兵庫県 丹波篠山の豊かな自然から生まれた食の香りに連れられて
兵庫県篠山は緑の山々に囲まれた自然豊かな地域です。自然の恵みと篠山の人たちから生まれた篠山の食。
400年以上前、篠山城築城により順次形成された商店街には、地元の食材を活かした「おいしい」が詰まっています。今回は商店街を中心に篠山の食を堪能する旅へ出かけましょう。
この記事の目次
丹波の黒豆を全国に広めた黒豆専門卸店 有形文化財「小田垣商店」
JR大阪駅から特急こうのとりに乗ること約1時間22分、JR篠山口駅に着きます。
関西国際空港からは、特急はるかでJR新大阪駅まで行き、特急こうのとりにお乗り換えが便利です。
JR篠山口駅から篠山営業所行きのバスに乗り、本篠山で降りると風情ある景色が広がります。
この辺りはかつて篠山城下町として栄え、今でも当時の面影を残す妻入商屋が軒を連ねています。
バス停から北に少し歩くと、その中でもひと際存在感のある商屋があります。
今回はこちらの「小田垣商店」を訪れました。店舗の建物は約400年前に建てられた、大変歴史深い建物です。
また、住宅や蔵、高塀など10件が国の有形文化財として登録されており、これらの登録有形文化財は「日本遺産」の構成文化財にも認定されています。塗屋づくりの重厚な外観で、今でも江戸時代後期の景観がしっかりと受け継がれており、当時の雰囲気と迫力を感じます。
小田垣商店は、かつて金物商を営んでいましたが、1868年から黒大豆の販売を始めました。
大粒黒豆の美味しさを多くの人に伝えたいという想いで、当時の篠山の農家に黒豆の種子を配り、栽培方法を伝授し、そこで収穫された黒豆を仕入れ、それを手撰りで良品に仕上げたうえで販売を始めたそうです。
こうして長い年月をかけ丹波黒大豆の作付け面積を徐々に増やしていかれたそうです。
現在、丹波の黒豆を世に広めた黒豆の専門卸店、そして「小田垣ブランドの高級豆」として全国各地の方、高級料亭、有名菓子舗などに愛されています。
篠山の名物として知られる丹波黒の生みの親といっても過言ではありません。
店内には、王道の黒豆の銘菓以外にここでしか売っていないオリジナルの、丹波黒を使った商品などもあり、おみやげにも大人気のようです。
所在地:兵庫県篠山市立町9
公式HP:「小田垣商店」https://www.odagaki.co.jp/index.html
100年に渡り 篠山の味が詰まった甘味を作り続ける 「梅角堂」
小田垣商店からさらに北へ約3分歩くと老舗の和菓子屋「梅角堂」(ばいかくどう)があります。
篠山は黒大豆をはじめ、栗や米といった豊かな食材を持ち、お菓子作りに適した土地になっています。
そんな丹波篠山の地で1909年に創業されて以来、お客様に美味しいといってもらえる手作りのお菓子を作り続けています。
先代がつくられたという「丹波黒納豆」は、1981年に丹波黒大豆を全国に先駆けて甘味に仕上げた逸品です。
大粒の黒豆に5日間かけて味をつけていく長年の看板商品です。
ショーウィンドウにたくさん並ぶお菓子はどれも魅力的で、ついあれもこれもと手がのびてしまいます。
中でも一番人気は「ささやまタルト」。
先ほど訪れた小田垣商店の大粒の黒大豆をたっぷり使用した、「極上黒豆タルト ODAGAKI」や栗、苺など様々な味が楽しめます。
季節限定のお味もあるそうです。
篠山の「おいしい」が詰まったタルト。お土産に、と買われる方も多いようです。
所在地:兵庫県篠山市立町78-1
公式HP:「梅角堂」http://baikakudo.net/
「三代目豆乃屋」で味わう丹波篠山の黒豆をふんだんに使った定食
梅角堂から北へ進み、右手に寺院がある大きな通りを左に曲がります。
町並みを楽しみながら歩くこと約8分。
「三代目豆乃屋」(さんだいめまめのや)を訪れました。
こちらでは自社農場で作られたお米や、大豆、黒大豆で作られたこだわりの豆腐、黒豆をアレンジした豊富な食事がいただけます。
おすすめメニューの桶よせ豆腐をいただきました。
豆腐サラダに、黒豆のおから、メインの桶よせ豆腐に湯葉の刺身など、食後にはデザートもついている大満足の定食です。
