HISTRIP(ヒストリップ)|歴史的建造物に泊まろう

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京都・伊根で出会った180度歴史感じる絶景 芸術や伝統に触れる旅

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    大阪から車で2時間30分、天橋立駅からバスにゆられて約1時間の所にある京都・伊根。

     

     

    京都丹後の北部に位置する伊根には、江戸時代後期からある舟屋の歴史と一生に一度は見たい!日常を忘れる絶景が存在します。

     

     

    今回は伊根の絶景ポイントや歴史から、伊根の見方が変わる舟屋の情報を紹介します。

     

     

    舟屋でアートを感じることができる伊根焼きギャラリー~伊根工房~

    京都丹後鉄道宮福線天橋立駅から丹後海陸バスに乗り、伊根郵便局前バス停で下車して南に約10分歩くと「伊根工房」アートギャラリーに到着します。

     

     

    江戸時代から残る舟屋をリノベーションされ、舟屋の中には店主が造った伊根焼きのコップや置物が並んでいます。

     

     

    <02-1_alt:altマグカップ>
    ギャラリーの見学料はコーヒー付で500円(2016年12月時点)になります。

     

     

    伊根町で唯一の芸術に触れることができるギャラリーでは、1日限定1組で宿泊をすることもできます。
    <02-2_alt:alt作品>
    一つ一つ丁寧に作られる作品は、どこか懐かしく温かいものばかりです。

     

     

    気に入った作品を購入できるので、ぜひ伊根のお土産にしてみてはいかがでしょうか。

     

     

    <02-3_alt:altコーヒー>
    ギャラリーの奥には海を見ながらコーヒーをいただけるスペースがあります。

     

     

    机の中や壁には漁で使う道具が展示されています。

     

     

    部屋の隅には木琴も置かれていますよ。

     

     

    伊根湾を見ながら美味しいコーヒーをいただける、漁師の町を感じる一杯を「伊根工房」アートギャラリーで時間を忘れ、くつろいでいただけます。

     

    舟屋の宿「まるいち」でしか見れない絶景を独り占めしてみませんか

    伊根工房よりもさらに南に進むと、朝ドラの舞台となった耳鼻(にび)地区があります。

     

     

    耳鼻地区には素敵な舟屋の宿が8軒あります。

     

     

    今回ご紹介する宿は「舟屋の宿 まるいち」です。
    <02-4_alt:alt部屋全体>
    まるいちは3世代続く漁師さんの宿です。

     

     

    船をイメージしてリノベーションされた舟屋は、いたる所に船のモチーフがあり、まるで宝探しをしているかのようです。

     

     

    <02-8_alt:alt明治時代>
    入り口を入ってすぐの壁には、実際に漁で使われていた道具が飾られています。

     

     

    この道具は漁の網を修理するための道具だそうで、「アバリ」(網針)と言います。

     

     

    真ん中に修理用の糸を巻き付けて使うそうです。

     

     

    今はプラスチックのものが増え、木製や竹製のアバリを作る職人が減ってそうです。

     

     

    実際に漁港周辺を歩いていると、大きな網で作業をされている漁師さんを見かけることもできます。

     

     

    <02-7_alt:alt船道具>
    アバリの中でも一番古いものが左端に置いてあります。

     

     

    「明治三十八年」と書かれているこの道具は、今の店主のおじいさんが実際の漁で使われていたものになります。

     

     

    アバリの歴史は古く、宮城県里浜貝塚では縄文時代後期の土器と共に鹿角製のアバリが出土されています。

     

     

    形も今のアバリと変わらないことから、アバリの形も縄文時代後期から変わらず、漁には必需品だったのでしょう。

     

    <02-5_alt:alt柱>
    一歩舟屋に足を踏み入れた瞬間に心を奪われるほど綺麗な宿ですが、大きな柱は舟屋ができた当時のままです。

     

     

    100年以上も昔の舟屋の歴史を感じながら一泊できる贅沢な空間がまるいちにあります。

     

     

    1階から釣り船も出るので、釣り体験を行えます。

     

     

    さらにもっとお手軽に釣りを楽しみたい方は舟屋と海の境目に生簀があり、新鮮なイカが泳いでいます。

     

     

    すぐ海に出て伊根湾で釣りを楽しむことも、船に乗って海に出なくても手軽に釣り体験ができるのも「まるいち」の魅力です。
    <02-6:景色>
    もう1つの魅力は2階から見える景色です。

