かつらぎ町の自然と重要文化財を多く持つ宝来山神社を巡る歴史旅
和歌山県伊都郡かつらぎ町は豊かな自然の恵みや世界遺産の丹生都比売神社を持つ町です。
今回はそんなかつらぎの古刹「宝来山神社」をご紹介。
2016年に保存修繕を終えて美しい姿を見せる本殿をはじめ、宝来山神社の魅力に迫ります。
1200年以上の歴史を持つ かつらぎ町の古刹 宝来山神社を訪ねる
朱色の立派な鳥居が出迎える宝来山神社。
宝来山神社は約1240年もの歴史を持つ、かつらぎの古刹。
創建はなんと773年、「宇佐野八幡宮神託事件」で有名な和気清麻呂が八幡宮を勧請し、八幡山と呼ばれたのがはじまりです。
本殿は4棟に分かれており、一間社・春日造り・檜皮葺の社殿となっています。
1614年に地元の工匠たちの手によって建立されました。
普段は近くで見ることができませんが、2016年10月に20年に一度の正遷宮奉祝祭が行われ、その際には間近で見ることができたそうです。
一度は近くで細やかな装飾にじっくりと目を向けてみたいですね。
拝殿の横にある奥宮へ行く道から、本殿とかつらぎの町を眺めることにしました。
その正遷宮奉祝祭に向けて補修工事を行っていたこともあり、とても鮮やかな本殿は離れてみても目が奪われる美しさ。
宝来山神社を訪れた際には、奥宮へ行くのを忘れないようにしましょう。
かつらぎ 宝来山神社の元神宮寺 神願寺と四国八十八か所御砂踏霊場
宝来山神社の東隣には、「神願寺」というお寺があります。
立派な鐘楼があり、近くに弘法大師像もあります。
このお寺は神仏習合の頃は宝来山神社の神宮寺とされていました。
神宮寺とは神仏融合の思想から、神社に附随して建てられた寺院のことです。
境内の前には、「四国八十八か所御砂踏霊場」と書かれた石板がおかれています。
四国八十八か所霊場を開創したのが弘法大師であり、その御跡である八十八か所を巡礼するのが「遍路」です。
弘法大師への信仰が高まるとともに、遍路を行う人も増えていったそうです。
そして、四国八十八か所御砂踏とは各礼所の「お砂」を集めて「お砂」を礼所と考えて踏みながらお参りすることです。
そうすることで四国遍路ができない方も四国遍路と同じ御利益を受けることができます。
「行くことのできない人でも遍路を」と、人々の思いに応えた祈りの形が生まれたのはすてきなお話ですね。
宝来山神社の魅力に迫る旅、お楽しみいただけましたでしょうか。
修繕を終えた本殿はもちろん、境内全体に朱色が施されて明るい雰囲気に包まれます。
一方で静寂な空気漂う神願寺、その二つの寺社が融合していた時代に思いを巡らせてみませんか。