自然に囲まれて文学に触れる広島・尾道の歴史旅を堪能しませんか
広島の尾道はお寺や尾道海道が有名ですが、尾道の魅力はそれだけではありません!
尾道の良さを神社やお寺、文学や歴史など様々な角度から紹介します。
1日では足りない!飽きない!巡るスポットがたくさん詰まっている尾道に足を運んでみましょう。
この記事の目次
重要文化財に認定された天寧寺 階段を上がると静かな異空間が広がる
JP尾道駅からJR山陽本線沿いへ徒歩約15分、ロープウェイ駅から徒歩3分のところにあるのは、曹洞宗の天寧寺(てんねんじ)です。
JR山陽の線路をくぐるトンネルから階段をあがると、そこはまるで世界が変わったかのような異空間が広がります。
普明国師が開山したと言われ、境内の北側には1367年に足利義詮が建てた海雲塔(かいうんとう)があります。
海雲塔は国指定重要文化財に指定され、千光寺山や旧中村憲吉居からも見ることができます。
三重塔ですが、建築当時は五重塔だったと伝えられています。
境内を進むと草花を多く植えられており、春にはしだれ桜やボタンが咲き誇るようです。
花壇や桜の木の奥に進むと五百羅漢(ごひゃくらかん)をみることができます。
江戸時代の文化年間から明治初期の約60年間に寄進されたもので、現在では約526体あるそうです。
一体一体違う表情や鮮やかな色をしています。
約526体を目の前にすると背筋が伸び動けなくなるぐらいのパワーを感じることができます。
またこの下は座禅堂になっています。無料で体験ができるのでぜひ座禅体験をしてみてください。
猫に導かれてたどり着く尾道の裏路地 猫のたまり場「ねこの小道」
天寧寺から東へ徒歩約5分、ロープウェイのりばと旧長江保育所の間の道から北へ上がる坂道を「猫の細道」といいます。
この道は猫の通り道が重なっているため、猫との遭遇率も高く、猫好きな方々も集まる名所です。
はじまりは1998年に園山春二さんが福石猫を猫の細道に置き始めたことがきっかけだと言われています。
福石猫とは、大きさは様々ありますが丸い石に招き猫のような猫の絵柄が書かれたものです。
現在では1000匹以上の福石猫がいるようで、猫の細道のあらゆるところで出会える福石猫は同じものはなく、どれも表情は違います。
猫の細道で立ち寄っていただきたい「招き猫美術館」「Le Chat」を紹介します。
CafeSAKABerを左に曲がり、見えてくるのが猫の暖簾が目印の「招き猫美術館」です。
入館料300円で木曜日が休日の招き猫美術館には、約3000体の招き猫を見ることができます。
福石猫はもちろん、招き猫が敷き詰められています。
1つ1つ招き猫の表情、しぐさが違い、見ていくとあっという間に時間が過ぎてしまいます。
入ってすぐのお部屋の右下のケースに入っている招き猫は、なんと天皇家からいただいた招き猫です。
歴史が古いもの、有名なもの、たくさんあるので、ぜひじっくりご覧ください。
招き猫美術館を出て、左前にあるお店が「Le Chat」。このお店は、古民家を改造した猫グッズのお店です。
福猫石や尾道オリジナルグッズもあります。入口にある枝で作られた木は艮神社(うしとらじんじゃ)の楠の落ちた枝で作られたものです。
小さなアクセサリーからお洋服まで全てが猫をモチーフとしており、見るだけで癒されます。
看板猫もいるので、運が良ければ会えるかもしれません。この猫の細道では空き地再生活動を行っており、小さな梟の森公園やオープンテラスメロディを造成中です。
今後の猫の細道に注目ですね!
