文化財の酒蔵に日本遺産デカンショ 兵庫篠山の伝統文化を感じる旅へ
篠山は兵庫県にある、緑の山々に囲まれた自然豊かな地域です。古くからの歴史や文化が残り、今もなお地元の方々により引き継がれています。
国の有形文化財に登録された酒蔵と日本遺産デカンショを通して、その伝統文化に触れましょう。
この記事の目次
国重文に指定された趣ある佇まい 篠山 鳳鳴酒造ほろ酔い城下蔵
JR大阪駅で特急こうのとりに乗り、電車に揺られること約1時間22分。JR篠山口駅に着きます。
飛行機をご利用の場合は、関西国際空港から特急はるかでJR新大阪駅まで出て特急こうのとりにお乗り換えが便利です。
JR篠山口駅から篠山営業所行のバスに乗り、約19分の呉服町で下車します。
観光客で賑わう商店街を進んでいくと、江戸の雰囲気を感じる風格のある建物が見えます。
「鳳鳴酒造ほろ酔い城下蔵」(ほうめいしゅぞうほろよいじょうかぞう)を訪れました。
こちらの玄関は蔵のお隣にある、「西尾邸」です。
創業した1797年に建築されたものを、伝統や、日本酒の昔ながらの製造方法を知ってもらうため改装し、2001年に見学施設としてオープンされたそうです。
こちらの建物は国の有形文化財にも登録されています。
かつては呉服町の南に位置する河原町が商業の中心地として栄えていましたが、1911年の篠山軽便鉄道の開通によって商業の中心地は呉服町へと移っていきました。
鳳鳴酒造ほろ酔い城下蔵は、それ以前からこの地で酒蔵を営んでいた歴史ある酒蔵です。
外観からその趣ある雰囲気を醸し出していました。
国の有形文化財 篠山 鳳鳴酒造ほろ酔い城下蔵 音楽で育つお酒とは
では、さっそく中に入っていきましょう。
こちらの鳳鳴酒造ほろ酔い城下蔵では、見学コースが用意されています。
順路をたどっていくと、実際に使用していた道具が展示されており、ほんのり木の香りも漂います。
パネルで清酒の製造工程も紹介されており、初めての方でもわかりやすく説明されています。
踏み桶や「ふね」と呼ばれる酒になるものをしぼる機械など、普段目にすることのない珍しいものが並びます。
中でも驚いたのが、音楽振動醸造という醸造法。
音楽振動によって酵母菌が活発に動き、よりよい味になります。
モーツァルトやベートベンの音楽をお酒に聞かせているそうです。
また、様々な種類のお酒を試飲することができ、お話を聞きながらじっくりお気に入りの一杯を見つけられます。
日本酒だけでなく、丹波黒豆からできたリキュール「楼蘭」や丹波和栗のリキュール「マロンデキッス」などもお勧めです。
所在地:兵庫県篠山市呉服町46
公式HP:「鳳鳴酒造ほろ酔い城下蔵」http://www.houmei.com/new-shop.htm
江戸から続く篠山の伝統文化 日本遺産デカンショ そのルーツに迫る
篠山は、まちのひとの「篠山愛」があふれるまち。そのまちを愛するひとたちで紡がれてきたもののひとつが「デカンショ」です。
デカンショは、「祭り・節・踊り」の3つで構成されています。
その3つが組み合わさって、篠山の夏を彩る丹波篠山デカンショ祭が催されます。
祭りの間流れるデカンショ節は、一説によると江戸時代から唄われてきた「みつ節」という節の変形と伝えられています。
みつ節は、篠山の地固有のものであり、現在のデカンショ節と似たものであったそうです。
そしてこのデカンショ節の興味深いところが、時代とともに変わりゆくことです。
いわゆる「伝統・文化」と聞くと、変わらず残すイメージが強くある気がしますが、このデカンショ節は違います。
その時代を反映したその時代の「デカンショ節」が生まれていくのです。
また、節が変わるのと同様に、「踊り」もその姿を変えてきたそうです。
目まぐるしく動いていく現代の中で、古くは江戸からの歴史を持つデカンショ。
ぜひ、デカンショを通してまちの人々の紡いできた歴史、伝統、そして文化を感じてみましょう。
所在地:兵庫県篠山市北新町2−3
公式HP:「丹波篠山デカンショ祭り」http://dekansho.jp/
篠山の伝統文化に触れる旅はいかがでしたか。
趣のある建物の中でお酒の香りと伝統の味に酔うのもまた風情を感じます。
また、夏のデカンショ祭に限らず「丹波篠山デカンショ館」を訪れると、ARを用いてデカンショ祭の様子を体験できますよ。
ぜひ一度歴史ある篠山の地へ足を踏み入れてみてください。