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北陸に来たなら見逃せない!歴史深き氷見の厳選絶景スポット3選

  • 北陸新幹線に乗って金沢へ行く前に、一つ手前の富山で下車するのはいかがでしょう。富山県氷見市は世界で三か所にしかない、海の向こうに山々の見える絶景スポットの一つ。晴れた日には富山湾の向こう岸に美しき立山連峰が望めます。

    そんな海山に恵まれた氷見にはまだ知られぬ絶景が盛りだくさん。今回は絶景を切り口に、氷見の歴史に触れていきます。

     

    氷見屈指の絶景スポットは哀愁漂う山城 富山湾に浮かぶ「阿尾城跡」

    富山湾を右手に臨み、駅から15分ほど車を走らせると、突然現れる息をのむ絶景に、私は思わず車を停めてしまいました。
    <01_alt:海に浮かぶかのような絶壁、阿尾城跡の全貌>
    海に突き出る絶壁は氷見屈指の絶景スポット、阿尾城跡です。こちらは単なる絶壁ではありません!15世紀後半より海と街道に囲まれた要所として栄えた、戦国時代の氷見の中心地でもありました。
    <02_alt:登り口奥の急な坂>
    また、注目してほしいのがこの急な坂に崖。敵が攻め込むには、相当困難な壁だったに違いありません。「阿尾の戦い」と呼ばれる戦が残るほどに、この最強の絶壁要塞を求めて多くの武将が挑んできたそうです。
    住宅地に紛れる静かな静かな空間に、戦国中心地の入り口はあります。外観はもちろん、この山城を上った先の景色ももちろん絶景です。
    <03_alt:上る途中の日が差しこむ海と森の絶景>
    上る最中、人とすれ違うことはありませんでした。山城には珍しく、広大な富山湾を臨む眺めはこの世界に自分が一人だけになってしまったかのような、不思議な感覚になります。潮風と、海鳥と、樹林と。それだけが存在する頂上はどこか哀愁漂うものでした。

    この秘めたる城跡を、是非探検してみてください。

     

     

    生きる化石!圧巻の迫力誇る国の天然記念物「上日寺の大イチョウ」

    <04_alt:上日寺入口の真っ赤な紅葉>
    駅から商店街を辿り川沿いへ、亀寿司さん近くの橋を左折し歩くこと約10分で上日寺に到着します。こちらで外せない絶景スポットは上日寺に入ってすぐにある、。別名銀杏精舎(ぎんなんしょうじゃ)とも呼ばれる上日寺の由来は、681年の創建当時安置された観音菩薩の霊木として、この木が植えられたことにありました。秋にはいま現在も、銀杏の実が数多く実るそうです。
    <05_alt:大イチョウの全体図>

    樹木36メートル、幹回り12メートルもの大きさには貫禄が。見上げても目に収まりきらないほどの迫力があり、1300年前から変わらずずっとここに在る、自然の尊さを感じます。近づいてよく見ると、大小無数に垂れる気根の先端は何故か削られていました。これは、乳のでない母親の乳が出るように…という民間信仰によるそうです。
    私が行った時期にはちょうど色とりどりの落葉が風に乗ってハラハラと舞い、音を立て、どこかホッとする情景が印象的でした。国の天然記念物であり、生きる化石とも呼ばれる大イチョウのパワーを貰いにきてくださいね。

     

     

    江戸時代へタイムスリップ 俯して仰いで二度美しき「光久寺の茶庭」

    少し山あいにある光久寺への移動には車がお勧めです。
    <06_alt:光久寺入口の石碑>
    氷見駅から国道76号線を南へ進むこと15分、昔懐かしき木造の民家を抜けると突き当たりには静寂の寺院。最後は加賀藩ゆかりの由緒正しき、3つ目の絶景スポットへ到着です。

     

    住職さんの説明を受けながら、静かな寺内の廊下を歩いていくと大きな広間に出ます。そこには美しき庭園が。窓を開け、外の様子を気のすむまで眺めさせていただきました。
    <07_alt:茶庭を窓から眺めると>
    こちらは兼六園の作庭にも携わった造園師、能登の駒造(こまぞう)の作庭と言われる茶庭。さりげない石組と植栽の妙趣や回廊との調和は見事で、思わずため息をついてしまうほどに美しい。光久寺の茶庭は「俯仰庵」とも呼ばれます。意味は「俯して眺めるに良く、仰いで望むにもよい」。その名の通り下を見れば池に緑が映り、上を見れば立派な木々と回廊の屋根にかかる琥珀の葉が美しく、様々な表情を見せてくれました。
    <08_alt:木の回廊と古き茶庭の融合美>
    100年以上この茶庭に架かる、奥の回廊は渡ることもできます。この回廊からの眺めはまた雰囲気が変わり、まるで庭の上を歩いているようです。回廊のさらに向こう側の深緑も見事で、浄土系のお寺には必ずあるという十三塔も奥の方にひっそりと見つかりました。
    夕方に訪れれば灯篭が灯され茶庭は幻想的な空間へ表情を変えます。住職さんの歴史語りを聞きながら、思う存分こちらの茶庭の眺めをご堪能ください。

     

    いかがでしたでしょうか。氷見の絶景は景色はもちろん、たくさんの先人の想いや偉業が染み付いているものが多いです。美しき情景と共に、その地でしか知れない偉人たちの歴史を知ることで、その地の景色は十人十色へ変わるのではないでしょうか。

    是非、今と昔を繋ぐ、美しき歴史をご堪能ください。