風情ある町並みに溶け込む文学の世界 兵庫県豊岡市 城崎文芸館へ
古くから湯治の地として有名な温泉の町、兵庫県豊岡市城崎。
約1400年もの歴史の中で、数々の貴人・文豪たちにも愛されてきました。
今回は、城崎ゆかりの作家志賀直哉を中心に文学と城崎の町の歴史をたどります。
この記事の目次
文豪 志賀直哉が愛した城崎 「城崎にて」を片手に風情を感じる
風情ある城崎の町並みには、温泉を楽しむ浴衣姿の人々がちらほらと見えます。
ここ城崎は古来より「湯治の湯」として栄え、数々の文人や墨客が訪れました。
中でもよく知られているのは、「城の崎にて」を著した文豪 志賀直哉です。
志賀直哉は1910年に仲間とともに雑誌「白樺」を創刊し、白樺派の先駆者となりました。
その後短編集や長編を手掛けるも、不慮の事故によって入院することとなります。
この事故の養生に訪れたのが、城崎でした。
養生を終えた後も城崎に何度も足を運んだと言われています。
当時の思いや経験が作品となった「城崎にて」。
舞台となった町並みを歩くと、志賀直哉が歩き、感じた景色が今も残っています。
「城崎にて」を片手に、当時に思いを馳せるのもいいですね。
城崎文芸館 志賀直哉をはじめとする城崎ゆかりの作家と出会う旅
続いて、志賀直哉をはじめとする城崎ゆかりの文豪たちに会いに行きましょう。
こちらの城崎文芸館では、志賀直哉や白樺派、与謝野晶子、島崎藤村、徳富蘇峰など有名作家に関する資料が多く常設展示されています。
なぜこれほどまでに多くの偉人たちが城崎に憧れを抱いたのか、インターネットなどでは知ることができない、人間の「感性」の奥の深さに迫る空間が広がっています。
また、企画展では年に2回ほど「城崎と本の現在進行形」をテーマに、現在活躍されている作家の方々と城崎の関係を紐解いています。
投稿コーナーでは城崎についての短歌や俳句が展示してありました。
文学の中に、城崎の魅力と人々の思いが込められているのを感じます。
私も自分なりの言葉で、城崎での思い出を記したくなりました。
夜の城崎 外灯に照らされた町全体が醸し出すノスタルジックな空間
文豪たちの足跡をたどっていると、もう夕暮れ時です。
旅館にチェックインした人たちが、温泉を巡るために浴衣を着て町を散策しています。
下駄で歩く「カツッ、カツッ」という音が夜の町に響きます。
日中の町の様子とは異なる雰囲気を町全体が醸し出し始めました。
町の外灯に光が灯り、レトロな趣き漂います。
太陽に照らされていた建物も、暗闇の中外灯に照らされるとまた一味違います。
外湯巡りをして身体を癒しながら、夜の城崎全体を堪能し、心身ともに充実した時間を過ごせます。
幻想的な町に身を置くと、城崎を訪れた文豪たちの世界に入った気分になりますよ。
文豪と城崎を感じる旅はいかがでしたか。
駅からほど近いところにある城崎文芸館では町歩きの途中にも立ち寄ることもでき、過去から現在まで続く作家と城崎の結びつきを伝えます。
文学と町のつながりを感じながら、今も残る風情ある町並みを歩くと作品の情景が浮かんできますよ。