青木村 国宝「大法寺」三重塔と上田盆地の三重塔を三倍楽しむ歴史旅
長野県小県郡青木村は、「今、一番住みたい村」ランキング(『田舎暮らしの本』‹宝島社発行›)で第一位を獲得する、とてものどかな地域です。
そんな田舎を一望できる青木村に、国宝大宝寺三重塔があります。
別名「見返りの塔」とも呼ばれる、何度も振り返って見たくなる、大宝寺三重塔の魅力をたっぷりお伝えします。
この記事の目次
上田盆地には三重塔がたくさん! 違いを知って三倍楽しむ「三重塔」
小県郡青木村は、上田市市街から少し離れた西の方にあります。
この上田盆地と呼ばれる一帯には、「三重塔」が実は四基もあるのです。
三重塔には上田電鉄別所線別所温泉駅から徒歩約15分で到着します。
中でも有名なのが、別所温泉にある国宝「安楽寺」八角三重塔です。
安楽寺の三重塔の特徴は、何といっても塔の断面が八角であることです。
禅宗様式(唐様)の極めて稀有な建築様式であります。
国宝大宝寺三重塔 所在地:長野県上田市別所温泉2361
続いて訪れたのが、国重要文化財「前山寺」(ぜんざんじ)三重塔です。
上田菅平ICから車で約30分のところにあります。
別名「未完成の塔」と呼ばれるとても魅力的な塔で、回廊や勾欄(こうらん)のない、簡素な作りが特徴です。
それが故に、美しさ際立つ姿をしています。
一目見るとその絶妙なバランスに魅了されてしまいます。
所在地:386-1436 長野県上田市前山300
農地と田園が広がる穏やかな田舎にそびえたつ「国分寺」三重塔は四つの塔の中でも最も古いものいわれており、こちらも国重要文化財に指定されています。
聖武天皇が鎮護国家(ちんごこっか)の一環で国ごと国分寺の建立を命じ、全国各地60以上の寺が建設されましたが、塔が残るのはこちらを含めて五寺のみです。
国重要文化財「前山寺」(ぜんざんじ)三重塔 所在地:長野県上田市大字国分1125
どれもそれぞれの歴史やその地域の雰囲気をまとっていて、比べるとその魅力がより増すことでしょう。
それではこちらの三つと比べながら、「大宝寺」三重塔をご覧ください!
その姿が見えなくなるまで振り返る美しさ 青木村「大宝寺」三重塔
しなの鉄道「上田駅」から乗り換え、千曲バス青木線で揺られることおよそ約25分。
上田城や柳町のにぎやかな通りを抜け、たどり着くのはとっても穏やかな田舎道続く「青木村」です。
「当郷バス停」下車、徒歩約15分の所に「大法寺」(だいほうじ)はあります。
大法寺は文化財も見どころで、こちら観音堂内には観音堂厨子、木造十一面観音立像、木造普賢菩薩立像が安置されています。
立像の拝観には予約が必要ですが、一木造りの見事な姿もぜひご覧ください。
そしていよいよ国宝「三重塔」にご対面です。
「見返りの塔」と呼ばれるほど何度も振り返って見てしまうこちらの塔の美しさの秘密は、塔の作りにあります。
写真からは分かりにくいのですが、初重(しょじゅう)が下の2段に比べて大きく、それによって平凡さを免れ、目を引く姿になっています。
立派なたたずまいに思わず時間を忘れて見とれてしまいます。
こちらの塔の裏側に回り少し上ったところからは、三重塔を見下ろすアングルで眺めることもできます。
ぜひいろいろな角度から楽しみ、お気に入りの姿を探してみてください。
「大法寺」 所在地:長野県小県郡青木村当郷
大法寺「羅漢石造」がにぎやかにお出迎え 可愛らしい石像にご挨拶
大法寺内には可愛らしい石像があちらこちらで私たちを出迎えてくれます。
こちらは、入り口にたたずむ石像で、頬がほんのり桃色でとっても癒されます。
観音堂へと続く道には「呵々大笑」と書かれた石像があります。
そこにには、“思いっきり笑え、笑えばすべてが明るくなる、生きる力が湧いてくる”という内容のとてもすてきな言葉が記されています。
三重塔へと続く坂道には「羅漢石造」(らかんせきぞう)がずらりと立ち並びます。
一体一体様々、表情豊かなお顔立ちをしていて、思わず一緒に顔がほころんでしまいます。
膝をかかえ大きな口を開けて、泣きわめく子供でしょうか。
膝を立てて頬杖をつく姿は、人々が三重塔にたどり着くのが今か今かと待ちわびるかの様子です。
にんまりと愛嬌のある笑顔を浮かべるこちらの石像は「夢」と書かれた大きな壺を抱えています。
ちなみに、青木村の外れ筑北村との境にある修那羅峠(しょならとうげ)には、800体あまりの石像群があります。
お時間ありましたら、是非こちらにも足を運んでみてください。
「大宝寺」には、のどかな青木村らしいとてものんびりとした時間の流れています。
上田盆地の他の三重塔にはきっとまた別の魅力が詰まっていることでしょう。
上田にお越しの際はぜひ、三重塔巡りをして様々な歴史や地域に触れる旅にしてください。