HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

HISTRIP MAGAZINE icon HISTRIP MAGAZINE

日本酒発祥の地「斑鳩」を代表する酒蔵、太田酒造で奈良漬け体験

  • 「日本酒発祥の地」で知られる奈良県。
    国内でいち早く本格的な「清酒」の技法が確立され、現在もその伝統を受け継ぐ酒蔵がたくさんあります。
    今回の旅は斑鳩にある老舗太田酒造で酒蔵見学と奈良漬体験をしてきました。

     

     

     

    なぜ奈良は日本酒発祥の地と言われているのか

    〈④01_ikaruga布穀薗 外観〉

     

    奈良県にある正暦寺(しょうりゃくじ)には「日本清酒発祥之地」と刻まれた石碑が立っています。
    この石碑が語るように、いまから約1000年前日本で初めて奈良県で日本酒の製法が確立しました。

     

    992年に一条天皇の勅願で創建された正暦寺。
    当時、土地の私有が認められたことから、貴族や大寺院は「荘園」と呼ばれる私有地を増やしていきました。正暦寺も荘園を持ち、米を栽培し、収穫した米で仏へ献上するお酒を造っていました。そんな中で正歴寺は他の寺院よりもいち早く「諸白(もろはく)造り」や「三段仕込み」といった清酒の技術を確立したのです。
    そして室町時代末まで日本一の名声を得た酒「南都諸白(なんともろはく)」へと正歴寺の伝統技術は受け継がれました。南都諸白は正歴寺の伝統技術を踏まえて、奈良(南都)で造られたお酒の総称。
    このような歴史から、奈良は日本酒発祥の地として知られています。

     

    まずは酒蔵体験から 斑鳩 太田酒造で名産日本酒のつくり方を知る

     

     

     

    〈④06_ikaruga太田酒造 外観〉

     

     

    斑鳩町にある太田酒造は1869年から酒造業を営む老舗です。
    江戸から明治にかけては醤油を製造していた歴史もあり、主屋や蔵などの建物は江戸期に建てられたもので重要文化財に指定されています。
    重厚感ある外観からも、その歴史を感じますね。

     

     

    〈④07_ikaruga太田酒造 初時雨〉

     

    太田酒造では「初時雨」という銘柄を扱っています。
    地下の湧水とあさか米というお酒を造るのにふさわしいお米のみを使用しているそうです。

     

     

    〈④08_ikaruga太田酒造 蔵〉

     

    酒蔵見学では係りの方が丁寧に案内をしてくださいます。
    10月下旬から11月にお酒造りが始まり、12月初旬から3月までの4か月は発酵期間には腐らないように「2時間ごと」にかき回すそうです。
    5から6人で手分けしながら丹念に気持ちを込めて作っていらっしゃるそうですよ。

    アルコール度数19度で、オススメの飲み方はやはりそのままくいっと飲むのが一番おいしいとのこと!
    ここでしか手に入らないお品もあるので、お酒好きな方のお土産にいいですね。

     

     

    初心者でも簡単にできる 斑鳩 太田酒造で自分だけの奈良漬をつくる

    〈④09_ikaruga太田酒造 奈良漬けのツボ〉

     

     

    酒蔵見学と合わせてオススメなのが「奈良漬け作り」の体験です。

     

     

     

    〈④10_ikaruga太田酒造 奈良漬け〉

     

    奈良漬の起源は約1300年前の奈良時代とされています。
    当時権力を握っていた長屋王の邸宅跡から「加須津毛(かすづけ)」と記された木簡が発見され、奈良漬と思しき食べ物があったことが考えられます。
    現在の奈良漬の形が成立したのは清酒とほぼ同時期で、清酒の製造で出てきた酒粕に野菜を漬け込んだのがはじまりだそうです。

     

    今回の体験では一から作るのではなく、すでに3回ほど漬けてあるウリ・キュウリ・タケノコなどの野菜を漬けます。
    お店の方がゆっくりと説明してくださるので、はじめての方でも簡単にできますよ。食べごろは1年後。じっくりと時間をかけて、自分だけの奈良漬の完成です。
    奈良の地酒と楽しむもよし、ご飯のお供にするもよし。
    一口食べると、旅の思い出がふっと蘇ってくることでしょう。

     

     

     

    奈良斑鳩の体験旅はいかがでしたか。
    奈良漬は日本酒の生産がきっかけで生まれた名産品という背景を知り、酒蔵見学と奈良漬体験をすれば深い学びになるでしょう。
    ぜひ太田酒造で自分だけの旅の思い出作りをしてみては。

    このマガジンにおすすめの目的地