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切手収集者でなくとも楽しめる 有馬温泉切手文化博物館

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    日本最古泉の1つといわれる兵庫県有馬の温泉。その歴史は古く、奈良時代に書かれた「日本書紀」にも登場する温泉です。しかし、そんな有馬温泉で実は明治の歴史に触れることができることをご存知でしょうか。有馬温泉には、「有馬温泉切手文化博物館」という博物館があります。日本と世界の切手の歴史をたどりましょう!

     

    5歳から切手収集を始めた博物館館長 切手コレクター 金井宏之

     

     

    有馬温泉切手文化博物館の創設者、初代館長であり、世界的に有名な切手コレクターの金井宏之はご存知でしょうか。

     

    金井さんが切手収集を開始したのは、5歳の時のことでした。お祖父さんが経営していた紡績機器の会社に届いたギリシアからの手紙に貼ってあった切手がきっかけとなり、切手の魅力にどっぷりとはまっていったそうです。8歳になると、神戸元町3丁目にあった栄屋という切手屋さん通いが始まり、1940年には林勇商会で外国切手3,000種のセット売り商品を買い、1938年版のスコットカタログで整理しながら、1種1枚ずつの収集を行いました。

     

    金井さんはギネスをはじめとして、多くの郵趣家の賞を受賞しました。そうして晩年は、金井さん自らの土地を寄贈して建てた、日本初の本格的な有馬温泉切手文化博物館の館長となり切手の魅力を伝え続けました。
    では金井さんがどっぷりと浸かった切手の魅力をさらに歴史を追って追及していきましょう!

     

    世界と日本の切手の歴史とは?

     

    切手のはじまりをご存知でしょうか。さかのぼること約170数年。1840年のイギリスが切手のはじまりの地となります。この時期に開始された郵便料金の前納・重量制の導入・全国均一料金制などの近代的郵便制度のひとつとし、郵便切手が発行され始めました。
    【世界最初の切手】
    最初の切手はイギリスの当時の国家元首であったヴィクトリア女王の肖像が使われており、6000万枚が発行されました。この切手はペニーブラックと呼ばれており、広くコレクターに愛されています。

     

    【日本の郵便の歴史】
    では、日本の切手はいつ発行されたのでしょうか。
    日本で最初の切手は、イギリスから遅れること約30年後の1871年4月20日に発行された「竜文切手」です。薄手の和紙で作られ、竜がデザインされています。職人が版を手作業で彫っていたことから「手彫切手」とも呼ばれていました。

     

    日本で最初の切手も含めた 約3000点を展示 「有馬温泉切手文化博物館」

     

     

    有馬の切手文化博物館

     

     

    切手の歴史もおさらいできたところで、さっそく有馬温泉切手文化博物館へ訪れてみましょう。

     
    有馬温泉駅から太閤橋方面へ道なりに約10分ほど歩くと、木々や石垣に囲まれた「有馬温泉切手文化博物館」の門が突然現れます。入口にある「日の丸」に赤い横線を足したようなマークは、古い郵便局のマークです。入口前に設置されている赤と青の丸型ポスト。なんと青い方は速達専用の丸型ポストで非常に珍しいものだそうです。

     

    この切手博物館では、現代の郵便制度の基礎がスタートした1871年から現代までに日本国内で発行された切手だけでなく、世界で初めて発行された切手や郵便作業に用いられていた品々の展示もされています。

     

    【第1展示室】

     

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    はじめに訪れたのは、博物館内の第1展示室。
    明治時代に郵便局で使っていた切手箱や、1874年から各地の郵便局に備えられた八角時計が展示されていました。また、「日本近代郵便の父」と称される前島密の肖像画などが展示されています。
    世界最初の切手ペニーブラック(イギリス)の貼ってある封筒です。日付を見ると、1840年5月6日。世界で最初の切手が効力を持った日に実際に郵便に貼られた郵便物です!非常に貴重なものだそうで、金井さんの熱い切手への想いが伝わってくるようでした。
    「竜文切手」も展示されていました。その細かさは手彫りだとは信じられないおのでした。是非実物を鑑賞してみてください。
    【第2展示室】

     

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    パネルを中心に展示されている第2展示室では、切手が展示されていました。展示されている切手は、一般的に使われていたものから、記念品として発行されたものまであります。
    現在まで日本国内の切手は、,000種類以上あると言われています。その中でも、奥の展示室では、約3000点の切手が展示されています。
    日本最初の竜文切手から比較的新しい日本切手までの発行順に並べた、切手をもとにした年表の展示になっていました。展示はカタログ掲載のある切手を通り一遍に並べたものではなく、発行初日の特印を押印したものや、実際に郵便物に貼られた使用例なども合わせて並べられているので、新しい切手の楽しみ方を見ているようでした。
    時代ごとに移り変わる切手を見ていると、切手は時代や世相を反映するということがとても伝わってきます。

     
    さらにテーマで展示されている切手も発見!訪れた際には「東海道五十三次」や「奥の細道」を切手でたどる展示がされていました。自分の知らない切手の世界に出会うことができ、非常に楽しむことができました。

     
    興味深いものは、この写真の奥に展示されている日本全国の消印です。郵便局へ行けば押してもらえる、この消印。様々な地域の消印があるので、消印を眺めながらその地域を想像してみてはいかがでしょうか。

     

     

    公式HP : 有馬切手文化博物館

     

    ご紹介した有馬温泉切手博物館はいかがでしたか。

    展示されている切手はどれも美しく、芸術的でした。

    有馬を訪れた時には、温泉巡りと一緒にもはや芸術とも呼べる切手にも触れてみてくださいね。

     

     

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