「木造建築の博物館」と称す山口の伝統宿「名勝 山水園」と湯田温泉
山口県の中でも有数の温泉街である山口市の湯田温泉(ゆだおんせん) 。
新山口駅から電車で約20分ほどでたどり着くこの街には、数多くの旅館が軒を連ねています。
今回はその中でも、大正時代に建てられた建物を利用し、国の有形文化財にも登録された「山水園」と湯田温泉の名所を紹介します。
この記事の目次
建物が有形文化財に指定 まるで木造建築の博物館 山口の「山水園」
湯田温泉駅から北東に徒歩で約25分、またはタクシーで約5分で「山水園」(さんすいえん)に到着します。
様々な店舗が並ぶ大通りを抜けて、奥に進むと見えてきます。
「木造建築の博物館」の名勝 山水園は大正時代に別荘として建てられものを、1936年に増築し、旅館としての歴史が始まりました。
「木造建築の博物館」と称されている理由は複数回増築を重ねたため、様々な時代の建築様式が混在していることにあります。
戦後に増築された際には、数寄屋師である笛吹嘉一郎氏により建てられました。
数寄屋造りの特徴は茶室風の建築様式を取り入れているところで、使用する木材をあまり加工しすぎない、その素材の良さをそのまま生かしています。
そのような質の高さが評価され、国の有形文化財に登録されています。
山水園の部屋「桐の間」は山水園の中でも、特に贅を尽くしたお部屋です。
奥の床の間は欅(けやき)の一枚板でできていて、現代では作れないほどの貴重さです。
その床の間はとても美しく、重厚感を感じました。
お部屋自体も高級感もありつつ、和室特有の素朴さもあり、心落ち着く空間でした。
山水園の館内全体にも、美しくも完美で、懐かしい気持ちにさせてくれるような雰囲気が漂っていました。
名勝 山水園 所在地:山口県山口市緑町4番60号
山口の四季折々の美しさを奏でる3つの庭 国の記念物 山水園庭園
続いて山水園に3つある庭園のうちの一つ、「池泉庭園」(ふりがな)です。
池泉庭園の池の水は温泉のため、冬でも鯉が元気に泳ぐことができます。
立っているだけで、餌を求めて寄ってくる姿は可愛かったです。
「桐の間」から見える庭園は圧巻です!
桐の間では2面がガラス張りの大きな窓になっています。
そこから眺める庭園はとても美しく、まさしく贅の極めたお部屋でした。
鮮やかな松の緑が池に映り、その中で泳ぐ鯉の赤や白の対比が印象的でした。
池泉庭園の奥には「いばらき門」という茅葺屋根の門があります。
2階は茶室となっていて、その屋根の迫力に圧巻です。
庭園はどこから見ても優美で、日本らしい風情を感じます。
松1本1本はもちろん、コケにもこだわって手入れをされていて、自然の美しさや移ろいを感じることができます。
庭園のは3つあるので、実際に山水園を訪れて、すべての庭園を体感してみてください。
白狐伝説が残る地 湯田温泉の名物「ういろう」と名所「湯の川」
続いて湯田温泉駅を降りてまっすぐ約5分ほど歩いたところにある「山口外郎(ういろう)本舗 たまや」を訪ねました。
こちらの外郎は、モチモチ感が強いのが特徴で、素朴で優しい甘みが美味しかったです。
1つ54円(2017年2月時点)から販売されていました。
駅の側にある店舗なので、温泉帰りの糖分補給にその場で食べるも、お土産に買って帰るもいいですね。
さらに北へ約15分歩くと「湯の川」(ゆのかわ)に着きます。
湯の川は温泉の湯気を体感することができ、この周辺には温泉独特の香りが漂っていました。
湯田温泉には、白狐に関する伝説が語り継がれています。
湯田のお寺の小さな池に毎晩のように白狐がケガした足をつけに来ていました。
不思議に思ったお寺の和尚さんが、水をすくってみると温かく、深く掘ってみると熱い湯がこんこんと湧き出てきたのです。
それから難病も治る「白狐の湯」として評判となり、温泉街として栄えるようになりました。
湯田温泉を散策していると、たくさんの白狐がいます。
是非探してみてください。
山口外郎本舗 たまや 所在地:山口県山口市今井町3-6
山口市の名勝 山水園はその建物の貴重さ、庭の美しさ、そして人の温かさがありました。
湯田温泉を訪れた際には、山水園が持つ素朴で優しい雰囲気を感じてみてください。
そして、湯田温泉にも立ち寄り、旅のお土産や名所を巡ってみてはいかがでしょうか。