歴史的文人たちが残した常磐館文化を後世に継承する海辺の文学記念館
JR電車で4時間。愛知県蒲郡市「蒲郡駅」。
たくさんの文学者や地域の方に愛され復活を伴った海辺の文学記念館。
後世に継承すべきであると大切にされてきた記念館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
この記事の目次
風光明媚な蒲郡をこよなく愛し蒲郡に尽くしたた滝 信四郎氏の歴史
蒲郡駅から竹島橋方面へ向かって歩くこと約15分。
海辺の文学記念館に到着です。
入口には「常盤苑(ときわえん)」と書かれています。
ここ、海辺の文学記念館の場所はかつて料亭旅館「常盤館」がありました。
ここからの竹島の眺めは格別なもので、多くの文人の作品に登場するなど本当に愛されていました。
しかし建物の老朽化と、世相の移り変わりに対応できなくなり、惜しまれながらも廃業となりました。
市民や文人たちに愛された常盤館は、1997年「海辺の文学記念館」として再建されました。
そんな誰もが愛した常盤館の創始者が滝信四郎氏です。
海辺の文学記念館に入ってすぐ、滝氏の像が私たちをよくぞ来てくれたと言わんばかりに出迎えてくれます。
瀧氏は蒲郡を心から愛し、他にも竹島橋の寄付、共楽館の開業、蒲郡ホテルの開業、竹島館を寄付、子安弘法大師を寄付、府相青年会への援助など多額の私財を投じて、蒲郡の観光の基礎を築きました。
ここに来れば、竹島と蒲郡を展望できる!というように建てられている蒲郡クラッシックホテル。
蒲郡への愛情を感じます。愛知県蒲郡市竹島町15-1にあります。
「海の眺めは蒲郡」 常盤館を愛した文人たちのことを学ぶ歴史旅
同じく、海辺の文学記念館において文人たちをご紹介します。
1922年、菊池寛の作品「火華」に初めて常盤館が取り上げられました。
続いて志賀直哉、谷崎潤一郎、山本有三、川端康成、井上靖などが常盤館や蒲郡の海や竹島の素朴な美しさに惹かれ、作品に描写しました。
海辺の文学記念館の和室には常盤館の客室で使われていた調度品がたくさん残されています。
文人たちが向かった机や実際に使用されていた照明化粧台や電話などがあり、文人たちの当時の感情を実際に身体で感じることができます。
ここにいれば誰でも詩を詠みたくなります。
1980年に映画「父よ母よ」のロケで蒲郡を訪れた映画監督の木下恵介氏が詠んだ詩が床の間に飾られています。
床の間の畳の上に丁寧に飾られているこの詩を見ると書かれていた様子や気持が想像できます。
みなさんも詩を詠んでみてはいかがでしょうか。
蒲郡竹島を眺めながら五年後 十年後の自分に向けて贈る言葉 時手紙
海辺の文学記念館では、時手紙と言って五年後、十年後への自分もしくは誰かに手紙を書くことができます。
まずはこちらの券売機で時手紙の保存期間に合わせたチケットを購入します。
1ケ月から5年は500円、6年から8年は700円、9年から10年では1,000円となっています。
また、一緒にお抹茶をいただくこともできます。
様々な文人の作品が展示されているのを見たり、和室で当時の文人たちの感情を感じたうえで竹島を見ながら書く時手紙は、なんだかより一層感情があふれ出し、その感情を素直に文字にすることができます。
静かに流れるオルゴールの音や蒲郡を愛しぬいた滝信四郎氏の像が自分と向き合う時間をつくってくれます。
書き終えた手紙は自分の手で投函します。
時手紙を特別な場所で書くことで、自分と向き合うような時間にしてみるもの良いかもしれませんね。
今回は長い歴史とたくさんの文人、市民に愛された常盤館、現在の海辺の文学記念館をご紹介しました。
建物の周辺にも立派な庭園、公園が広がっています。
蒲郡を訪れた際は時手紙を書きながらでも少しゆったりとした時間をここで過ごしてみてはいかがでしょうか。