自然と人が創り上げた絶景 兵庫県豊岡市 玄武洞公園の五洞を巡る旅
豊岡鞄、コウノトリで有名な兵庫県豊岡市。
その中心を流れる円山川は豊かな生態系を育んでいます。
円山川を超えると、そこには火山活動によってできた柱状節理と人が採掘した跡が合わさり、神秘的な世界が広がっています。
この記事の目次
円山川を渡り玄武洞公園へ 渡し舟に乗り豊岡の雄大な自然を感じる
玄武洞公園は約160万年前の火山活動によって流れたマグマが固まってできた洞窟を5つ持ち、山陰海岸国立公園の一部ともなっています。
その玄武洞公園へのおすすめの行き方が「渡し舟」です。
片道300円で円山川を渡りながら、豊岡の豊かな自然を楽しむことが出来ます。
玄武洞公園駅を降りたら横断歩道を渡って円山川の方へまっすぐ歩くと、船着き場が見えてきます。
進行方向右手には玄武洞の壮大な造りが、左手には城崎方面の景色が見えます。
いま渡っている円山川は、ラムサール条約に登録されている希少な動植物を育む広大な河川です。
運が良ければ、コウノトリやハヤブサが現れることもあるそうです。
約3分で玄武洞ミュージアム前に着きました。
渡し舟は玄武洞駅への列車の到着時刻に合わせてきてくれるので、列車の時刻に合わせてあらかじめ「玄武洞ミュージアム」へ電話して予約をしましょう。
平日のみの営業となっておりますので、ご注意ください。
玄武洞と青龍洞 豊岡の自然と人が創り上げた風光明媚の二大柱状節理
玄武洞ミュージアムから右に進むと、中央入口があります。
入口から階段を登っていくと、休憩所が見えてきます。
こちらの休憩所では、玄武洞公園のガイドを申し込むこともできます。
2洞コースと5洞コースがあり、個人の申し込みですと、2洞コースが300円、5洞コースが500円となっています。
市公認のガイドさんが案内してくださるので、案内板だけではわからないことまで教えてくださいます。
また、道に不安な方にもおすすめです。
では、さっそく玄武洞公園を散策していきましょう!
休憩所からさらに少し登ると、まず最初に出迎えてくれたのが玄武洞です。
1807年、この地を訪れた江戸時代後期の儒学者である紫野栗山はこの洞窟の岩石が作り出す節理の形状や断面の模様から中国の妖獣「玄武」を連想したため、「玄武洞」と命名したそうです。
なお、玄武洞以外の青龍洞・白虎洞(びゃっこどう)・朱雀洞(すざくどう)の名称は大正時代以降観光用につけられたのだとか。
かつては採石場だった玄武洞では規則正しい割れ目のある玄武岩を見ることが出来ます。
玄武洞から右に進むと、青龍洞(せいりゅうどう)があります。
玄武洞公園の洞窟の中でも柱状節理の美しいのが青龍洞と言われています。
岩石に見られる規則正しい割れ目を節理と言い、それが柱のように伸びたものを柱状節理と言います。
このような柱状節理は熱い溶岩が固まり、冷えていく過程の中で岩石が収縮してできたもので溶岩の表面から中心部に向かって伸びていきます。
青龍洞の前に立つとこのきれいにのびた柱状節理の岩石に飲み込まれそうなほど雄大でした。
また、水面に移る青龍洞はまるで龍が滝を上っているようでとても感動しました。
豊岡が誇る壮大な芸術作品 個性溢れる白虎洞・北朱雀洞・南朱雀洞
玄武洞から来た道を戻り、さらに行くと白虎洞が見えてきます。
それぞれがちがう個性を見せてくれる玄武洞公園内の5つの洞窟ですが、白虎洞では水平方向に延びた柱状節理の断面をすごく間近に見ることが出来ます。
青龍洞の垂直方向に伸びた節理と比べると細いことが分かりますが、一般に柱状節理はゆっくり冷えたところほど太く出来上がるので、この白虎洞付近では溶岩が速く冷えたこと、つまり溶岩の周縁部に近いということが分かります。
なによりもいちばん間近で見ることができる洞窟だったため迫力満点でした。
一番奥には羽を広げたように存在する北・南朱雀洞があります。
中でも南朱雀洞の岩石には節理が見られず、表面がごろごろしています。
これは溶岩流の先端にあたる部分だそうです。
北・南朱雀洞は隣り合っているのでその様は本当に翼を広げた鳥のように感じました。
帰りは北・南朱雀洞の正面にある階段を下っていくと、玄武洞ミュージアム前に戻ってきます。
玄武洞ミュージアム内で販売している名菓「玄さんまんじゅう」をお土産にいかがでしょうか。
自然豊かな豊岡を満喫できましたでしょうか。
約160万年前の火山活動によって地表に現れた玄武岩の層、そして人々によって玄武岩の採掘が進んでできた洞窟が作った造形。
その壮大な芸術をぜひ一度ご覧ください。