     

     

    大抵の舟屋から見える景色は伊根湾、または対岸の小さな舟屋です。

     

     

    舟屋に泊まりながら舟屋を見ることのできない宿が伊根には多く存在する中、まるいちから見える景色は他の宿とは違います。

     

     

    朝ドラや釣りの某有名映画の撮影ロケ地にもなった一番舟屋を綺麗に見えるポイントの亀山の手前の舟屋を一望できるのです。

     

     

    朝日で照らされた舟屋や夕日で赤く染まる舟屋など、1日の時間の中で、様々な変化を楽しむことができるこの景色をいつまでも眺めていたくなる・・・なんとも優雅な旅行を体験できます。

     

     

    京都・伊根では2隻しか残っていない貴重な木の舟を間近で感じるには

    江戸時代の中期から存在する舟屋のギャラリーや宿をご紹介してきましたが、次は舟屋の歴史に触れる場所をご紹介します。
    <02-8_alt:alt舟屋入り口>
    昔の舟は全て木でできていたのですが、今では舟に大きなエンジンが付けられ、舟屋の中に入れることは困難となっています。

     

     

    木の船は長時間、海水に付けておくと腐ってくるので当時は丸太をいくつか使い、木の船を舟屋の中まで引き上げたそうです。

     

     

    では舟屋にはどのような木の船を片付けていたのでしょうか。

     

     

    当時も使われていた木の船がこの伊根の町に2つ存在しています。

     

     

    見ることができる舟屋が耳鼻地区と西平田地区にあります。

     

     

    耳鼻地区の木の舟は海からでも見ることができます。

     

     

    ぜひ海上タクシーに乗ってご覧ください。

     

     

    西平田地区の木の舟を見に行くには、丹後海陸バスの高梨バス停から約1分歩いた舟屋にあります。

     

     

    舟屋が並ぶ西側の端には大きな舟屋があり、その中に木の舟を保存してあります。
    <02-9_alt:alt木舟>
    現在はこの木の舟を使って漁をすることはなく、使うのは年に1回行われる「伊根祭」の時だけだそうです。

     

     

    伊根祭は約300年の伝統があり、青島まで木の舟を漕ぐそうです。

     

     

    この伊根祭は「海上の安全」「大漁」「五穀豊穣」を願い行われます。

     

     

    現在も祭で使われる大きな木の舟は間近でみると迫力があり、そして木のぬくもりを感じます。

     

     

    この木が海で浮かび、昔は漁をしていたのかと想像が広がり、伊根祭を見たくなります。

     

    伊根の郷土料理で使われるアオリイカ おしどり夫婦姿に心がほっこり

     

     

    <2-10_alt:alt並んでるイカ>
    舟屋を見ながら伊根の町を歩いていると均等に並ぶイカの姿を多く見かけます。

     

     

    家に立てかけ干しているイカもあれば、洗濯バサミで干されているイカもあります。

     

     

    このイカは何に使われるのでしょうか。

     

     

    <2-11_alt:alt洗濯はさみ>
    このイカたちは伊根の郷土料理の「塩イカ」や「キリメイカ」に使うそうです。

     

     

    正月におせち料理や雑煮と共に食べる縁起物で、元旦に切り始めを行い、身と足を分け、足は神棚にお供えものとするようです。

     

     

    伊根で比較的多く獲れるアオリイカが丸まらないように、綺麗に伸ばして干しています。

     

     

    また同じ伊根町であっても東側の立石・耳鼻地区では丸くして召し上がるのだそうです。

     

     

    地区によっては干し方も調理方法も違うなんて面白いですよね。

     

     

    毎年秋になると天日干しをする景色を10月11月に伊根に訪れる際には、ぜひ天日干しされてるイカを探してみてください。

     

     

    ゆっくり伊根の町を散策しながら、イカに注目して歩くのもなんだかおもしろいです。

     

     

    伊根の生活が伝わってくる舟屋の町並みに「どんなお正月を迎えるのだろう」と少し想像し、仲よく並ぶイカの姿に心がほっこりします。

     

     

    京都府伊根の歴史や絶景ポイント、伊根の生活をご紹介いたしました。

     

     

    テレビ等でも取り上げられている舟屋ですが、歴史や伊根の生活を知って舟屋を回ると一味違う伊根の良さが伝わるのではないでしょうか。

     

     

    町の歴史に触れて見て想像を掻き立てる、新しい旅の良さが伊根にはあります。