やはり旅に来たからにはその土地の美味しいものをいただきたいですよね。
三代目豆乃屋なら丹波の味を贅沢に味わえます。
黒豆を使ったスイーツのセットもあり、カフェの利用もできます。
また、平日には店頭で販売されているおからドーナツも大人気のようです。
所在地:兵庫県篠山市二階町41
城下町にある洋館 町役場から篠山の観光拠点「大正ロマン館」に
三代目豆乃屋を出て左へ進むとすぐに信号があります。そちらを左折してすぐのところにある「大正ロマン館」を訪ねました。
歴史を感じさせる古民家や建物が数多く並ぶ篠山。
そんな篠山城下町にモダンな雰囲気を感じさせる洋風づくりの建物です。
大正ロマン館は1923年から1992年の約70年間、篠山町役場として利用されていました。そして1993年に歴史ある建物をこれからも残していくために、役場としての役目を終えて「大正ロマン館」として開館しました。今でも大正時代を感じさせる歩兵第70連隊の兵舎にならった煉瓦の腰台や役場時代のプレートなどが残されています。
館内にはレストランや、売店などのお土産コーナーも充実しており、観光客で賑わっています。
「レストランろまんてい」では黒豆御膳やろまんてい弁当など、丹波篠山の特産物を使った洋食を中心に、地元ならではのメニューを味わうことができます。
外観はレトロ感あふれかわいらしく、館内は天井が高い昔ながらのつくりです。
ゆっくりお土産を見ながら、雰囲気のある内装も楽しむことができます。
所在地:兵庫県篠山市北新町97
公式HP:「大正ロマン館」https://tanbasasayama.hyogo.jp/
五つ星ひょうごに選ばれたチーズケーキと地元で愛される小西のパン
大正ロマン館から三代目豆乃屋のある通りまで戻り、西へ歩くこと約3分。
雪岡市郎兵衛洋菓子舗に到着です。
水色のかわいらしい扉を開けると、甘い香りが漂います。
こちらのお店では、様々な種類のチーズケーキを販売しています。
オーナーさんが大のワイン好きで、ワインに合うチーズケーキを試行錯誤し、お客さんの要望に応えていくうちにどんどん増えていったそうです。
中でも篠山ならではの「丹波黒豆」を使った「丹波黒豆のチーズケーキ」は2015年「五つ星ひょうご」にも選ばれた至極の逸品です。
五つ星ひょうごとは、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路の五つの地域の中で地域性や独自性などの視点から選ばれるものです。
デンマーク産の濃厚なクリームチーズにあっさりとした黒豆の食感が加わり、なんとも癖になるお味です。
購入したケーキはお店の向かいにあるカフェ、「宗玄庵(そうげんあん)」でゆっくり味わうもよし、お土産にするもよしです。
所在地:兵庫県篠山市魚屋町13-1
公式HP:「雪岡市郎兵衛洋菓子舗」http://la-neige-ashiya.ocnk.net/
雪岡市郎兵衛洋菓子舗から西へ40m行くと「小西のパン」ののれんが見えます。小西のパンはなんと今から100年以上も前から篠山の地で営んでおり、地元の方を始め、たくさんの方々に愛されている老舗のパン屋です。
そんな小西のパンの1番の大人気商品は篠山の名産品黒豆を贅沢につかった「黒豆パン」です。8時間~9時間じっくりと煮込み、黒豆本来の味を引き出し、ひとつひとつ丁寧に焼き上げられた黒豆パンはまさに絶品です。一度食べたら忘れられない優しい味に、虜になっている方は私を含めたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
黒豆パンは人気のため売り切れになる日もあるそうなので、午前中のうちに行かれることをおすすめします。
その他にも永年かわらぬ味のあんぱん、メロンパンなどの菓子パン類も販売されています。
篠山のおみやげにひとつ、いかがでしょうか。
所在地:兵庫県篠山市魚屋町23
篠山の食を堪能する旅はいかがでしたか。
城下町としてにぎわった町は、当時のにぎわいを上回る勢いを感じる活気で満ち溢れています。
ぜひ一度、歴史ある町並みとともに丹波篠山を舌で味わってください。