都内唯一!等々力渓谷のある世田谷で自然も歴史も満喫できるお散歩旅
都内唯一の渓谷である東京世田谷区の「等々力渓谷」では、まるで東京とは思えないほど豊かな自然と澄んだ空気に、心も体もリフレッシュできます。それだけではありません!等々力の地名の由来からヤマト政権とのつながりまで、様々な歴史も体感できます。今回はそんな世田谷区「等々力」にある歴史スポットを紹介します。
この記事の目次
世田谷区にある美しい自然のオアシス 等々力渓谷でゆらり歴史散歩
東急大井町線の等々力駅から南に約3分歩くと見えてくるのが「等々力渓谷」です。
階段を下りると川に沿って草木が生い茂っており、冷たい空気が涼やかです。
等々力渓谷の川は約10万年をかけて、徐々に形を変えていきました。
現在の不動の滝あたりからでた湧き水から浸食が始まり、九品仏川にぶつかります。その交わったところから、もともとあった九品仏川の上流の勢いが衰えて、交わったところから浸食が始まったほうに向かう「矢沢川」ができました。
矢沢川の上流約1キロの範囲が等々力渓谷です。長く続く川沿いを歩いていると、ここが都内であると忘れてしまいます。
川の音や葉擦れの音が心を浄化してくれそうです。
等々力渓谷が自然に形成されてきたとする説のほかに、人工的に開拓されたのではないかという説もあるそうです。
浸食したほうに川が流れていくことは地形、地質学的に考えられないので、九品仏川の排水を改良することと、水資源を利用することを目的として、江戸時代に人工的に開拓されたのではないかとも言われています。
証拠はないので人工的に開拓されたという可能性は低いそうですが、2つの説の観点で各々巡ってみてみても面白いと思います。
所在地 : 158-0091 東京都世田谷区等々力1丁目1−22
公式HP : 等々力渓谷
舞台からの景色が美しい 渓谷に轟く滝の音と世田谷の等々力不動尊
等々力渓谷を進み続けると、水がしたたり落ちる滝が見えてきます。
等々力の地の由来となった「不動の滝」です。
轟くというイメージとは違い、龍の口から優しく水が流れ落ちている印象を受けますが、かつてはこの滝で修業をするために各地から人が訪れていたそうです。
不動の滝の近くはいっそう静かで、目を閉じて耳を澄ますと滝の緩やかに流れ落ちる音が聞こえてきて心地よいです。
不動の滝の右側に上へ続く階段があるので、そこを登っていくとたどり着くのが「等々力不動尊」です。
寺の伝えによると、7世紀終わりに役行者(えんのぎょうしゃ)が夢のお告げで不動明王像を作りました。
そして平安末期に、紀伊国の根来寺の大使が再び夢のお告げにより、不動尊を背負ってこの地に来てみると、泉が山頭から噴出し、山頭のあたりにめでたいことが起こる前兆である雲がたなびいているのを見て建立したのが等々力不動尊の始まりだといいます。
こちらは不動尊の境内の舞台で、秋には紅葉、春には桜といった、風情のある景色を静かに楽しむことができるのも見どころです。
所在地 : 158-0082 東京都世田谷区等々力1丁目22−47
公式HP : 満願寺・等々力不動尊
2016年から国重要文化財 世田谷の「野毛大塚古墳」とヤマト政権
等々力駅から左に進み、環八通りを右に行くと左手に見えてくるのが「野毛大塚古墳」です。
住宅街の中に古墳が現れてくるのが何とも不思議な光景です。
隣には公園や野球場があり、子供たちの元気な声が聞こえてきます。
古墳の横に階段があるので登ってみると、頂上は意外に高く風が気持ち良いです。
足元を見ると出土した、甲冑や武器などのイラストが描いてあります。
こういった副葬品は、畿内のヤマト政権との関係を示す手掛かりとなったものとしてとても貴重で、野毛大塚古墳の出土品は一括して2016年に国重要文化財に指定されました。
出土した甲冑や武器は当時の最先端技術を使って作られたもので、限られた人しか入手できなかったと言われています。
技術を持っている職人を畿内政権が握っていたからです。
他にも古墳の形や出土した埴輪の特徴などからも、畿内政権との関係が深い、有力者のお墓だったのではないかということが分かり、当時の埋葬の様子を残すものとして価値が高いのです。
野毛大塚古墳を訪れると、当時の有力者のお墓はこんなにも広くて立派なのかと目で見て肌で感じることができます。
1500年もの長い間この場所にお墓や副葬品が眠っていたと考えると、なんだか不思議な感覚にとらわれます。
所在地 : 世田谷区野毛1丁目25番 玉川野毛町公園内
世田谷区の等々力は自然が楽めるだけでなく、歴史を感じて昔の世界に想いをはせながら歩くことができます。
等々力の地が変化していく10万年の間に、人は古墳を作ったり、この地を等々力と呼んだりしました。
長い間人々の暮らしを見守っていてくれた等々力に根付く歴史を紐解きに、是非等々力に訪れてみてくださいね。