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日光東照宮が世界遺産に登録された理由とは?魅力に迫る上質な歴史旅

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    栃木県の北西部に位置し、山々に囲まれた町、日光。日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)は、日本有数の世界文化遺産の構成資産に指定されています。
    有名な代表三彫刻の「想像の像」「三猿」「眠り猫」をはじめとした美しい歴史的建造物を巡りながら、世界遺産に登録された魅力をたどりましょう。

     

     

     

    意外と知られていない!?日光東照宮 世界遺産の構成資産とは?

     

     

     

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    東武鉄道日光線の東武日光駅から「表参道」で下車し、歩くこと約2分。日光東照宮に到着しました。
    ここ、日光東照宮は、1999年世界文化遺産に登録されました。
    選定理由が2つあり

    「日光に残るそれぞれの建造物は、天才的芸術家による人類の創造的才能を表す傑作であること」
    「日光における古来の神道思想に基づく信仰形態は、自然と一体となった宗教空間を創り上げ、今なお受け継がれていること」
    などが評価されています。
    そこで今回の旅では、天才的芸術家による人類の創造的才能を表す傑作を追います。

     

     

     

     

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    工事の総指揮をとったのは、幕府作事方大棟梁の甲良豊後守宗広(こうらぶんごむねひろ)。
    『東照宮御造営帳』によれば、本殿・拝殿だけで、延べ22万人を超える彫物大工が従事したとあります。

    世界遺産に登録された人類の創造的才能を表す傑作に会いにいきましょう!

     

     

     

    文化財 日光東照宮の五重塔 三人の将軍が表現されている彫刻へ

     

     

     

     

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    鳥居をくぐり、最初に左手に見えるのが重要文化財に指定されている「日光東照宮五重塔」です。
    1650年に酒井忠勝という藩主によって寄贈されました。
    拝観料を払えば五重塔の内部に入ることができます。

     

     

     

     

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    五重塔は1815年に落雷による家事で完全に焼失してしまい、現在のものは翌年の1816年に再建されたものです。
    高さもあって、どっしりとした佇まいが印象的でした。
    境内の入口に最も近い位置にあるため参拝客を歓迎、または悪い空気や邪気を払うために建てられたのではないかと考えられます。
    朱色の装飾もとても美しく、細かな装飾はひとつひとつ丁寧に色が塗られており、彫刻技術の素晴らしさを体感することができました。
    東面に虎・兎・龍の彫刻が掘ってあります。
    なんと徳川家康・秀忠・家光三人の干支を表しているそうです。
    虎は「徳川家康」
    兎は「徳川秀忠」
    龍(辰)は「徳川家光」
    世界遺産の選定理由である職人の細やかな工夫を見に、一度訪れてみてはいかがでしょうか。

     

     

     

     

    日光東照宮の代表的彫刻「三猿」の秘めたるストーリーに学ぶ人生とは

     

     

     

     

    <07_nikko 神厩舎>

     

     

     

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    日光東照宮の表門をくぐって左手にある『神厩舎(しんきゅうしゃ)』は、神様に仕える神馬(しんめ)をつなぐ厩(うまや)です。
    神厩舎の長押(なげし)の上に彫られているのが猿の彫刻。
    なぜ馬を猿が守るのか?というと、陰陽五行思想では、馬=火であるのに対して、猿=水であり、『猿が馬を守る』という厩猿信仰が古くからあったためだそうです。
    三猿とは、8面の彫刻で構成し、人間の一生を風刺したものです。

     

     

     

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    一枚目には子猿と母猿。母猿は子猿を抱きながら子猿の未来を見通すように額に手を当てています。
    二枚目に有名な三猿。見ざる聞かざる言わざるとは、「子どものときは、世の中の悪いことを見たり、聞いたり、言ったりしないで、素直なまま育ちなさい」という教育論的な想いを込めて作られたそうです。

    三枚目はただ1匹の猿。親離れした独り立ちを意味しています。

     

     

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    四枚目には2匹の猿が。青雲の志として出世を夢見て青い雲を仰ぎ見る姿が表現されています。
    五枚目には彫刻の下を崖っぷちとして表現する技術で挫折を表現しています。
    六枚目は2匹の猿のラブストーリーが表現されています。
    七枚目は六枚目の2匹が結ばれ、夫婦で荒波を乗り越える様子を表現しています。
    そして最後の八枚目。妊娠した母猿の姿があります。そこからまた一枚目にもどるそうです。

     

     

     

     

    <11_nikko 彫刻解説3>

     

     

    彫刻に込められた職人たちの技術とともに人生のストーリーを追ってみてはいかがでしょうか。

     

     

     

    日光東照宮の代表的三彫刻のひとつ平和の象徴「眠り猫」の秘密とは

     

     

    家康の霊廟である奥宮への玄関口、坂下門へ。坂下門には日光東照宮の三代彫刻のひとつである「眠り猫」がいます。
    咲き誇るボタンの花に囲まれうたたねしているような様子はとても可愛いらしく感じました。

     

     

     

     

     

    <20_nikko 眠り猫>

     

     

     

    <21_nikko 眠り猫 解説>

     

     

     
    しかし一番大切な家康の霊廟の入口になぜ眠り猫が配置されたのでしょうか。
    神社や寺院の彫刻でよく見る鶴や亀、鳳凰、龍、虎などではなく眠っている猫を置いた理由を紐解きます。

    この眠り猫は、伝説の彫刻家と伝わる「左 甚五郎(ひだり じんごろう)」が制作したとされる彫刻だそうです。

    猫が眠りに付くほど、徳川幕府(江戸幕府)の時代が平和であり、この平和が末永く続くであろう」という意味も込められていると云われています。

     

     

     

     

     

    日光東照宮 所在地: 栃木県日光市山内2301

     

     

    徳川家の権力偉大さを表したきらびやかで豪華な日光東照宮の装飾はいかがでしたか。一つ一つには職人の想いと徳川家に対する敬意が込められていることが深く感じられます。
    ぜひ徳川家だけではなく、職人の想いをメインにした歴史旅も一緒にお楽しみください。