HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

HISTRIP MAGAZINE icon HISTRIP MAGAZINE

新選組や白虎隊など名だたる歴史的人物が訪れた、東山温泉を紹介!

  •  

     

     

     

    福島県の会津若松の市街地から少し離れると、自然豊かな土地が広がります。
    市街地からも気軽に行ける東山温泉は、古くから人々に愛されてきました。東山温泉に残る老舗旅館「向瀧」や竹久夢二と与謝野晶子の歌碑を頼りに、会津若松の新たな一面を探ります。

     

     

    新選組土方歳三が戦傷の湯治場として利用した東山温泉

     

     

    鶴ヶ城から「あかべぇ」もしくは「ハイカラさん」に乗って約15分。次は東山温泉駅で降車します。

     

     

     

     

    05_aizuwakamatus

     

    一つ手前のバス停を過ぎると、道幅は狭まり緑も増え、景色はもう別世界。川を流れる水の音も聞こえてくるので、とても涼しげな気分になることができます。
    市街地に近いとは思えない極上の非日常のはじまりです。

     

    <06_aizuwakamatsu:東山温泉を流れる川>

     

     

    この東山温泉はにおいも、色もない、さらさらとしたお湯が特徴です。開湯は、行基(ぎょうき)によってなされたと伝えられており、三本足のカラスに導かれたという伝承も残っています。
    昔から会津藩の人々に愛されており、なんと新選組の土方歳三も訪れた記録が残っています。1868年の4月23日土方歳三は戊辰戦争の中でも会津戦争の前にあった宇都宮の戦いで足を撃たれ、4月29日に会津城下に入り、七日町の清水屋旅館に宿泊後、傷に良く効くとされる東山温泉で約3か月間もの間、療養したと言われています。いまでも「土方歳三 戦傷湯治の岩風呂」が残されています。
    ちなみに現在、天寧寺にある「近藤勇の墓」はこの療養期間に土方歳三によって建立されました。

    はるか昔から多くの人に愛された東山温泉は、いまでも地元はもちろん多くの観光客が訪れます。

     

     

    自然と芸妓に魅了された竹久夢二の追体験を東山温泉で

     

     

     

    <07_aizuwakamatsu:竹久夢二の歌碑>

     

     

    そして竹久夢二という絵師も、東山温泉を愛した偉人の一人。この歌碑がその証で、これは「宵待草(よいまちぐさ)」の詩を刻んでいます。
    「まてどくらせど 来ぬひとを 宵待ち草のやるせなさ こよいは月も 出ぬそうな」
    この歌には宵待ち草は夕方から朝方にかけて黄色い花を美しく咲かせ、その後すぐに萎んでしまいます。その一夜だけ咲く儚い花の様子から、自身の恋愛と宵待ち草の儚さを重ね合わせた歌とされています。

    竹久夢二とは、美人画で有名な大正ロマンを代表する画家であり、現在でも有名な画家です。数多くの美人画を残し「夢二式美人」とも呼ばれていました。
    夢二は3度、東山温泉を訪れ会津の風景や、「とんぼ」という芸妓をモデルにした絵を描きました。

    彼の歌碑は大きく、案内板もあるので、見逃す心配もありません。どうぞ竹久夢二が見たかもしれない景色を、余すことなく堪能ください。

     

     

    所在地 : 福島県会津若松市東山町湯本川向222

     

     

     

     

     

    今に残る自然を感じる 与謝野晶子の歌碑をさがしてゆったり散策

     

     

    竹久夢二の碑と川向の位置にあるのが与謝野晶子の歌碑です。

     

     


    <08_aizuwakamatsu:与謝野晶子の歌碑>

     

    木漏れ日が映る歌碑はなんとも涼しげで、思わず足を止めてしまいます。

    与謝野晶子は、明治時代から大正時代、昭和時代という長い時代を情熱的に生きた浪漫主義の歌人。
    彼女が初めて出した歌集の『みだれ髪』、日露戦争時に歌った『君死にたまふことなかれ』は特に有名で、みなさんも聞いたことがあるのではないでしょうか。
    晶子は二度、この東山温泉を訪れています。晶子には、この川音や緑をどう感じられたのでしょうか。

     

     

    <09_aizuwakamatsu:橋から見る川>

     

     

    <10_aizuwakamatsu:与謝野晶子の歌碑のアップ>

     
    歌碑は、晶子が滞在した旅館によって建てられ、文字も所蔵されていた直筆の歌からとられました。
    彼女が愛され、大切にされていることが分かります。歌碑もとてもきれいなのです。

    歌人の5感を刺激したこの温泉街。
    東山温泉の町並みはレトロで、温泉街の入り口には、「きつね湯」を引継いで145年が経つ老舗旅館「向瀧」や無料の足湯もあります。
    緩やかな時の流れに身を任せ、ゆっくりと散策することをお勧めします。

     

     

    <12_aizuwakamatsu:足湯>

     

     

    所在地 : 福島県会津若松市東山町湯本

     

     

    会津藩指定の保養所として上級武士を癒していた東山温泉「向瀧」へ

     

     

    11_aizuwakamatsu-1

     

     
    東山温泉を散策しているとひと際目立ち威厳と貫禄を放つ老舗旅館の「向瀧」。向瀧は、1873年に創業され、岩壁の上にそびえ立つ国の登録有形文化財です。
    会津藩指定の保養所として上級武士を癒していた歴史を持ち、その当時は「きつね湯」と呼ばれていました。
    1873年に平田家で「きつね湯」を引継ぎ、2018年で145年が経ちます。明治時代から昭和初期にかけての数寄屋造りの木造建築は、現代では再現できない材料や職人の匠な技がそのまま残っており、1996年に旅館として国の文化庁・登録有形文化財第一号として登録されています。
    24室のお部屋があるようなのですが、すべて違う造りになっているそうです。
    温泉はなんと会津東山温泉の源泉かけ流し100%です。

     

     

    元首相の小泉総理も訪れた向瀧。はるか昔から多くの人々を癒してきたのでしょう。ぜひ会津若松による際には、訪れてみてはいかがでしょうか。

     

    公式HP : 向瀧

     

     

     

     

     

    いかがでしたか。自然と景観を今も大切にしている東山温泉。
    日本人観光客のみならず、最近ではどちらも外国人観光客の姿がちらほらと見受けられるそうです。

    文化人に愛された会津若松は、これからの時代も大注目のスポット間違いなしです。

     

     

     

     

    このマガジンにぴったりの歴史宿

    このマガジンにおすすめの目的地