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世界遺産五箇山の一大産業!五箇山和紙漉き体験館で和紙漉き体験

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    昔から五箇山(ごかやま)で行われていた産業のなかでも、今日まで続いているのが和紙産業。富山県や南砺市(なんとし)だけでなく、日本各地で使われる伝統工芸品です。
    世界遺産登録もされている相倉集落では、この和紙漉きを体験できるのだとか。さっそく、歴史と伝統に触れに行きましょう。

     

     

    インテリアから国宝まで 日本中に広まる伝統工芸「五箇山和紙」

     

     

     

    世界遺産合掌造りで知られる富山県五箇山地方は、源平合戦に敗れた平家落人の隠れ里として、古くから都の文化が伝えられてきました。その中でも五箇山で古くから行われている和紙作りは、「越中和紙」の名で、国の伝統的工芸品に指定されています。
    その歴史は古く奈良の正倉院文書に記述が残っていたり、江戸時代、五箇山平地域で作った中折紙が、その当時の越中を収めていた、加賀百万石二代藩主、前田利長公に贈られたという記録が残っています。加賀藩の手厚い保護を受けながら発展し、良質和紙の産地として発展してきました。

     

     

     

     

    <01_gokayama_和紙漉き舟>

     

     

     

    五箇山和紙の用途は多岐にわたります。地元南砺市の建物や一般家庭、学校の卒業証書に始まり、全国の芸術家さんへの特注品にも。
    果てはなんと、桂離宮の障子紙など、宮内庁や国の重要文化財の補修用紙にもなっているのだとか!

    それほどまでに強い五箇山の良質な和紙は、合掌造りの民家も使用されているそうです。昔の窓は障子戸だけで、雨戸などはなく、雪深く湿度の高い冬を障子戸だけでのりきれるのは、五箇山和紙の紙が強いからだそうです。

     

     

    相倉集落で触れる伝統と歴史 昔ながらの製法で和紙漉きを体験!

     

     

     
    価値ある五箇山和紙を、相倉合掌造り集落では漉くことができます。

     

     

     

    <03_gokayama_旧山崎家>

    <04_gokayama_職人さん>

     

    場所はここ、五箇山和紙漉き体験館です。
    中に入ると、職人さんが和紙製品の絵付けをしていらっしゃいました。
    干支、戌の置物です。全国のお店に卸すため、数千個も作るそうです。
    もちろん完成まですべて手作業。手間暇かかった製品は、どこか温かみがあります。

     

    <05_gokayama_犬の置きもの>

     

    さっそく、和紙漉き体験スタートです!使用する道具はどれも古く原始的でした。現在も残っているのは極めて珍しいそうです。

    まずは、専用の紙漉き舟の中に、楮(こうぞ)の繊維を入れます。

     

     

    <06_gokayama_繊維混ぜる1>

     

    <07_gokayama_繊維混ぜる2>

     

     
    楮の繊維を勢いよくかき混ぜて溶かします。ここまでは職人さんのお仕事です。

    続いて体験者にバトンタッチ。
    こちらの漉き簀(すきす)と漉き桁(すきけた)を合わせた、簀桁(すけた)という道具を使って和紙を漉いていきます。

     

     

     

    <08_gokayama_簀桁>

     

    職人さんが一緒に簀桁を持ってくれるので、初めてでも安心です。左右に揺らし、前後に揺らし・・・
    厚さにムラができないように、交互に繊維を重ねていきます。

     

     

     

    <09_gokakayama_和紙原型>

     

     

    繰り返すこと数回、和紙の原型が出来上がります。初めての私でも楽しく漉くことができました。
    漉き簀だけ取り外して、机の上に敷いたマットの上に移動させ、ゆっくり簀をめくります

     

    <10_gokayama_取り出した和紙原型>

     

     

    ムラもあまりないようです。ほっと一安心。さて、次はデザインに移ります!

    用意していただいているカラフルな和紙を好きなところに配置してデザインします。
    まず最初に大きな花を3枚選びます。

     

     

    <11_gokayama_花3枚>

     

    <12_gokayama_水気落とす>

     

     

     

    たくさん色があって迷いましたが、この三色にしました。次に周りに小さな花や蝶を散らし、終わったら職人さんに薄く漉いた和紙を上にかぶせてもらい、機械で水気を落とします。

     

     

     

    <13_gokayama_ヒーター>

     

     

    だんだん和紙っぽくなってきました!専用のヒーターで一気に乾かします。
    これは体験用で、実際はもっと大きな乾燥機が使われます。文化財の補修用紙は板に貼り自然乾燥されるそうです。
    完全に乾いたら、オリジナル和紙の完成です!

     

     

    <14_gokayama_完成品>

     

     

    ここまでで時間は10分程度。手軽に世界で一枚の思い出が作れるなんて嬉しいですね。完成した和紙は、筒に巻き付け包装していただけます。
    形が崩れないし汚れないので、家まできれいな状態で持ち帰ることができるありがたい配慮です。

     

     

     

    <15_gokayama_包装された和紙>

     

     

     

    お土産にぴったり!世界でたった一枚のオリジナル和紙と和紙製品

     

     

     

    <16_gokayama_和紙製品>

     

     

    五箇山和紙漉き体験館では和紙製品も販売しています。
    その年に合わせた干支人形や、五月人形、折り紙に、かわいらしい紙ハンカチ、なんと戦国武将のお面まで!

     

     

    17_gokayama

     

     

     

    和紙のお土産とは思えないほど多くの種類のお土産が所狭しと並んでいました。体験した和紙は真っ白でしたが、お土産として並んでいる和紙はきれいに染められたものがありました。
    五箇山では、染料や色を白くする薬品などは一切使用せず、紙を白くするのに「雪さらし」という雪国ならではの手法を用います。現在もほとんど機械や薬品に頼ることなく、自然の原料と昔ながらの手作業でつくられています。 染紙には草木染め、染料染め、顔料染め等色々な技術を使っているようです。

     

     

    <17_gokayama_しおり>

     

     

     

    迷いながらも今回は、和紙と押し花のしおりを購入。これがあれば、本を開くのも楽しみになりそうです。

     

     

     

    一枚完成させるのにかかる時間はおよそ10分ほどですので、散策の合間に気軽に体験ができます。
    和紙はそのまま飾るもよし、ランチョンマットや照明など、インテリアにするもよし。
    五箇山和紙漉き体験館では和紙を入れたオリジナルタンブラーを作るコースもありますので、お好みに合わせて和紙を活用しましょう!

     

     

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