HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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富士霊水と水の畔の物語 富士講の聖地・忍野八海を巡礼する歴史旅

  • 江戸時代より富士講の聖地として広く知られた、山梨県・忍野八海(おしのはっかい)。

    今回ご紹介するのは、一番から四番霊場の、出口池、お釜池、底抜池、そして銚子池。

    あなたも富士道者となって、八海巡礼を追体験しませんか。インスピレーションを与えてくれるかもしれない、そんな歴史旅に出かけてみましょう。

     

    元八湖再興一番霊場 出口池~水垢離の謂れある 八海最大の霊水池~

    御殿場駅から河口湖駅行のバスを利用して約50分。出口池は、忍野八海の中で一つだけ離れた場所にあります。

    忍野八海バス停から二つ先の、出口池入口で下車します。

     

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    野菜農家の無人直売所を脇目に、案内標識に従って歩いて行きます。

     

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    「清浄な霊水」と呼ばれる出口池が見えてきます。

     

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    古来より、富士登拝を行う道者たちは、この水で身を清め(水垢離)、この水を携えることで無事に登山ができると信じていました。

    「精進池」とも呼ばれるのはこの所以です。

    この池には八大竜王の難陀竜王が祀られています。

     

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    明鏡止水とはこのことでしょうか。

    逆さに移る木々を眺めていると、もはやそこにある水の存在すらも分からなくなってしまいそうです。

     

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    近寄ってみれば、池底の様子が伺えるほど水は清く澄んでいます。

     

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    池を見下ろせる林の中には、出口稲荷大明神が鎮座します。

     

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    もとは、この池の畔に住んでいた三匹の古キツネで、村のあちこちに現れては悪さをしていたのだとか。

    こういった池にまつわる民話が、他の池にもあります。

    これから回る池がとても楽しみになってきました。

    所在地:山梨県南都留郡忍野村忍草348-2

     

    元八湖再興二番霊場 お釜池~深淵にのぞかれてしまった妹娘の物語~

    出口池からはファナック通りを徒歩約22分。

    忍野八海バス停から新名庄川沿いを歩けば約2分で二番霊場、お釜池に着きます。

     

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    水車の看板が入口の目印です。

     

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    十段くらいの緩やかな階段を下ると、円い形をしたお釜池が出迎えてくれます。

     

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    八海の中では最小といえども水量豊富で、池の最深部は4mにも達します。

    入口から右手前の青黒いところがそれです。

     

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    「あなたが深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」

     

    水面に映る景色をかきわけて、深いところを撮影しようとすると、そんな声が聞こえてきそうです。

     

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    その昔、美しい妹娘がこの池で洗濯をしていていました。すると突然、大きなガマガエルが一匹現れて、強引に水中に引きずり込んでしまいます。

    姉娘は泣き叫んで助けを求め、父親も救出を試みましたが、ついに遺体は浮いてきませんでした。

    洗濯していた妹娘は深淵をのぞいていたのか。

    ガマガエルこそ深淵そのものだったのか。

    思わず、そんな空想に耽ってしまいます。気を取り直して、池の浅いところに群生するバイカモの花を撮ろうとしましたが、開花時期は少し前に終わっていたようでした。

     

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    所在地 : 山梨県南都留郡忍野村忍草111-2

     

    元八湖再興三、四番霊場 底抜池、銚子池~池に伝わる奇譚と哀話~

    お釜池から新名庄川を上り、阿原川との合流地点にある二つの橋を渡ります。

     

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    橋から銚子池までは、阿原川沿いの道を徒歩約2分程度です。

    三番霊場の底抜池は榛の木林資料館の敷地内にあり、入場料300円(2017年10月時点)が必要です。

     

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    資料館の敷地の奥、トチの大木や樹林が生い茂る場所にあるのが、底抜池です。

     

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    碧緑色の水中をニジマスが悠然と泳ぎ、沈水植物が生長しています。

     

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    この池で洗い物の食器を落とすと、いくら探しても見つからず、しばらくしてから池の底の穴を通ってお釜池に浮かび上がってくると言われています。

    そんな言い伝えのある底抜池の敷地からも、柵越しに銚子池をのぞくことができます。

     

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    池底から水が砂を巻き上げて湧く様子が観察できる、唯一の池です。

     

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    祝言の席で、近所衆にお酌をして回っていたある家の花嫁が、誤って屁をしていまい、いたたまれなくなった彼女がこの池に身を投げたと言われています。

     

    その悲しい伝説が基となり、今日まで縁結びの池として語り継がれています。

     

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    池の謂れが、この澄んだ泉に儚い美しさを添えているようでした。

    所在地 : 山梨県南都留郡忍野村忍草272-2、山梨県南都留郡忍野村忍草266‐

     

    大友寄右衛門がデザインしたと言われる忍野八海巡礼コース。前半部を旅しました。

    どれも同じ富士の湧水といえど、湧き出る場所の地形によって異なった趣を与えてくれます。池に纏わる民話を知れば、八海巡りもさらに趣のある旅になることでしょう。