招き猫美術館 所在地:広島県尾道市東土堂町19-27
Le Chat 所在地:広島県尾道市東土堂町15-21
おのみち文学館は文学を展示してるだけじゃない!歴史的建築美を
猫の細道につづいて、天寧寺の海雲塔の西側にあるのは「おのみち文学の館」です。
尾道にゆかりある文学者の記念館として、林芙美子・高垣眸・横山美智子・行友李風・中村憲吉・山下陸奥の作品や原稿用紙、また当時使われていた家具や服が展示されています。
作品をみるのも良いのですが、この文学記念館は国登録有形文化財の福井家住宅で歴史ある建築物です。
福井家住宅歴史は複雑で、1912年と1927年の建築物が合わさっています。
まず、展示コースと共に左から進むと欄間があります。欄間の模様にも注目してみてください。
さらに奥へ進むと、福井家住宅の押し入れに入っていた棚を見ることができます。
引き出しの取っ手を見てみると急須の模様がありました。
これには理由があり、福井家の奥さんがお茶をしていたからだそうです。
展示作品を見ながら小さな発見ができるのも楽しいですね。
トイレも当時と変わらない様子で残っています。
洗面台は平成の時代にも合うようなおしゃれなタイルでできています。
展示室と展示室を区切る障子にも歴史を感じる職人技をみることができます。
障子の組子を見てみると交互に組み合させているのがわかります。
障子の下の腰板も木を編んで作られています。さらに奥へ進み、突き当りの部屋の床の間にある床柱はインドネシア産の鉄刀木(タガヤサン)を使用しています。
昭和という時代にインドネシアから大きな木材を取り寄せた福井家の歴史にますます興味が湧きます。
障子ひとつにしても丁寧な職人技があり、貴重な材木を使われて建てられた国登録有形文化財の福井家住宅、おのみち文学館の方に歴史的建築についての説明もしてもらえました。
おのみち文学の館 所在地:広島県尾道市東土堂町13−28
志賀直哉の暗夜行路はここで生まれた 尾道の海を見渡す「志賀直哉居」
おのみち文学の館から1本西の道に出て坂道を下ると約3分で「志賀直哉旧居」(しがなおやきゅうきょ)の看板と文学公園が見えてきます。
文学公園の階段を上がると、暗夜行路の記念碑と旧居があり、入場はおのみち文学館と共通入場券で大人300円、中学生以下は無料(2017年3月時点)です。
実際に志賀直哉が尾道に移り住みこの家で生活を送ったのは1912年11月と言われています。
建物自体は大正元年建設され補強工事を行い、現在も見学ができます。
志賀直哉は親との喧嘩により家を出て旅館に泊まったと言われ、旅館の女将に尾道のこの建物を紹介してもらい、一番奥の東側の部屋を借りたそうです。
現在は真ん中の部屋が資料展示室になっており、奥の部屋は当時の部屋の様子をみることができます。
この部屋で志賀直哉は名作「暗夜行路」と「清兵衛と瓢箪網走まで」を執筆したと言われています。
執筆作業の際に大きな窓から眺めていた尾道水道、向島などの景色をどのように作品に取り組んでいたのでしょうか。
同じ景色を見てから作品読むとまた違う発想や表現を感じるかもしれません。
実際に志賀直哉旧居で「暗夜行路」と「清兵衛と瓢箪網走まで」文庫本を購入することも可能です。
志賀直哉旧居 所在地:広島県尾道市東土堂町8-28
天然記念物の樹木からエネルギーを感じて市内最古の神社~良神社~
志賀直哉旧居から坂道を下り、おのみちバス停「渡場」より東方面に乗車約5分「長江口」で下車、左手に見えてくるのは市内最古の神社、艮神社(うしとらじんじゃ)です。
ちょうど、ロープウェイ乗り場の左横に入口があります。タイミングがよければ、下からロープウェイをみることもできますよ!
艮神社は映画「時をかける少女」や「ふたり」のロケ地が行われ、アニメ「かみちゅ!」の舞台になった神社でもあります。
階段を上ると狛犬がありますが、よくみると顔がなく、足が固定されているのがわかります。
これは災害や事件が起こったわけではなく、触るだけで削れてしまう石でできた像だったので自然と顔がなくなってしまったようです。
少しでも風化がおきないよう、足を固定しているようです。そんな狛犬の右奥にはひときわ大きな樹木があります。
この樹木は推定900年といわれています。
幹の周囲は7メートルで、尾道市の天然記念物に認定されています。
まるで私たちを包んでくれるような太い幹に行き渡る枝からパワーをもらえるような気がします。
いくつもの角度から広島・尾道を旅しましたがいかがでしたか。
歴史スポットがたくさん詰まっている尾道だからこそ、少し足を延ばしてお楽しみいただけます。
飽きることなく1日を満喫できる旅に出かけてみてはいかがでしょうか。