記した上で予約を行いましょう。
さて、こちらの真壁藍工房さん、真壁藍保存会という会が所有する工房で、現在60名ほどの会員がいらっしゃいます。
1年間藍染めの講座を受けた後、希望者が入会できるそうです。
工房で勉強会を行ったり、注文が入った際には皆さんで藍染めを行ったりするそうです。
日本の暮らしから生まれた伝統文化である藍染めを守り、伝えていくことを目的とすることから、保存会は小学校での体験授業、講演会、展覧会、工房での藍染め体験を行っています。
私も実際に、藍染め体験をさせていただきました。
所在地 : 茨城県桜川市真壁町下谷貝465
公式HP : http://www.d3.dion.ne.jp/~iiyadoya/makabeaikoubou.htm
公式HP : http://www.e-consul.info/iba/sg/mka/
真壁藍工房で歴史的な藍染めを体験 実際に伝統に触れてみよう
今回は、ハンカチ染めを体験させていただきました。
まず最初にデザインを選びます。
特定の伝統的な柄に忠実に染めるというよりも、好きな柄を考えて行うことがほとんどだそう。
デザインを決めたらいよいよ作業に取り掛かります。
まず、決めたデザインに沿ってハンカチを折ります。
模様をつける位置をペンで印をつけ、針と糸を使い波縫いで縫い合わせていきます。
端まで縫い終えた後、布をきゅっと縮めた位置で玉止めをします。
次に、縫った位置から先端に向かって糸をきつく巻き付けていきます。
巻き付けの強さや糸の間隔で柄が変化するそうです。
またビー玉を使ったデザインにも挑戦しました。
折り曲げた布の内側からビー玉をいれ、輪ゴムで止め、裾のしわを均等になるように伸ばします。
いよいよ染める作業に移ります。
その前に、水に布をよく浸すことで藍を染み込ませやすくします。
5分後、水気を取った布を染料が入ったかめの中に漬け込みます。手で布を優しくもんだり、しわを伸ばしたりしながら約3分間藍を染み込ませます。
3分後、一度かめから布を上げ、水でゆすぎ、水気をふき取った後、もう一度同じ作業を繰り返します。
再度、布を水でゆすぎ終わったら、輪ゴムや糸をほどきます。
外で5分程干すとすぐに乾き、ついに完成!
さて、どんな柄になったでしょうか?
完成したものはこちら。
一緒に藍染めを行っていた保存会の皆さんの作品はこちら。
皆さん和気あいあいとした雰囲気で行っていて、伝統を趣味として楽しんでいました。
体験の中で失敗してしまったかと思った瞬間も何度かありましたが、それがまた味になるそうです。
藍染めのザインに失敗はないとおっしゃっていました。
所在地 : 茨城県桜川市真壁町下谷貝465
木綿販売の中継地真壁が守る伝統「天然藍灰汁発酵建て」へのこだわり
ところで、この真壁の藍染めにはどのような伝統と歴史が隠されているのでしょうか。
飛鳥時代、朝鮮半島から日本に伝わった藍染めは、1549年に「すくも」を使った「天然藍灰汁発酵建て(てんねんあいあくはっこうだて)」という手法に変わります。
すくもはタデ科の藍を原料とし、藍師によって長い手間をかけて作られるもの。
そのすくもに、クヌギなどの堅い木の木灰からとれた灰汁、ふすま、日本酒を使って染料を作るのがこの手法です。
こちらが工房で、木灰をお湯につけて灰汁を取っている様子です。
しかし、安価なインドアイや化学染料が流通し始め、現在は約95%が化学藍を使用したものです。
製作に手間のかかるすくもは激減し、今では北海道と徳島県でのみで作られる貴重なものとなっており、工房では、1年に5俵のみ使用できるそうです。
江戸時代前期を中心に、北関東や東北地方への木綿販売の拠点・中継地として発展した真壁は、定期市が盛んに行われ、木綿問屋、繰綿商を中心に大きな経済利益を生んでいた町。
明時代には製糸業も発展し、呉服屋が増えたことがこの地での藍染め文化の始まりに繋がったと考えられます。
2004年に創設された真壁藍保存会では、衰退してしまった1300年の歴史を持つ日本古来の伝統的藍染め「天然藍灰汁発酵建て」を保存していこうという想いのもと、活動を始めたそうです。
保存会の方々が藍染めを楽しむ姿からは、藍染めは昔のものではなく、現在の生活に密着しているものなのだと感じました。
文化を守っていくのは、こういった純粋に楽しむ姿勢なのかもしれないと考えさせられました。
貴重な歴史を持った天然藍をぜひ実際に体験してみてください。
所在地 : 茨城県桜川市真壁町下谷貝465
1300年の歴史ある伝統文化、真壁の藍染めを体験する旅はいかがでしたか。
藍染めは日本人の生活とともに残ってきた文化です。遠いようで現代への活用方法も失われてはいません。
ぜひ、実際に触れて体験して、その歴史と可能性を感じてみてください。